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SL500
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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
SL500
ボディタイプ
外装色
ブルーブラック
年式
1994 年型
走行距離
5100km
乗車定員
サイズ
長 447 cm 幅 181 cm 高 129 cm
エンジン形式
排気量
4973 cc
馬力
325
トルク
49.0
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
並行輸入
内装色
グレーレザー
燃料区分
ガソリン
幌色

メルセデスベンツの「SL」とは「Sport Leicht(シュポルト・ライヒト)」のイニシアルで「軽量なスポーツカー」を意味する。その初代となるW198型のコードナンバーを持つ「300SL」は1954年に登場し、マルチ・チューブラー・スペース・フレーム構造によるシャーシと、ボッシュ製燃料噴射装置を備え、ドライサンプ式の直列6気筒SOHC3エンジンを搭載した、比類なき高性能を誇るスーパー・スポーツだった。レーシングプロトタイプの流れを汲むフレーム構造によりサイドシルを高い位置に持つ為、通常のドアが装着出来ず、上方に開くその特徴的なドア形状から「ガル・ウィング」というニック・ネームが付けられた。ドイツ人デザイナーのフリードリッヒ・ガイガーによりデザインされたボディをもつ「300SL」は19542月のニューヨークで開催された第3回国際モーター・スポーツ・ショーで発表され、瞬く間にアメリカで人気となった。1957年には、コンフォート性能を重視するアメリカからの要請でオープンモデルの「300SLロードスター」が追加される事となる。このスペシャルモデルの「300SL」シリーズに対して、併売する形で1955年に発表されたのが初代の量産型「SL」ともいえる、W120型セダンをベースとするオープン・スポーツのW121型「190SL」。「300SL」のイメージを落とし込んだボディデザインはカール・ウィルフェルドを中心に作られたもので、当時スポーツカー人気が高まりをみせていたアメリカ市場で人気を博し25881台もの台数が生産された。「190SL」に続いて「SL」シリーズの2世代目となるのが、1963年春のジュネーブショーでデビューしたW113型の「230SL」であった。メルセデスベンツのデザイン部門に在籍するフランス人デザイナーのポール・ブラックによる、当時のメルセデス・サルーンの特徴である縦目のヘッドライトと「300SL」のフロントグリル・デザインを継承し、中央の凹んだ独特な形状のハードトップとなる、通称「パゴダルーフ」をセールスポイントとしていた。端正な佇まいを維持しながら「250SL」「280SL」とエンジン排気量をアップし、8年間で約5万台が生産された。70年代に入ると最大のマーケットとなる北米では、排ガス規制やFMVSS(連邦自動車安全基準)などにより、世界的にもクルマの危険性や反社会性が議論され始めるようになっていた。そんな背景の中で1971年春に登場したのが3世代目となるR107型とよばれる「350SL」だった。型式が、それまでの「W」では無く「R」からはじまる事から、独立した「ロードスター」としての地位が社内的にも確立されるとともに、オープンボディでも頑強で比較的大柄なボディとV8エンジン搭載により、それまでと大きく方向転換が図られた新世代の「SL」となる。これはメインマーケットであるアメリカを見てのことで「Sport Leicht」から「Sport Luxury」と表現されるようになった。ボディデザインは、イタリア人デザイナーのブルーノ・サッコによるもので、低いロングノーズとショートデッキスタイルをもち、太く傾斜の強いウィンドウシールドは高い剛性をもち、転覆時にはロールバーとしての役割をもったものとなっている。強固なスチールモノコックボディやボックス構造のサイドシル、専用設計されたトランスミッション強化トンネルのおかげで、構造的にも当時のメルセデス・サルーンと遜色無いくらいの安全性が重視されたオープンモデルとなる。1974年からは、オイルショックの影響もあり、2.86エンジンも加え1989年まで、8種類にのぼるエンジン・バリエーションを揃えながら、18年間で約24万台が生産され、その6割強がアメリカで販売されたモデルとなっている。メルセデスベンツのラインナップの中で、その存在を確立した「SL」は1989年春のジュネーブショーで4世代目となるR129型とよばれる「500SL」を発表する。先代に続いてブルーノ・サッコによるデザインは、それまでの重厚で質実剛健なイメージから、柔らかさとスポーティさが感じられる時代の変化を表現したものとなっている。この当時バブル景気に沸く日本では「NSX」や初代「セルシオ」、R32型「スカイラインGT-R」がデビューし、正規輸入が始まった「500SL」は人気が殺到し納車が遅れ、新車価格より高額な相場で取引されていた。日本のみならずドイツ本国においても高い人気となった「500SL」はガッチリとした強靭極まる、剛性感タップリのオープンモノコックボディを持つ。それに加えボディのロールが26度を超え、ロールオーバーが想定されると0.3秒で自動的に跳ね上がるロールバーや、軽合金ダイキャスト・モノコック製でシートベルトまで一体化されたインテグラルシート、先代から引き継がれた剛性の高いフロントウィンドウのフレーム、各種エアバックなどにより、とにかく乗員を守る安全装備を徹底追求した新時代のオープンスポーツカーとして発表された。当初は3・直列6気筒SOHCの「300SL」、3・直列6気筒DOHCの「300SL-245V8搭載の「500SL」がラインナップされたが、1993年に612気筒の「600SL」が登場、翌年の1994年には車名変更により「SL500」というように車名が前、排気量が後となった。1995年には直6系が3.2化された「SL320」が発表され、更に1998年には直6系は新世代型のV6に、V8も新世代型エンジンに換装され2001年まで12年間で約20万台が生産された。SL500」に搭載されるのは、このR129型とともに開発され、1997年型まで採用されていたM119型とよばれる5V8エンジン。「600プルマン/リムジン」用のM100型から、W116型「Sクラス」用のM116型、そしてW126型「Sクラス」用のM117型へと受け継がれてきたエンジンをベースとする、メルセデスベンツV8の集大成と言うべきエンジンとなる。水冷V8気筒DOHC32バルブで、ボア×ストローク96.5mm×85.0mmから4973ccの排気量をもつ。可変バルブタイミング機構、ボッシュKEジェトロニック燃料噴射装置を備え10.0の圧縮比から、325馬力/5500rpm49.0kgm/3900rpmのトルクを発揮する。V8エンジンらしい豪快なフィーリングと伸びやかな高回転域が魅力的なM119型エンジンは、もはや伝説となるW124型の「500E/E500」にも搭載され、多くのファンをもっている。組み合わされるトランスミッションはメルセデスベンツ製の機械式4速トルコンATとなっている。 1998年型以降の「SL500」には新世代エコ・エンジンとなるM113型エンジンが搭載され、3バルブとデュアル・イグニッションを備え、低排出ガスと低燃費を実現したスムーズなエンジンキャラクターをもつ。M119型のもっていた古くからの歴史や味わい、ドラマ性は残念ながら希薄となってしまう。足回りはフロント・マクファーソンストラット式+コイル、リア・マルチリンク式+コイルとなり前後ともにスタビライザーを備える。ブレーキはフロントにベンチレーテッド・ディスク+4ポッドキャリパー、リアはソリッド・ディスク+2ポッドキャリパーを備えABSが付く。ホイールは4輪ともに8J×16インチのアルミホイールに225/55ZR16サイズのタイヤが装備される。インテリアは、オープンスポーツという車種でありながらも他のメルセデス各車種同様、オーソドックスなつくりで地味な印象を与えるが、メルセデスベンツらしく初めて乗り込んだ人に対してわかりやすいスイッチ類のレイアウトとなっている。 4本スポークのやや大ぶりのステアリングホイールは、エアバックが内蔵されたものでテレスコピック/チルトは電動となる。ステアリングホイールを通して正面に位置する5連メーターをおさめるメータークラスターの中央には、260km/hまで刻まれたスピードメーターが備わり、その右にやや小ぶりのタコメーターが存在する。ウォールナット材で覆われたセンターコンソールは空調システムと、1DINサイズのオーディオがレイアウトされ、慣れると操作しやすいメルセデスベンツ独特のスタッガード式シフトレバーが備わる。助手席前方のダッシュボードにはエアバックが備わることで、グローブボックスは存在しない。アームレスト兼用のコンソールボックスは実質的な物入れとなり、2脚のシート後方にも中央部分をヒンジとして上方に開く物入れがレイアウトされている。パワーシートとなる大きめなインテグラルシートは、横方向のホールドも良く、ドアのインナーハンドル下にあるシートの形状をしたスイッチにより調整する事が出来る。シフトレバー右に備わる赤いスイッチを押し続けると、約30秒で幌の開閉が完了する。立派な内張の着いた耐候性の高い幌は、クローズすればクーペと変わらない遮音性をもち150km/hを超えると僅かにはためきが感じられる程度のしっかりとした造りとなっている。複数のモーターと複雑なリンケージにより形造られ、ロック部分も完全自動となっている。オープンにするとコックピット背後のリッド内に完全に収納され、後方の視界を妨げる事は無い。オープン時でも120km/hくらいまでなら髪が少し乱れるくらいですみ、サイドウィンドウを上げておけば強力なヒーターの恩恵が得られる。また標準装備となる脱着式のハードトップは、アルミ製で34kgと従来よりかなり軽量化されていはいるが、1人で脱着出来るものではない。全長×全幅×全高は、4470mm×1810mm×1295mm(トップを付けると1305mm)、ホイールベース2515mm、トレッド前1532mm、後1521mm、車両重量1770kgとなっている。燃料タンク容量80、最小回転半径5.38m、新車時価格は1380万円。メーカー公表性能値は、0100km/h加速6.2秒、01km加速25.8秒、最高速度250km/hとなる。カーグラフィック誌による実測データは0100km/h加速6.4秒、0400m加速14.2秒、01km加速25.6秒、最高速度256.2km/hとなっている。「SL500」のドアを開くとサイドシルの敷居は高く幅広いが、低めの車高でも乗降性は悪くない。シートに腰を下ろしドアを閉めると、オープンボディながらそのしっかり感には驚かされるだろう。ホイールベース2.5mで全長4.5mのボディに様々な安全装備を盛り込んで1.8tと重量級で、5エンジン搭載ながらもATである事を考えれば、その走りは充分に瞬足と評価出来、同じ時代の同排気量となる5V8エンジン搭載の「ポルシェ928」と同等の速さをもつ。エンジンの低回転域や中回転域からアクセルを踏み込むと、レスポンス良くチカラ強いトルクを発揮し、吸い込まれる様に6000rpmのリミットまで加速出来る。自然吸気の大排気量エンジンにイメージされる茫洋としたところがなく、どこから踏んでもピークトルクが味わえるような、気分の良いトルクの立ち上がりを見せてくれる。4速トルコンATとの相性も良く、スピードが途切れる感じがしない。キックダウンスイッチの反応が敏感な方では無いのでワインディングロードでは、スタッガードゲートのシフトレバーによる23速での変速を活用した方が楽しめるかもしれない。ハンドリングも重厚でありながらも軽快さも持ち合わせ、狭い山道でもボディを持て余す感じがしない。それはサスペンションのセッティングにもよるもので、一貫してスタビリティの確保された軽いアンダー傾向に躾けられ、スポーティなロードカーとして理想的なハンドリングとなっている。足回りの基本設計はW124型ミディアムクラスと共有されるが、パーツの大半は「SL500」専用に開発され、エンジンはじめそれが置かれたサブフレーム、及びフロントサスペンションを含むバルクヘッドから前のエリアは後にW124型「500E/E500」にほぼそのまま移植されることになる。ブレーキもそのハンドリングに対応した容量をもち、充分に信頼できる反応を示す。「SL500」は動力性能、ハンドリング、オープン2シーターのスタイリングも含めてスポーツカーとよべる内容をもち、快適性と高い安全性を加えたのが特徴となっている。更に完璧さを期すのがメルセデスベンツらしさと言えるかもしれないが「SL500」は何処か温かみや潤いを感じさせ、洒落た雰囲気が感じられるキャラクターをもつ。今となっては控えめにも見える、グリルに配されたスリーポインテットのエンブレムさえクラッシックとよぶには憚れる風情を見せる。単に枯れたと表現するだけでは物足りない、しっかりとした存在感とメルセデス・クオリティのメカニズムを持つ「SL500」は「このクルマがあった」と周囲に気づかせる魅力的な、艶感や温もりを感じさせる数少ないメルセデスと言えるかもしれない