サイズ
長 456 cm 幅 178 cm 高 207 cm
令和4年3月、150000km時 エンジンオーバーホール及び,機関関係リフレッシュを行っております。
Nox,PM 適合車の為、首都圏にて登録可能な車両です。
ランドローバー社の源泉ともいえる、1948年のアムステルダムショーで発表された「ランドローバー」は、イギリスのソリハル工場で製造されていた四輪駆動車で、第二次世界大戦で大活躍したアメリカの「ジープ」を目標にして開発されたモデルといわれている。発売当初の「ランドローバー」は“あらゆる仕事に対応する農民のメイド“や、“どこまでも行く事が出来る乗り物“などのキャッチコピーが付けられ、ホワイトカラーの足ではなく、タフな走破性と高い耐久性により軍用としても用いられた。「ランドローバー」という車名は「大地を放浪する者」という意味となり、まさにどこまでも走って行けそうなキャッチコピーそのものとなる。1983年「ランドローバー」はシリーズⅢへのマイナーチェンジに際して「ランドローバー90/110」と改称された。ここに含まれる数字はホイールベースをインチ表示したものとなり、長短2種類のホイールベースを持つ。このモデルが「ディフェンダー」と名称を変更されるのは1990年の事だった。ボディデザインはシリーズを通して大きな変更は無く、特徴的な強靭なラダーフレームをもち、直線基調となるボディは第二次世界大戦後の深刻な鉄不足から、余剰の出ていたアルミ材を用いて作られ、このアルミボディが後のランドローバー社のトレードマークとなっていく。サスペンションにコイルスプリングが採用され、フルタイム4WD化されるなどのアップデートがはかられる。そして「ディフェンダー」は農民や僻地で働く人達だけではなく女王陛下をはじめとする貴族層にも、その卓越した走破性を活かした領地内の足として使われるなど、およそ70年間にわたり生産が続けられた。2016年の生産中止を迎えるまで英国人の誇りとして愛用され、存在し続ける事となった。「ディフェンダー」に搭載されたディーゼルエンジンは、1989年ランドローバー社の第3のモデルとして新登場した「ディスカバリー」にも採用された「200Tdi」というもの。古くから用いられた直噴エンジンで音も大きく、とても洗練された、とは表現出来ないユニットだった。そこで完全新開発となる「300Tdi」が登場する。このエンジンは「200Tdi」から200箇所以上の改良を受け、シリンダーブロック、ヘッド、燃料噴射装置、クランクシャフト、ピストン、コンロッドまで変更された。補機類を駆動する為の複数のVベルトもサーペンタインベルトにまとめられ、排出ガスも再循環システムにより対策がなされた。1998年になると、1957年から続いたランドローバー製4気筒ディーゼルエンジンの系統は終焉を迎え、5気筒となる「Td5」エンジンに置き換えられていく。この「Td5」は、ユーロⅢ排ガス規制に適合しパワフルで洗練られたユニットとなっている。今回入荷した「ディフェンダー110td5」に搭載されるエンジンは、ボア・ストローク、84.5mm×89.0mmで排気量2495ccの水冷直列5気筒SOHCインタークーラー付・直噴ターボディーゼルとなる。ルーカス製電子制御システムによる燃料噴射装置と19.5の圧縮比から122馬力/4200rpmと30.6kgm/1950rpmのトルクを発揮する。ベースとなったのは2ℓディーゼルの、ローバーLシリーズエンジン。ピストン、コンロッドは共有となり、鋳鉄シリンダーブロック、クロスフロー式アルミ製シリンダーヘッドが採用されている。当初、電子制御燃料噴射装置に不安を抱くユーザーの声が高かったことで、旧型エンジンとなる「300Tdi」の生産が継続されたが、時間の経過とともに「Td5」の信頼性の高さも確立される事となった。2002年には電子制御システムの更新が施され、低速でのスロットルレスポンスが改善される。これにより低回転から高回転域までターボの存在を感じる事なく、粘り強いトルクと力強いパワーを発揮するユニットとなる。組み合わされるトランスミッションは副変速機付き5速MTとなり、センターデフを備えるフルタイム4WDとなっている。足回りは前後ともにリジットアクスル+コイルスプリング+ショックアブソーバーとなる。ブレーキはフロントにベンチレーテッドディスク、リアにディスクを備え、ABSを装備する。ホイールは16インチが採用され235/85R16と組み合わされている。またETCとよばれるトラクションコントロールを備え、凸凹のある岩場や4輪それぞれのグリップが異なる場合、最もグリップしやすいタイヤにトラクションをかけ、駆動力を維持するシステムとなる。インテリアはシンプルなものとなり、ステアリングを通して大径のスピードメーターと小径の燃料、水温、時計の入ったクラスターが配置される。ダッシュボード中央には各種装備の操作ボタンが並び、1DINサイズのオーディオが備わる。また、ダッシュボード下部にはクーラーの吹き出し口があり、ステアリングポスト右側に風量調整ノブが存在する。フラットなフロアから一段嵩上げされる形で配されるフロントシートのナビ側シート下には、水埃を嫌う電装品が備わる。大型の造りとなるセンターコンソールボックスは木板で組まれた温かみの感じられるものとなっている。リアシートは斜め上方のルーフに開けられたアルパインウィンドウのおかげで明るいスペースとなる。ネットで仕切られたカーゴスペースのサイドウィンドウはスライド式となり、リアハッチ両端の小窓により後ろ隅の見切りは抜群。背面にスペアタイヤを搭載するため、スクエアで使いやすいカーゴスペースとなっている。全長×全幅×全高は、4565mm×1785mm×2070mmとなり、ホイールベースは2794mm、トレッドは前後1510mmとなる。燃料タンク容量は75ℓで車両重量は2020kg、最低地上高215mm、渡河水深限界50cm、最小回転半径は6.4mとなっている。ランドローバージャパンにより、正規輸入が始まった2001年当時は「BMW X5」や「アウディ・オールロード・クワトロ」そして「ポルシェ・カイエン」と今に続く新しいスタイルのSUVブームが始まろうとしていた頃だった。そこにラダーフレームにリジットサスを備え本格的なオフロード性能をもち基本設計を変えずに生き延びてきた「ディフェンダー」が販売されるのは衝撃的だった。その頃「ディフェンダー」は、それを必要とする人が長く使い続けるツールに近い存在で、プレミアムSUVのムーブメントに対しては元祖ともいえる「レンジローバー」で充分対応出来たハズだった。しかし時は流れ、更に裾野を広げるSUVブームの中で、多様性を認める時代となった今、この「ディフェンダー」のキャラクターは貴重な存在と言えるかもしれない。長いシフトノブを通じて左手に伝わる振動や、ウォーム&ローラー式の回した時にユッタリと温厚な反応を感じるステアリング。マニュアルミッションでもアイドリングから思うままにトルクを絞り出せる、スロットル制御のしやすいディーゼルエンジン。発進時の荷重を柔らかく受け止める後軸と呼応して優しく伸びる前軸…これらは「ディフェンダー」でなければ決して味わえない個性となる。遠くアフリカの奥地を赤土を巻き上げながら突き進むイメージを描きながら、アスファルトの路地を走り抜け郊外の河原を目指して、ダイレクトなドライビング感覚を味わい、頑丈な造りのボディに安心感を覚えながら走らせる。目的地では、平らなボンネットをテーブルがわりにアウトドアを楽しみながら、心ゆくまでリラックスした気分を味わう。同じSUVでも「ランドクルーザー」や「ゲレンデバーゲン」では持ち得ないテイストは異なる景色を見せてくれるかもしれない。「ディフェンダー」の持つシンプルでナチュラルな魅力は、カテゴリーは異なるがローバーミニにも通じる、ドライバーが自在に動かす事の出来た時代の、クルマの原点に近いものが味わえる事なのかもしれない…