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エグゼクティブ
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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
エグゼクティブ
ボディタイプ
外装色
ダークブルー
年式
1993.0 年型
走行距離
6300km
乗車定員
5.0 名
サイズ
長 502.0 cm 幅 175.0 cm 高 144.0 cm
エンジン形式
排気量
2921.0 cc
馬力
200
トルク
27.2
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブルーモケット
燃料区分
ガソリン
幌色

ボルボの「900」シリーズは、それまでの「700」シリーズに代わる1990年代ボルボの上級レンジを受け持つモデルとなっている。「900」シリーズには4気筒エンジンを搭載する「940」と、6気筒エンジンを搭載する「960」がラインナップされ、それぞれセダンとエステートボディが存在する。3桁の数字で表される車名の中央の数字が、搭載エンジンの気筒数となっている。1991年モデルとして、1990年秋のパリサロンで発表された「900」シリーズは、ボルボ在籍の英国人デザイナー、ピーター・ホルベリーのデザインによるもので、ボルボ最後のFRモデルでもある。先代に似たキープコンセプトのデザインながら、セダンボディはトランクリッドが高くされ、リア・ウィンドウがより寝かされてその分ルーフ前後長が短く、直線を活かしながらも清潔感が感じられる、誰が見てもスウェーデンのイエテボリから送り出されたクルマだと認識しやすいデザインとなっている。ボルボが目指すボディスタイリングのアイデンティティは、あらゆる車が走っている中でも、一目で「ボルボ」だと認識されるデザインの構築だといわれている。安全性にも強いこだわりをもつボルボは、1950年代に社内エンジニアのニルス・ボーリンにより考案された3点式シートベルトの特許を無償公開し「960」でも3点式イナーシャリール内蔵巻き取りシートベルト、リア中央シートへの調整式ヘッドレストを世界に先駆けて標準装備。更にリアシートのセンターアームレストに組み込まれる、一体型のチャイルドシートも設定され話題となった。1992年モデルからは、ABSとエアバックが装備され、新たなセーフティ・システムとしてSIPS(Side Impact Protection System)とよばれる安全ボディ構造を採用している。これはボディフロア、ルーフ・メンバー、ピラー、ドアシル、ドアなどのボディ構造物が、連携して衝撃を吸収するシステムで、側面衝突による衝撃が加わっても、乗員を守る構造になっている。「ボルボ960エグゼクティブ」に搭載されるエンジンは、1991年にそれまでのB280F型エンジン(PRVによる2.8V6エンジンで、プジョー・ルノー・ボルボにより共同開発され、ランチア・テーマやルノー25など多くの車種に搭載されたエンジン)に代わり、新たに採用されたB6304F型とよばれる、オールアルミ製の直列6気筒DOHC24バルブエンジンで、開発に10年を費やし、ポルシェが関与したといわれるものとなっている。エンジン型式の「B6304F」とは、Bはガソリン、66気筒、30は排気量、44バルブ、Fは触媒コンバータ付きである事を意味する。ボア×ストロークは83.0mm×90.0mm2922ccの排気量をもち、ダイレクト・イグニッションとボッシュ・モトロニックM1.8燃料噴射装置を備え、10.7の圧縮比から200馬力/6000rpm27.5kgm/4300rpmのトルクを発揮する。2020kmオーバーホール不要、という超ロングライフ設計となり、シリンダーブロックは上下2分割され、鍛造製クランクシャフトのメインベアリングキャップを一体型とし、剛性を上げながら2次振動を効果的に押さえ込んでいる。各接合面には独立したガスケットを用いず、液体ガスケットを採用するなど基本的にエンジン自体を分解しない事を前提として造られている。カムシャフトもクランクシャフト同様に、カムカバーそのものでジャーナル部分を固定し、バルブクリアランス調整は油圧ラッシュアジャスターが採用される事で不要となる。唯一カムシャフト駆動にコックドベルトが使われているのが疑問点となるが、騒音や潤滑の面でのメリットを考えての事かもしれない。低速からの豊かなトルク特性をもち、1000rpmから最大トルクの80%にあたる21kgmを発揮、エンジン単体重量182kgと軽量設計で、ボルボ史上最良のパワーユニットと言われたエンジンとなっている。組み合わされるトランスミッションは、アイシンワーナー製の電子制御式4速トルコンATとなる。肝心のトルクコンバーターには、当時のトヨタ・セルシオに採用されていたものと同タイプの大容量のものが採用され、シフトショックが少なく滑らかな変速が可能となっている。また「ウィンター・スポーツ・エコノミー」の3つの変速モードが備わり、シフトレバー横にレイアウトされる「WSE」の3つのボタンによる任意の選択が可能となる。足回りは、フロント・マクファーソンストラット式+スタビライザー、リア・マルチリンク式となり、今回入荷した「960エグゼクティブ」では、リア・サスにオートレベライザーが装備される。これはエステート・モデルには標準装備されるもので、リアに荷重がかかってもライドハイトを一定に保つ事が出来るものとなっている。ブレーキは、フロントにベンチレーテッド・ディスク、リアはソリッド・ディスクを装備しABSが備わる。ホイールは前後とも6J×15インチサイズとなり、195/65R15サイズのタイヤと組み合わされている。インテリアはドライバーズ・シートからの眺めは、広くとられたウィンドウエリアによりセダンとして充分に開けた視界をもち、先代の「760」から大きく変更は行われず、視認性に優れたインストルメントパネルを装備する。メータークラスター中央には、大径のスピードメーター、右にひとまわり小さなタコメーター、左にアナログ時計が配される。長時間ドライブに対しても疲労を最小限にとどめる為、医学専門家も設計に参加して作られたシートは、快適なヒーター機能を内蔵したものとなり、スカンジナビア・デザインが取り入れられ、北欧伝統の家具に通じる人への優しさが感じられるものとなっている。例えばパワーシートのスイッチ部分は、リフト、スライド、リクライニングなどの各操作別にスイッチの大きさ、形状が異なりブラインド・タッチでも簡単に操作出来るものが採用されている。機能的なメルセデスベンツ方式だけではなく、こういう型式もあるという好例といえるだろう。150mm延長されたホイールベースをもつ「960エグゼクティブ」では後席レッグスペースを中心にゆったりとしたキャビンをもち、より快適なラグジュアリーサルーンとしての完成度の高さを誇るモデルとなっている。全長×全幅×全高は、5020mm×1750mm×1440mm、ホイールベース2920mmとなり、標準型「960」モデルより150mm延長されている。トレッド前1470mm、後1520mm、車両重量1580kg、燃料タンク容量80、最小回転半径5.3m、新車時価格は810万円となる。「ボルボ960」セダンの生産台数は112710台となっている。カーグラフィック誌による実測データは、同じエンジンを搭載した「960」標準モデルでの実測値で0100km/h加速10.0秒、0400m加速17.1秒、01km加速30.3秒、最高速度208.8km/hとなっている。ダイナミックな動力性能よりパッシブセーフティなど、どちらかというと地味なイメージをもつFRのボルボサルーンが、換装されたオールアルミ製・直列6気筒エンジンによりラグジュアリーサルーンとしての完成度を大きく引き上げたのが「960エグゼクティブ」といえるのかもしれない。搭載されるエンジンの特徴は、6気筒による回転のスムーズさとレスポンス、乗用域での豊かなトルク感となり、それらは全て高級サルーンにとって最も重要で必要な部分となっている。モータースポーツ参戦などにより、ボルボのターボ技術は高く評価されるところではあるが、完全バランスとなる直列6気筒であるところ、自然吸気エンジンによるところの素直さは、改めて良質なエンジンである事を意識させられる。Dレンジのままでアイドリング時の静けさは言うに及ばす、そこから常用域となる3000rpmまでは微かにエンジン音が聞こえる程度。そこから5500rpm迄はDOHCらしく、あたかも「カムに乗る」ようにいちだんとトルクが盛り上がり楽々と6000rpmのレブリミットまで届いてしまう。その時のエンジン音は、DOHC24バルブの名に相応しく快音となっている。高速道路での3000rpmOD130km/hに相当し、エンジン音より風切り音が上回り始める速度帯となる。充分な静粛性を保ちながらの長距離ドライブは、延長されたホイールベースとマルチリンク式リア・サスによりフラットな乗り心地が実現され、何処までも疲れ知らずのまま走って行ける実力を持つ。ハンドリングはアンダーステアを保つボルボらしく、スタビリティ重視な味付けとなっている。地球環境を考える現在のボルボは、既に内燃機関の開発から完全に撤退を表明している。これはフィヨルドでの発電などによる、潤沢な北欧での電気事情や親会社である中国のジーリーホールディンググループの意向も背景にあると考えられる。1926年に自動車製造を開始し「ボルボ設計の基本は安全」という理念に基づいて生産を続けてきたボルボの「世界一安全なファミリーカー」の中で、自然吸気ガソリンエンジンの魅力が一際光る、ボルボの新たな一面を見せた一台が「960エグゼクティブ」となっている。