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メーカー
アルピーヌ
ミッション
マニュアル
グレード
ボディタイプ
COUPE
外装色
ブルーメタリック
年式
1972.0 年型
走行距離
31600km
乗車定員
2.0 名
サイズ
長 381.0 cm 幅 152.0 cm 高 115.0 cm
エンジン形式
排気量
1280.0 cc
馬力
トルク
車検
令和6年1月9日
ハンドル
駆動区分
輸入区分
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

アルピーヌ創始者である、ジャン・レデレは父親がルノー・ディーラーを経営していた事もあり、始めにルノー4CVをチューンナップしてモータースポーツに参戦した。好成績を挙げるのに伴って、ルノー・レース部門から援助を受けて、4CVの床板と鋼管を組み合わせたフレームに、軽いFRPのクーペボディを架装したアルピーヌA106が完成させる。その後、ベースの4CVがドーフィンに代わると、独自の鋼管バックボーンフレームを採用、A108が製作された。この構造を進化させ、1963A110がデビューする。この時、最も大きな転換のひとつは冷却水ラジエーターがリアからフロントに移動した事で、A110は発売後も進化をする度にモータースポーツで活躍し、1971年ラリー・モンテカルロでは13位を独占、ERCからWRCに格上げされた1973年、その初代マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得する。A106/A108/A110ともにボディデザインは、ジョバンニ・ミケロッティによるもの。1963年から1978年の生産中止に至るまでの間A110はハンドクラフトの利便性を活かしバリエーションを増やし多くのモデルが造られる事になる。大きく分けて11形式の基本モデルと、3形式の派生モデル、及び12排気量のエンジンによる16種類のチューニングと、2種類のサスペンション形式が存在する。生産台数は7276(アルピーヌ本社の発表では7000)とされている。その中でA110 1300VCは、A110の生産開始一年後から1969年迄、生産されていたA110 1100VA型の後継車として1970年に登場したモデルで、シリーズのラインナップ中最もベーシックモデルといえる存在で1976年迄、生産される事となる。搭載されるエンジンは、ルノー社のセダンとなる12(ドゥーズ)用に開発された810型と呼ばれるもの。水冷直列4気筒OHVでボア×ストローク73.0mm×77.0mm1289ccの排気量を持ち、圧縮比9.0でダウンドラフトウェーバー32DIRを装備する。(今回入荷したモデルは、サイドドラフトウェーバーに換装され、室内に装備された2脚の純正バケットシートに加え、ロールバーを備える事などから、ライトチューンが施されている様にみうけられる)最高出力は81馬力/5900rpm、最大トルクは10.5kgm/3500rpmとなる。組み合わされるトランスミッションは4速の330型、または5353型が装備される。足回りは、フロントがダブルウィッシュボーン+コイル、リアがスウィングアクスル+コイルとなりブレーキは4輪ディスクブレーキを装備する。ホイールは5J×13インチのゴッティ製、鉄リム+アルミディスクの2ピースモデルが標準装備される。(今回入荷したモデルには、R8ゴルディーニ用に組み合わされる事が多かった、イギリス製コスミック社のMk-Iアルミ1ピースホイールが装備されている)タイヤサイズは165-13HRとなる。全長×全幅×全高は3850mm×1520mm×1130mm、ホイールベース2100mm、トレッド前1311mm、後1290mmとなり車両重量は700kgとなる。FRP製のドアを開けて低いボディの中に文字通り潜り込む様にして、ドライバーズシートにおさまるとキャビンはとてもコンパクトでピッタリと全身がクルマに包まれ、そのフィット感は、息苦しさと紙一重ともいえる。足元は狭いが純正バケットシートのホールド感は素晴らしく、ブラックスポークのMOMO製プロトティーポ・ステアリングの向こうのメーターナセルには中央に油温計、油圧計(オリジナルは時計となるが、時計はメーターナセル外に移設されている)、アンメーターの小径3個のメーターが配置される。その両側に大径の、左に8000rpm迄刻まれたレブカウンター(水温計が含まれる)、右に240km/h迄刻まれたスピードメーター(燃料計が含まれる)が置かれている。メーター類は全てレタリングの美しいVeglia製となっていて視認性はとても高い。ステアリングから右手を下ろした位置にあるシフトノブは、そのフィーリングがロータス・ヨーロッパなどとならんで曖昧であると定評がある所となる。走り出すと、これがたかだか大衆車用1.3OHVエンジンなのか、と思う程に良く走る。これこそライトウェイトスポーツの心地よさの見本ともいえる特性に気持ちが昂ぶる。フラットなトルク特性を持つエンジンに気難しさは無く、どの回転数からでも加速出来る。逆に、ある回転数からパワーが盛り上がるというドラマ性には欠けるがドライバビリティとスタビリティはとても高く、硬めだが荒々しさの無い快適な乗り味を持つ。リアエンジン・リアドライブによるクセを意識する事があまりなく素直なコーナーリングが可能となっている。同じRR+ショートホイールベースのポルシェ911A110はまるで異なる走行感覚を持つといわれている。911でしかRRを知らないドライバーはA110に乗るときっと驚くだろう。両車ともRRゆえリアヘビーなのでターンインでは同じ様にリアは外に振り出そうとする。異なるのはそこからパワーオンした時にリアが路面に貼り付いて安定して強力なトラクションを生み出すのが911A110はあっさりとパワーオーバーステアの体勢に入る。それは両車のリア重心の高低差や、車体剛性の違い、またリアサス形式の違いによるものと考えられる。だからハイパワーなA110を本気で速く走らせたい場合LSDが必要になるという。しかしA110のラインナップの中でベーシックな位置付けとされる1300VCでは、穏やかな基本特性を持ちながらもワインディング・コースで痛痒を覚える様な事は全く無く充分にスポーツ走行を楽しむ事が出来る。しっかりこのカテゴリーのベンチマークと呼べるリアル・スポーツとなっている。スポーツカーだから、よりポテンシャルの高いエンジンを搭載したモデルに憧れるのは勿論だが、ライトウェイトスポーツで成り立ってきたロータスやアルピーヌは、クルマの楽しみはそれだけでは無い事をきっと教えてくれる。それを知るのに1300VCはとても良い選択となるかも知れない。量産車のパワーユニットを搭載する事でメンテナンスに過敏にならず、更に強力なエンジンに対応出来るシャーシ特性を持つことで、ゆとりを持った足回りのチューニングとなっている為、走らせる楽しみをタップリ享受出来ると思われる。長く愛用する事でたくさんのドライビングシーンを心に残す事が出来る貴重なモデルと言えるだろう。