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スポーツシフト
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メーカー
アストンマーティン
ミッション
オートマ
グレード
スポーツシフト
ボディタイプ
外装色
セレストブルー
年式
2009 年型
走行距離
21900
乗車定員
2 名
サイズ
長 438 cm 幅 186 cm 高 125 cm
エンジン形式
排気量
4735 cc
馬力
426
トルク
48.0
車検
令和5年4月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
アークティックブルーレザー
燃料区分
ガソリン
幌色

イギリスのスポーツカーメーカーの名門アストンマーティン、全ての生産車が高性能なラインナップの中にあって、その中でも一際高性能なモデルに対して与えられてきた名前が「ヴァンテージ」となる。「有利、優勢、優越」と訳されるこのワードはV8エンジン搭載モデルに限っていえば、1977年の「V8ヴァンテージ」に始まる。2世代目は1993年に登場した「ヴィラージュ」の5.3V8エンジンにツイン・スーパーチャージャーを装備した高性能版の「ヴァンテージ(スーパーチャージド)」。そして3世代目は少し趣きを異にして、アストンマーティンのローエンドモデルとして20053月のジュネーブショーでデビューすることとなるベイビーアストンに名付けられる事となった。新たに登場した「V8ヴァンテージ」は、そのライバルをあからさまに「ポルシェ911」と公言しながら、性能とブランド力をバックグラウンドとしてアピールした。そのボディは、2001年にデビューした上級グレードの「ヴァンキッシュ」、続く「DB9」でも用いたVHプラットフォームとよばれるアルミ製のフレームに、一部スチールを使いながらも、ほぼアルミのボディパネルをもつ。ヴァンキッシュでは、アルミとカーボンファイバーのハイブリッド構造となっていたフレームは、V8ヴァンテージではアルミ材の「プレス成形/鋳造/射出成形」を使い分けながら、リベットと接着剤により組み上げられ軽量と高剛性を誇っている。ボディデザインはBMW Z8をデザインした経歴を持つヘンリク・フィスカーによるもので、素晴らしくアグレッシブでアストンマーティンらしいスポーティなルックスとなる。特徴的なグリルからの長いボンネットと、車体後方にセットバックされたキャビンを持ち、リアのリップスポイラーまで全く緊張感の途切れないフォルムを持つ。またアストンマーティンのトレードマークとなるフロントフェンダーのエアベンドも、ボディサイドのシャープなアクセントラインとうまく融合され、ラインナップ中でもハイレベルなまとまりを見せている。搭載される4.3V8エンジンは、同じフォード傘下となるジャガー製AJ-V8から派生したものとしながらも、その8割のパーツを新設計し直す事により380馬力と41.8kgmのトルクを発揮、車両価格も含めそのパフォーマンスもライバルとなるポルシェ911に迫るものとされていた。この「V8ヴァンテージ」登場に大きく寄与したのは、2000年からアストンマーティンのCEOとなったウルリッヒ・ベッツという人物。フォルクスワーゲングループのフェルディナント・ピエヒやGMのボブ・ラッツと並ぶ、筋金入りのカーガイとなる。アストンマーティン以前の経歴は、ポルシェ社在籍時に964カレラの開発に携わり、その後BMW社に移籍するとZ1を作り上げ、再びポルシェ社に戻り993カレラを作り上げたといわれている。そのポルシェ911を知り尽くした人物が、ライバルとなる「V8ヴァンテージ」を造るというところがとても素晴らしい事だと思う。そのカーガイであるウルリッヒ・ベッツは、65歳にして20085月のニュルブルクリンク24時間レースに自らステアリングを握り「V8ヴァンテージN24」で参戦し、クラス3位の入賞を果たすこととなる。この時アストンマーティンはこのレースでエントリーしたSP8クラス、1-2-3位と表彰台独占を果たしV8ヴァンテージのポテンシャルの高さを証明するとともに、社内の士気を大いに高めた。また、このレースには豊田章男社長率いるトヨタも「レクサスLFA」のプロトタイプをエントリーしていた。ウルリッヒ・ベッツは来場していた豊田章男に個人的な接触をはかる事がきっかけとなり「トヨタIQ」をベースとする、マイクロアストンの「シグネット」が誕生したといわれている。この後、ウルリッヒ・ベッツは2015年に引退するまでアストンマーティンで八面六臂の活躍をし、同社を牽引し続けていく事となる。印象的なレースがあった2008年に「V8ヴァンテージ」はビックマイナーチェンジを受け、魅力的なフォルムはそのままに、各部に更なる進化を遂げエンジンを4.7化された。排気量アップされたエンジンは、水冷V8気筒DOHC32バルブで吸気側カムシャフトに可変バルブタイミング機構が付く。ボア・ストロークは91mm×91mmのスクエアとなり、4735ccの排気量をもつ。最高出力は426馬力/7000rpm、最大トルク47.9kgm/5750rpmを発揮し、4.3エンジンに比べ出力で11%、トルクで15%の性能アップがはかられた。457ccの排気量アップに伴い、鋳造アルミピストンと鍛造コンロッドは新たに作り直され、2mm広げられたボア径にあわせて、吸気バルブも34.9mm35.9mmに拡大された。また鍛造クランクシャフトの形状変更や、高効率化を求めドライサンプシステムの引き回し方が変更されるなど、マイナーチェンジの域を逸脱し、ほぼエンジンは別物とよべる程の進化を遂げている。エンジン単体重量は4.3とほぼ同じ220kgとなる。組み合わされるトランスミッションは、LSD付きデフの直前に置かれるトランスアクスル方式を採用し、使用されるグラツィアーノ製6速ギアボックスとエンジンは、カーボンファイバー製のプロペラシャフトで結ばれる。6MT及びスポーツシフトともに、鋭いエンジンレスポンスを得る為、フライホイールの軽量化が施された。スポーツシフトは、油圧によりクラッチを断続するシステムで、クラッチペダルを持たない2ペダル式となる。センターコンソールの「D」ボタンを押す事でATモードを選択出来、自動変速による走行が可能となる。またステアリング裏に装備されるパドルを引く事により、任意にシフトチェンジしながら走る事も出来る。シフトアップ時には僅かにアクセルを緩める事で、よりスムーズなチェンジが可能となり、シフトダウン時には、瞬時に自動でブリッピンクが行われエンジン回転を合わせてくれる。スポーツシフトによるギアチェンジは、他のオートマチックシステムに比べ、よりエンジンのレスポンスとダイレクトなギアチェンジを味わえるものとなり、自らクルマを走らせる充実感を味わえる。足回りの構造に変更は無く、前後ダブルウィッシュボーン式としながらも、ショックアブソーバーが4.3時代のカナダのマグネティック社製から、ビルシュタイン社製に変更された。それに伴いスプリングレートも前11%、後5%高められ、ショックアブソーバーの上下動が4.3時代と大きく異なり、より緻密な動作が可能となりロードホールディング性能が高められた。ブレーキは前後ともに4ポット対向キャリパーを備え、スリッド入り鋳鉄製ベンチレーテッドディスクと組み合わされる。またホイールは1インチアップされた19インチが標準装備となり、タイヤサイズは前235/40ZR19(8.5J)、後275/35ZR19(9.5J)となっている。インテリアはセンターコンソールのデザインが一新され、上位モデルの「DBS」に準じたものとなった。これに伴いECU(Emotional Control Unit)とよばれるスマートキーが採用されセンターコンソール中央に、それ用のスロットが装備された。ステアリングをとおして対面するメーターパネルは左側に330km/hまでのスピードメーターと、右側に逆回転となる8000rpmまでの回転計が備わる。また「DBS」ではADS(アダプティブ・ダンピング・システム)のスイッチが設けられるセンターコンソール右下(右ハンドル車の場合左下)部分に、スプリング機構で出し入れ出来る、差し込み式のラミー社製ボールペンが備わる。これはV8ヴァンテージにはADSの設定が無いことによる。適度なタイト感と低いドライビングポジションとなるシートはサポート性も高く、ハードなドライビングにも適している。シート後方にはラゲッジスペースが備わることによりタイトな車内の圧迫感はいくらか緩和されたものとなっている。全長×全幅×全高4380mm×1865mm×1255mm、ホイールベースは2600mm、トレッド前1570mm、後1560mm、車両重量は1660kg。燃料タンク容量は80で、前後重量配分は理想的な50:50となる。新車時価格はV8ヴァンテージ・スポーツシフト・クーペが1609万円、6MT・クーペが1554万円となっている。メーカー公表性能値は0100km/h加速4.8秒、最高速度290km/hとなり、4.3時代のそれぞれ5.0秒と280km/hを上回る。またニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのラップタイムは4.385秒から755秒に向上している。カーグラフィック誌による実測値はスポーツシフト・クーペによるデータで、0100km/h加速4.8秒、0400m加速12.9秒、01000m加速23.3秒となっている。サイドシルに「Hand build in England」のプレートを誇らしげに装備するところに、100年をこえてスポーツカー造りを続けてきたこだわりを感じさせる。スーパースポーツとしてはコンパクトなボディは、大柄なライバル達が多い中にあって存在感あるものとなる。センターコンソールの「D」ボタンを押してアクセルを踏み込むとクラッチがエンゲージされるポイントがある。そこで一瞬アクセルをホールドし、クルマが動き出したのを感じてから踏み込むことでスムーズにスタート出来る。このモードでは車速に応じて自動的にギアチェンジが繰り返される。エンジンの回転フィールは4500rpmくらいまでは、いくらかガサついて感じられるかもしれないが、バルブタイミングが変化する5000rpmを迎えると急激にエンジン音が澄んでパワー感が増し、7300rpmのピークを目指して吹け上がるとともに一気に加速出来る。ステアリング裏のパドルを操作してマニュアルシフトモードに移行すると、ギアチェンジのタイミングが素早くなり、レスポンスの良いエンジンと耳と心に響く印象的な咆哮が高まる。この音が聞きたくて意味もなくシフトダウンしたくなる気持ちが良くわかる瞬間である。市街地では硬めに感じられた乗り心地もスピードを上げるにつれ、しなやかに変化してくる。操縦性は、実に素直で安定感のあるものとなり、ワインディングでの切り返しは4.3時代に比べより洗練されたステアリングフィールとなっている。コーナリングスピードは高く、繊細なコーナリングを高い次元で堪能する事が可能となる。そしてパワーに負けないブレーキング性能の高さも特筆すべきものとなり、ポルシェ911をライバルと公言するだけの実力をしっかりと備えている。イギリス伝統のブランドを現代に引き継ぐスポーツクーペを走らせる喜びは、クルマ好きにとっていくら時間があっても足らないものに感じられるだろう。