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メーカー
BMW
ミッション
オートマ
グレード
ボディタイプ
外装色
ブラック
年式
1985 年型
走行距離
32350km
乗車定員
5 名
サイズ
長 429 cm 幅 164 cm 高 135 cm
エンジン形式
排気量
2310 cc
馬力
170
トルク
24.2
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
並行輸入
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

特別なBMW車を作り上げ、その車名には「BMWアルピナ」とBMW社の名前も付けられているアルピナ社。グループ企業となる「メルセデスAMG」とは異なり、BMW社とは資本関係を持たずに深い協力関係を維持しながら続いてきたのが特徴。1977年に初めてのコンプリートカーとして製作・販売されたのが「B7ターボ(E24)」。そのアルピナ社が1980年に発表したのが、初代3シリーズ(E21)となる「323i」をベースとする「アルピナC1 2.3」であった。1982年公開の大藪春彦原作、角川春樹監督による映画「汚れた英雄」で、主人公・草刈正雄演じる国際A級ライダーのプライベートカーとして登場したのがこの「アルピナC1 2.3」。ヒットしたこの映画でのインパクトにより、日本ではアルピナ社の知名度が高まった様に思い出される。この映画が公開された年に、BMW3シリーズが2世代目(E30)に進化すると、それに伴いE30型の「323i」をベースに「アルピナC1/1 2.3」を発表した。車名の「/1」は、E21型「C1 2.3」と区別する為に付けられたといわれている。E303シリーズは初代に比べ、車体寸法が僅かに拡大され、ボクシーなイメージは継承しつつ、より滑らかな洗練されたフォルムとなった。このデザインは「2世代目7シリーズ(E32)」や「3世代目5シリーズ(E28)」を手がけたクラウス・ルーテによるもの。NSUからアウディとわたり歩いたクラウス・ルーテは、1976年ポール・ブラック(メルセデスW113SLのデザイナー)の後任として、BMWチーフデザイナーに就任し、初代3シリーズ(E21)からデザインに関わっている。そのBMW車をベースに、エンジン、足回り、内外装と手を加え特別なクルマとなっているのが「アルピナC1/1 2.3」となる。搭載されるエンジンはベース車と同じ、直列6気筒SOHCエンジンで、ボア・ストローク80.0mm×76.8mm2316ccの排気量をもつ。これらの数値はベースとなる「BMW323i」のエンジンと共通だが、圧縮比は9.8から10.0に、カムシャフトはハイリフトカムシャフトに変更、ピストンはマーレ社製とされ、更に燃焼室形状変更というアルピナ社によるメカニカルチューニングが施されている。またアルピナ専用となるジレット社製マフラーも装備され、得られたアドバンテージは31馬力とトルク2.1kgmとなり、最高出力170馬力/5800rpm、最大トルク23.0kgm/5000rpmを発揮する。排気量を変えずにNAエンジンでありながらメカニカルチューンのみで、これだけのパフォーマンスアップが成り立つのはアルピナ社の技術の高さと言えるだろう。アップされた数値もさることながら、そのエンジン回転の滑らかさもまた絶妙な味わいをもつ。組み合わされるトランスミッションは5MTを基本としながらも、オプションでZF3ATも選択できた。またリア・ディファレンシャルにはロッキングファクター25%となるLSDが装備されている。足回りは、前マクファーソンストラット式+コイル、後セミトレーリング式+コイルとなり前後ともアルピナ専用となるビルシュタイン製ショックアブソーバーが装備される。また前18.5mm径、後12.5mm径となるスタビライザーを備える。ブレーキは前260mm径のベンチレーテッドディスク、後258mm径のソリッドディスクが採用されている。タイヤサイズは前後ともに195/50VR16となり、7J×16サイズのアルピナ・フィンタイプ・アルミホイールと組み合わされる。インテリアはダッシュボードやメータークラスター、センターコンソールはじめスイッチ類は、BMW車そのものとなるが、アルピナ社ならではの専用装備により、まるで異なる空間となる。ステアリングホイールは、小さ過ぎないアルピナ専用モモ製革巻き4本スポークとなっている。シートはアルピナのコーポレートカラーである緑と紺のストライプで彩られた生地による、専用レカロシートが装備される。ステアリングホイールにチルト機構はつかないが、シートは上下出来るので、理想的なドライビングポジションを選択でき、専用の大型フットレストと合わせて運転に集中する事が出来る、上質な空間となっている。全長×全幅×全高は4325mm×1645mm×1350mmでホイールベースは2570mm、トレッド前1421mm、後1429mm、車両重量1170kgとなる。燃料タンク容量は58、新車時ディーラー価格は715万円(3ZFAT20万円のオプションとなっている)。メーカー公表性能値は、0100km/h加速7.9秒、01000m加速28.8秒、最高速度213km/hとなっている。カーグラフィック誌による実測データは0100km/h加速7.8秒、0400m加速15.8秒、01000m加速29.1秒、最高速度207.4km/hとなる(実測は5MT車によるもの)アルピナ社は「C1/1 2.3」を製造している1983年に、ドイツ自動車登録局に自動車メーカーとして正式に登録されている。アルピナ社は、元はタイプライターなどの生産をする事務機メーカーであった。その創業者Dr.ルドルフ・ボーフェンジーペンの子息、ブフカルト・ボーフェンジーペンが1961年に発売されたBMWの意欲作である、自身のBMW1500(ノイエ・クラッセ=NEW CLASSとよばれたモデル)をより快活に走らせる目的で、エンジン・チューニングを始めた事が自動車事業へのきっかけとなる。父の経営する会社の一角で1962年にツインキャブレターや、それを装着する為のインテークマニホールドの開発をし、プライベートチューナーとして歩み始めた。そのチューニングされたBMW1500のパフォーマンスとクオリティが高く評価された事で1964年にBMW社による、メーカー保証まで受けられる程の繋がりができた。翌1965年アルピナ・ブフカルトボーフェンジーペン合資会社が、従業員8人によりスタートし、ヨーロッパツーリングカーレースにシリーズ参戦するまでに成長する。しかし1970年代後半のオイルショックにより、モータースポーツから少し距離をおき、その技術をロードカーに向け少量生産による自動車メーカーへと軸足を移してきた。アルピナ社のエンブレムは、創業のきっかけとなったツインキャブレターとクランクシャフトをモチーフとして現在も受け継がれている。アルピナ社製コンプリートカーは、独自の低いフロントスポイラーとボディに細いストライプのデコラインを特徴とする。その佇まいは車高を少し落として、やや前下がりに見え、ベースのBMW車とまるで違って見える。それはフェンダーに対して四隅に張り出したホイールとタイヤの位置関係が絶妙なサジ加減となり、素晴らしく精悍なプロポーションを作り上げているからかもしれない。排気音はノーマル同様に低く抑えされているにもかかわらず、そのエンジン回転は、あまりにも滑らかでスムーズ。低速トルクに欠ける感じは無く、実に穏やかにギアを繋いでスピードを上げていける。乗り心地は不当に荒くは無く、充分にカドの取れたショックしか伝えてこない。ワインディングロードにおいても、水を得た魚の様にコンパクトなボディは軽快に走る。回頭性も高く、ブレーキの効き方も絶妙となり、僅か2.3エンジンとは全く思えない底力を見せつけてくれる。路面感覚をしっかりと伝えてくれるステアリングを操作しながら、胸のすく加速と減速を味わえるその走りは、スポーツカーといわれる車達より楽しく、また高次元となっている。アルピナ社の起源に近い時代の、古典的なメカニカルチューンによる芸術的なまでの走りっぷりを、余す所なく味わう事が出来る貴重な一台となっている。