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ロードスター
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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
ロードスター
ボディタイプ
外装色
アイボリー
年式
年型
走行距離
2460マイル
乗車定員
2 名
サイズ
長 458 cm 幅 179 cm 高 133 cm
エンジン形式
排気量
2960 cc
馬力
トルク
車検
令和6年11月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
内装色
レッドレザー
燃料区分
ガソリン
幌色
ブラック

ガルウィング社製造車両となります。


メルセデスベンツの歴史は、そのまま自動車の発達史といわれるように、自動車を実用域まで完成させたのは、2人のドイツ人、ゴットリープ・ダイムラーとカール・ベンツであった。2人の発明家は、僅か100キロ余りしか離れていない街で同時期に、相前後して内燃機関を完成し、それを搭載した世界初の自動車のテストに成功するまで互いに知ることが無かったといわれている。ダイムラーの設計した優れたガソリンエンジンは、世界中の陸海空の交通機関の動力として確固たる地位を築き、1894年にパリ〜ルーアン間の126kmで世界最初の自動車レースが開催されると、ダイムラーとベンツはこれに参戦し、これがメルセデスベンツのモータースポーツの発端となる。様々なレーシングモデルを開発しながら第一次世界大戦を迎えると、大戦中に進歩を遂げた航空機エンジンの技術はそのまま自動車エンジンに反映され、そのひとつがスーパーチャージャーとなる。強制吸入の概念を想定してダイムラーは既にパテントを取得し、レースで勝利を収めると、数年を待たずに欧米のレーシングカーがスーパーチャージャーを備えるに至った。1926年合併によりダイムラー・ベンツが誕生する前に加入したオーストリアの有能なエンジニア、フェルディナント・ポルシェを主任設計者に迎え、ポルシェはダイムラー・ベンツに籍をおいた6年の間に、信頼性の高いスーパーチャージャー付き高性能車の設計にあたった。「250SS」や「SSK」はル・マンやミッレミリアで大活躍し、その評判はヨーロッパ全土に響いた。1934A.I.A.C.A(現在のFIA的存在)によりグランプリが開催されるとダイムラー・ベンツは、アルフレート・イノバウアーをマネージャーとして参戦。アウトウニオンとの一騎討ちともいえる闘いをルドルフ・ウーレンハウト設計の「W154/163」で勝利し全欧は再び戦乱に巻き込まれてしまう。第二次世界大戦の戦時下で、工場設備の80%を失ってしまったメルセデスベンツは、戦前に築いた数々の輝かしい戦績も遥か遠くに想うだけのものでしかなく、彼らのレーシングヒストリーは完全に途絶えていた。そんな中で、再びサーキットでの栄光を手にするべく会社を立て直し、ルドルフ・ウーレンハウトを中心に1952年、グランプリ用フォーミュラーとなる「W196」と、レーシングプロトタイプの「W194」の開発が行われた。この「W194」レーシングプロトタイプは、高剛性チューブラーフレームとマグネシウム合金(エレクトロン)製ボディにより僅か870kgの軽量ボディを活かし、ル・マン、カレラ・パナメリカーナ、ミッレミリアで次々に好成績をおさめる事となった。この「W194」の活躍に着目し、当時のメルセデスベンツに、このレーシングプロトタイプの量産モデルの生産と、注文を依頼するという行動をおこしたのがマックス・ホフマンだった。オーストリア生まれのドイツ系アメリカ人で、第二次世界大戦後、ニューヨークで自動車ディーラーを経営していた人物で、ここから「300SL」が誕生する訳だが、ホフマンはポルシェには「356スピードスター」を、BMWには「503/507」の製作を依頼した人物でもある。「300SL」の車名は、排気量を表す数字と「Sport Leicht(シュポルト・ライヒト)」のイニシアルで「軽量なスポーツカー」を意味する「SL」が組み合わされたものとなっている。「300SL」は「W198」のコードナンバーを持ち、マルチ・チューブラー・スペース・フレーム構造による軽量で高剛性のシャーシと、量産車としては初となるボッシュ製燃料噴射装置を備え、ドライサンプ式とされた直列6気筒SOHC3エンジンを搭載し、215馬力を発揮するセンセーショナルなモデルであった。「SL」の車名に相応しい運動性能と最高速度260km/hを標榜する比類なき高性能を備えたスーパー・スポーツだった。ドイツ人デザイナーのフリードリッヒ・ガイガーによりデザインされたボディをもつ「300SL」は、ボディサイドにも備わるスペースフレームの構造材から、特徴的なドア形状が採用され「ガル・ウィング」というニック・ネームが付けられた。「300SL」は19542月のニューヨークで開催された第3回国際モーター・スポーツ・ショーで発表され、瞬く間にアメリカで人気となった。 6820ドルと当時としては超高額車であったにもかかわらず、予想をはるかに上回る1400台という販売台数を記録した「300SL」は、アメリカ市場からのリクエストにより、19573月のジュネーブショーでは、特徴的なルーフをカット・アウトし、女性をエスコートしやすい低いサイドシルをもつオープンモデルの「300SLロードスター」を発表する。オープン化にともない通常タイプのドアをもつボディはフレームの強度や剛性の低下を補うために、各部に補強を加える事でクローズドモデルに比べ100kg以上の重量増となる1360kgの車両重量をもつ。サスペンション特性を変更することで乗り心地の向上もはかられ、よりラグジュアリー色を強めながら、発表当初240馬力だったエンジンは、1959年には圧縮比を9.5に高められるとともにパワーアップされ250馬力/31.5kgmのトルクを発揮し、ハードトップを装備する事によりクーペモデルと同等のパフォーマンスを発揮する。「300SLロードスター」の公表性能値は、最高速度250km/hSS1/4マイル加速を15秒とされ「300SL」とほぼ同等の性能となる。1961年にはタービン・ホイールのような特徴的な形状をもった強力なドラム・ブレーキはダンロップ のライセンスによりAte社が製作したディスクブレーキが4輪に装備される進化を見せた。1962年の記念すべきカーグラフィック誌の創刊号における動力性能テストではSS1/4マイル加速15.4秒を記録し、期待どおりの高性能ぶりを披露した。優れた性能に加えコンフォート性能の向上を果たした「300SLロードスター」は「300SL」を上回る1858台が生産された。第二次世界大戦での敗戦の痛手から蘇り、再び世界に冠たるべく懸命の努力を続けたドイツにとって路上における象徴が「300SL」であり「300SLロードスター」だった。今回入荷した「300SLロードスター」は、ロサンジェルス郊外にファクトリーをもっていた「ガルウィング社」が製作した精巧なレプリカモデルとなる。「ガルウィング社」は、ドイツ系アメリカ人のアントン・エスターマイヤーによる会社で「300SL」は、彼にとっても昔からの夢の車であった。自らメカニックで自動車工場の経営者でもあったアントンは「300SL」を手に入れレストアを始めるが、出来ることなら普段使いしたいと考えメカ部分のみを、現代のモノに換装するなど試行を始めた。それを見た人からのオーダーが舞い込むようになり、ほぼ手作りで年間約20台の生産が始まった。このレプリカモデルは、数台のオリジナルから採寸され、ホイールベースも同一となっている。基本的にはスチールのフレームにFRP製のボディとなるが、特徴的なスペースフレームも出来る限り再現されている。FRP製ボディは、オリジナルの質感を出すべく、FRPの上に更に特殊な技術でアルミニウムを圧着するという手間がかけられたものとなる。オリジナルの「300SL」のパフォーマンスには及ばないが、メルセデスベンツ製パワートレインと足回り、そしてエアコンはじめ実用性を考えた装備が施されている。またメルセデスベンツ製部分を多用することでアフターケアの容易さも考えられたモデルとなっている。「ガルウィング社製300SLロードスター」に搭載されるエンジンは、W124Eクラスにも搭載されていた、M103型の型式名を持つSOHC直列6気筒で、ボア・ストローク88.5mm×80.25mmをもつ排気量2960ccとなる。ボッシュKEジェトロニック燃料噴射装置をを備え、最高出力185馬力/5700rpm、最大トルク26.5kgm/4400rpmを発揮する。軽快に良く回るエンジンでタップリとした低中速トルクと、SOHCながら高回転まで軽々と回る二面性を備え、メカニカルノイズや振動が少なく、ストレスを感じさせない造りとなっている。組み合わされるギアボックスは、メルセデス自慢のプラネタリーギア式4段オートマチックとなる。Dレンジのままでも、ドライバーの意思どおり忠実なギア選択が可能でエンジンの旨味を惜しげもなく引き出せるものとなる。都内の低速から郊外の中高速はもちろん、峠道を飛ばす際にもマニュアル・ギアボックス並みのレスポンスとフィーリングの良さを感じる事が出来るものとなる。足回りは、R107SLから流用されたフロント・ダブルウィッシュボーン式、リア・セミトレーリングアーム式となる。ブレーキはサーボ付き4輪ディスクが採用されABSが装備される。タイヤはオリジナルでは6.50-15サイズとなるが、ガルウィング社製では205/70R15サイズが装備されている。インテリアは、エクステリア同様にオリジナルと全く変わらぬ精度で再現され、メーター類はVDO製のリメイクされたモノがレイアウトされ、スイッチ類もオリジナルから型取りされたモノらしく、完璧に当時がそのまま再現された空間となっている。メッキのホーンリングがウィンカーレバーを兼ねた大径ステアリングホイールや、シフトレバーも忠実に再現され、革製シートに腰を下ろしたドライバーには、全くオリジナルと同じ景色を目の当たりにすることとなる。幌は耐候性も高く、しっかりとした造りとなりトランクのカーペットの下には、テンパータイヤが装備されている。全長×全幅×全高は、4570mm×1790mm×1330mm、ホイールベース2400mm、トレッド前1385mm、後1435mmとなり、オリジナルの1398mm/1448mmに比べやや狭い。燃料タンク容量は70となっている。しっかりとした建て付けの良いドアを開き、太いサイドシルを越えてドライバーズシートに腰を下ろすと、それはまさに「300SLロードスター」の世界となっている。フロントウィンドウを通して見えるフェンダーの盛り上がりや長いノーズ、バックミラーに映り込むリアフェンダーの膨らみもオリジナルと変わるところが無い。メーター類などを含めて全てがクラッシックな装いとなっているが、中身は現代的なものとなっている。オートマチックの「D」レンジをセレクトして走り始めれば、エアコンの恩恵も得られることにより周囲のクルマのドライバー達が想像するより遥かに安楽なドライブが楽しめる。レプリカといえども乗り心地は想像以上となる。街中はもちろん、高速道路においてスピードを上げても安定感を損なう事なく、常にどっしりとして突き上げや煽りを感じる事は無い。1台ずつ丁寧に作りあげられたボディは、段差を超えても軋み音を発する事なく、しっかりと組み立てられた印象を受ける。ドアをはじめ、ボンネットやトランクなど開口部の工作精度も高く、操作時には常にカッチリと閉じる事が出来る。特別ハイパワーなエンジンを搭載しているワケではないのでワインディングを飛ばしても、スポーツカーを乗りこなしている感覚とはならないかもしれないが、合法的なスピードを維持しての高速クルージングは、このクルマの得意とするところで、乗り心地は良く直進安定性も高い。幌をあげて緩やかに海岸線でも流せば、発表当時人気を得ていたアメリカ西海岸の風景が想像出来るかもしれない。オリジナルの「300SLロードスター」を完調な状態で維持する苦労を考えれば、ガルウィング社のモデルを走らせる楽しみは充分に意味のある事だと思う。そして万が一、横にオリジナルの「300SLロードスター」に並ばれたとしても、全く気付かれる事は無いだろう…