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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
プロフェショナル
ボディタイプ
外装色
ホワイト
年式
2013.0 年型
走行距離
26300km
乗車定員
4.0 名
サイズ
長 464.0 cm 幅 176.0 cm 高 202.0 cm
エンジン形式
排気量
2980.0 cc
馬力
183
トルク
車検
ハンドル
駆動区分
4輪駆動
輸入区分
並行輸入
内装色
グレーチェック
燃料区分
ディーゼル
幌色

19793月のジュネーブショーでデビューした「メルセデスベンツ・ゲレンデヴァーゲン」は、小型軽量4駆の「ハフリンガー」や、大型全輪駆動車「ピンツガウアー」などで知られる、オーストリアのグラーツにあるシュタイア・ダイムラー・プフ(現マグナ・シュタイア)7年間にわたる共同開発期間を経て発売された、メルセデスベンツのクロスカントリー・ヴィークルとなる。シュタイア・ダイムラー・プフの開発担当エンジニアは、エーリッヒ・レドヴィンカという人物で、その父親のハンス・レドヴィンカは、ハンガリー帝国出身で1930年代に最も進んだ自動車会社のひとつであったチェコのタトラで、SOHCエンジンの動弁機構や半球型燃焼室を開発した経歴をもっている。「ゲレンデヴァーゲン」の車体構造は「レンジローバー」に似て、強固な梯子型シャーシフレームを持ち、前後固定車軸はストロークの長いコイルバネと、深い断面による頑強な鍛造ラジアスアームで構成される足回りで吊られている。駆動系は「レンジローバー」がフルタイム4WDなのに対し「ゲレンデヴァーゲン」はオン/オフの効くパートタイム式を採用、センターデフの装備が無く、標準で4MT、オプションで4ATが選択可能となる。高い堅牢性をもつボディストラクチャーは、8個の大容量ラバーマウントでシャーシフレームと繋がり、2種のホイールベースに、2ドア幌型2座、2ドア2座バン、2ドア5/7座ワゴン、4ドア7座ワゴンなど、6種のボディバリエーションをもっていた。搭載されるエンジンも「レンジローバー」が乗用車用をベースとするV8・ガソリンエンジンのみだったのに対し、ディーゼルエンジンが「230GD」と「300GD」の2種、ガソリンエンジンが「230G」と「280GE」の2種が設定され、幅広いラインナップをもって構成されていた。「ゲレンデヴァーゲン」は、軍用車の民生用やNATOからのリクエストで開発されたといわれているが、70年代にダイムラー・ベンツ社の大株主であり、自動車コレクターとして知られるイランのパーレビ国王の要望により開発されたモデルとなる。自国の国境警備や狩猟など民生用途も視野に入れた、万能の4輪駆動車の開発を希望していたといわれている。1900年初頭に4輪駆動車の技術を完成させていたダイムラーは、1926年ベンツと合弁し、36輪駆動車の開発まで行っていたが、第二次世界大戦後、全輪駆動車の開発からは遠ざかっていた。そのためメルセデスベンツは、オーストリアのシュタイア・ダイムラー・プフと協業体制で開発にあたり、1973年にモックアップモデルを、翌年1974年には最初の試作車を完成させた。どんなに厳しい状況の中でも、高い走破性と安全性、快適な乗り心地を求めて、サハラ砂漠や北極圏など過酷な環境下でのテストを繰り返した。1977年には「ゲレンデヴァーゲン」の量産に向け合弁会社となるGfGが設立され、シュタイア・ダイムラー・プフの敷地内に専用の組み立て工場が建設される。そして1979年に完成を迎えるが、この年、イラン革命が起きパーレビ国王から依頼された2万台のバックオーダーがキャンセルとなってしまう。それでも高い踏破性能をもった「ゲレンデヴァーゲン」は、ドイツ国境巡視隊での採用を皮切りに、NATOに正式採用されるとノルウェー、ベルギー、ギリシャとヨーロッパを中心に各国からの受注によりこれを乗り越え、フランスのトゥーロンにあるオフロードコースでワールドプレミアを行った後、販売開始となる。1基の製作用ロボットすら存在しないグラーツの組み立て工場で、まさに手作りで製作される「ゲレンデヴァーゲン」は、メルセデスベンツといえども、量産車用の生産ラインでは達成し得ない、フレームの6400箇所にも及ぶ溶接ポイントを可能とし、軍隊での使用に耐える程の高いスペックを生み出すとともに、多岐にわたるバリエーションに応じる事をも可能とした。GfGは、メルセデスベンツの「ゲレンデヴァーゲン」と、シュタイア・プフの「プフ・ G」としてバッジエンジニアリングを行い、輸出先によりブランドを使い分けながらの出荷が行われた。また「ゲレンデヴァーゲン」は、1982年からパリ・ダカール・ラリーに出場すると、翌年の1983年には空気抵抗を削減し、アルミボディで軽量化を図った「280GEラリー」で、ジャッキー・イクス/クロード・ブラッスール組が総合優勝を果たし、その高い走破性と耐久性を世界中にアピールした。そして1980年代中盤「アウディ・クワトロ」でアウディが開発したフルタイム4WDシステムが注目を浴びはじめ、1987年にアメリカで「レンジローバー・ヴォーグSE」により高級SUVが認知されると「ゲレンデヴァーゲン」は1990年モデルからフルタイム4WDと、モダナイズされたエクステリアをもつW463型を派生させる。オーバーフェンダーや「Sクラス」の様なウッドパネル、レザー内装など充実した装備をもつW463型の登場により、更に販売台数を伸ばした「ゲレンデヴァーゲン」は、累計生産台数10万台を突破する。一方、パートタイム4WDによる初期モデルはW460型とよばれ、1992年まで生産されていたがマイナーチェンジを受けW461型に進化する。 その後GfGは解体されるがメルセデスベンツが引き続き「ゲレンデヴァーゲン」の開発を担当し、オーストリアのグラーツにある工場での生産は継続され、1993年にメルセデスベンツによる生産車のモデル名の再編により「ゲレンデヴァーゲン」は新たに「Gクラス」とよばれ現代に至る。この「Gクラス」を名乗ってからのW463型は徐々にハイパワー化する傾向を見せ、豪華装備と併せて「AMG」モデルも加わると、プレミアム4WDとも表現出来る新たな路線を歩みはじめる。断続的に生産され続けてきたW461型だったが2001年に生産終了を迎え、残されたW463型もあわせて「Gクラス」の生産中止の意思表示をするように、メルセデスベンツは「GLクラス(X164)」をデビューさせる。しかしマーケットはそれを許さず「Gクラス」は生産され続け、2009年になると「Gクラス30周年記念モデル」を登場させる。「プロフェッショナル・シリーズ」の先駆けとなるこのモデルが「G280CDI EDITION30 PUR」で、オーバーフェンダーを装備しながらも「ゲレンデヴァーゲン」登場時のエクステリア・イメージをもち、ダッシュボードはW463用を流用しながら、マニュアル式空調システムや手動式サイドウィンドウを装備し、200台が限定生産された。ヘッドライトやウィンカーはワイヤーパーツで保護され、ボンネットはその上を歩いてルーフラックにアクセス出来る様に、強化されるとともに特殊な凸凹の塗装が施されていた。メカニズム面では通常の「Gクラス」と同様となるが、本格的なオフロード走行を見据えたシンプルな装備により、本来持っている高い悪路走破性を発揮出来る「ゲレンデヴァーゲン」直系の後継モデルともいえる内容を持っていた。この「G280CDI EDITION30 PUR」をベースに、それを引き続ぐモデルとして2011年に発表され2014年迄生産されていたのが、複数のボディバリエーションを持つ「G300CDI professional」となる。このモデル以降「プロフェッショナル・シリーズ」は2016年に「G350d professional」が販売され、2018年「Gクラス」のフルモデルチェンジ以降も「G400d professional ED」が販売されるなど「Gクラス」のシリーズの中では注目のモデルとなっている。今回入荷した「G300CDI professional」に搭載されるエンジンは、OM642型とよばれるオールアルミ製72°V6気筒DOHC24バルブとなるディーゼル・エンジンで、ギャレット製ターボチャージャーを装備する。ボア×ストローク83mm×92mmから2987ccの排気量を得る、コモンレール式の直噴ディーゼル・エンジンで、ヨーロッパの排ガス規制・ユーロ5をクリアするクリーン・ディーゼル・エンジンとなっている。18.0の圧縮比をもち、最高出力184馬力/3800rpm、最大トルク40.8kgm/16002400rpmを発揮。組み合わされるトランスミッションはトルコン式5ATとなり、副変速機を備えるフルタイム4WD方式の駆動システムをもつ。フロント、センター、リアのディファレンシャルは、それぞれにロック機構をもち、高い悪路走破性能を持ったものとなる。足回りは、フロント・リアともに3リンク式リジット+コイルとされ、ブレーキはフロントにディスク+4ポッド・キャリパーが組み合わされ、リアはドラム式となり、ABSが装備されている。タイヤサイズは265/70-16となり、5スポークの16インチのアルミホイールが組み合わされている。「G300CDI professional」のエクステリアは、W460世代のブラックアウトされたフロントマスクを備え、ヘビー・デューティーな佇まいを見せる。助手席側フロントフェンダーから突き出たスノーケルは、エンジンルームまで伸びエアインテークに接続される。これにより最大水深600mmまでの渡河能力を備えるとともに、砂漠地帯では砂塵を避けクリーンなエアをエンジンに供給することが可能となる。人が上に登る事を想定し強化されたボンネットを備え、その表面は凸凹のある硬質な特殊塗装が施されている。背面ドアは、観音式となり狭いエリアでも扱いやすく、ドア開口部の下には大型の牽引用フックが備わる。スペアタイヤはリアに位置し、可動式タイヤキャリアに装着されている。またインテリアは、初期型「ゲレンデヴァーゲン」を思わせるクラシックなチェック柄のファブリックシートが備わる。床にはカーペットが装備されず、剥き出しのフロアには、チェーンの付いた水抜き用のプラグが設置されている。センターコンソール部のネジやシンプルなデザインのスイッチ類は全て防水仕様となり、サイドウィンドウも同じ理由から、敢えて手動式が採用されている。ウッドの化粧パネルは無く、道具感溢れる黒一色のフェイシアとなりマニュアル式エアコンが装備される。運転席、助手席にはエアバックが備わり、メルセデスベンツ純正の4スポークステアリングを通して中央にレイアウトされる大型のスピードメーターは、見やすいシンプルなデザインとされ180km/h迄刻まれている。左側にタコメーター、右側に水温計、燃料計が備わり、VDO製となるメーター類は、小型のメータークラスターに収まっている。全長×全幅×全高は4540mm×1770mm×1980mmで、ホイールベースは2850mm、トレッドは前後ともに1475mm、車両重量2120kgとなっている。最小回転半径は6.3m、燃料タンク容量は96となる。最低地上高213mm、アプローチ・アングル36°、デパーチャー・アングル31°で、最大登坂勾配80%となっている。メーカー公表性能値は、最高速度160km/hとなっている。クロスカントリー・ヴィークルといえども、メルセデスベンツが造るならば、比類なきまでのクオリティをもち、およそ大地の続く限り河に行手を阻まれても浅瀬を見つけて渡河し、地平の果て迄走り続ける走破性を持つ。その上でオンロードでの乗り心地は下手なサルーンを凌ぎ、快適性をも併せ持ち、戦車にも匹敵する堅牢さと高い踏破力、そして疲れを感じさせない足回りをもつのが「ゲレンデ・ヴァーゲン」と、登場時に表現された。それから時が流れてライバルとされてきた、元々は「ゲレンデヴァーゲン」と同じく質実剛健な成り立ちをもつ「レンジローバー」は、BMW傘下からフォード傘下を経て生産されながら、モデルチェンジの度にソフィスティケートとアップデートが施されながら、時代に沿ったカタチでの進化を重ねてきた。それを目の当たりにしながら、メルセデスベンツなりに変化を受け入れつつ2018年のフルモデルチェンジまで、約40年間を基本構造を継承し、ひとつの世代で乗り切ってきたのが「Gクラス」となる。そこには、登場時にミリタリー・ユースに支えられた事が逆に足枷となり、供給を中断出来ない理由から、モデルチェンジも叶わないという背景も存在するのかもしれない。そして安全装備においても他社に先駆けて、常に最先端の技術を研究し続け導入してきたメルセデスベンツは、ボッシュと共同開発によりABSはじめ、TCS(トラクションコントロール)、更にはESC(横滑り防止装置=エレクトリック・スタビリティ・コントロール)に代表される電子デバイスの搭載を積極的に進めてきた。これらエレクトリック・デバイスによる進化は、新たなヴィークル・ダイナミック技術を生み出しモデルチェンジとともに、より高い走行性能と進化をもたらしてきた。自動車メーカーの中で先進の技術力をもつメーカーのひとつであるメルセデスベンツは、それを踏まえた上で、敢えて「Gクラス」に手を入れながら生産し続けてきた、という事は「Gクラス」が開発時から如何に高いクオリティで基本設計がなされてきたかという証ともなる。その優れた設計により、大型エンジンによるハイパワー化や、豪華装備による重量増にも対応することを可能とし、特に日本ではメルセデスベンツ全体の僅か2%にあたる販売台数の「Gクラス」を、約1割も輸入する程の人気を誇る。プレミアムSUVとしての「Gクラス」の人気も勿論だが、多くのモデルの中からプロギアとして、このモデルが本来持つ性能を楽しみたいと思うユーザーもまた多く存在する。そこに向けて登場したのが「プロフェッショナル・シリーズ」となり、発表される度に注目を集めてきたモデルとなる。背の高い「G300CDI professional」のプッシュボタンを押し、異様にガッチリとした作りのドアを開けトラック並みに高いドライバーズシートに腰を下ろす。クラシックなチェック柄のファブリックを用いた固めのシートは、しっかりとドライバーの身体を保持して長時間のドライブでも疲れを感じさせない作りとなる。多くのSUVの中でも高いアイポイントをもち、開発された世代を感じさせる前後に薄いダッシュボードと、傾斜角の浅い平面ガラスが特徴的なフロントウィンドウ、そして垂直に切り立ったピラー類に囲まれるコックピットは「Gクラス」ならではの世界となる。視界はどの方向にも素晴らしく良く、フロントフェンダー上に飛び出したウィンカーや、垂直に配置されるサイド・ウィンドウにより車両感覚はとても掴みやすい。ハンドル、ペダル類を含め操作系は重めで、しっかりと動かす事を要求してくる。この操作感覚は、道なき地の果てのシビアな条件下に於いて、僅かな車両操作時を想定したもので、現代のメルセデスベンツとは異なり、他の多くのSUVとも全く異なる。軽快で洗練された操作感覚とは反対側に位置する、重厚で大きなモノをオペレートする感覚に溢れる「G300CDI professional」のドライブ感となる。走行中は、路面のギャップやショックを見事に吸収しながら、フラットな乗り心地を維持し高い直進安定性を保つ事が可能となっている。ダンピングは強力でボディの剛性感も他のモデルでは味わえない程、高く感じられる。この「Gクラス」のライド感は、梯子型シャーシフレームを覗いて見ればわかるだろう。前後サスペンションのアームのピポットや、ダンパーとスプリングのマウントの仕方など、まるで乗用車のレベルを超えて戦車の様に見える。ミリタリー・ユースを意識させるこれらのディテールは「ゲレンデヴァーゲン」とよばれた時代から変わる事なく「Gクラス」だけが持ち続けてきた、他の多くのSUVとは全く異なるプロギアとしての一面を感じさせるものとなっている。その上で「G300CDI professional」は、クリーンディーゼルエンジンにより、アップデイトされたパワーユニットを搭載し「ゲレンデヴァーゲン」時代のルックスを再現されながらも正規輸入されていない、たいへん貴重な一台となっている。