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246GT クラシケ取得車両
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246GT クラシケ取得車両
ボディタイプ
外装色
ロッソ
年式
1972.0 年型
走行距離
86350km
乗車定員
2.0 名
サイズ
長 428.0 cm 幅 170.0 cm 高 113.0 cm
エンジン形式
排気量
2418.0 cc
馬力
195
トルク
23.0
車検
令和6年10
ハンドル
駆動区分
輸入区分
中古並行輸入
内装色
タンレザー
燃料区分
ガソリン
幌色

「ディーノ」をはじめ、多くのフェラーリのボディデザインに関わってきたカロッツェリア・ピニンファリーナは、創業1930年のトリノのカロッツェリアとしては、いたって後発ながら瞬く間に自動車デザインのトレンドを生み出す発信元へと上り詰めた。その特徴は、メインとなるデザイナーが表に出るのでは無く、あくまでも「ピニンファリーナ」の作品としてモデルを発表しているということ。均整のとれたプロポーションと斬新でありながら、普遍的な息の長い美しいデザインを生み出し続けてきた。デザイナーの個性を尊重しながら、三次元に翻訳し立体を形造る職人達と、当主であるピニンファリーナ家の高い眼識が加わって完成するデザインがその基本となっている。ピニンファリーナを支えてきたチーフスタイリストは、30代でクリエイティブな才能のピークを迎え、それ以降は経験値と成熟性で仕事を積み重ねている。そしてもうひとつの要素は、観念的な「美しさ」を大切にしながらも、エアロダイナミクスに着目し、創業当時から続くボディラインの流麗さは、明らかに空気の流れを意識したものとなっていて、実車による実験が可能な風洞を1972年という他社からみれば、かなり早い時期にに完成させることで「美しさ」を数値と機能で裏付けられたものとした。どちらかといえば保守的なエンツォ・フェラーリに対して、時代の新たなトレンドを常に提案していたのも、このカロッツェリア・ピニンファリーナだった。1960年代、ミッドシップレーシングモデルの「206S」のシャーシを使って、フェラーリに対して新たなスポーツモデルの提案をしたのもピニンファリーナだった。それは196510月のパリ・サロンで発表され、当時チーフスタイリストだったアルド・プロヴァローネによるミッドシップ・スタディモデル「ディーノ・ベルリネッタ・スペチアーレ」だった。アグレッシブ極まる美しさは、翌年発表されるランボルギーニとベルトーネによる野心作「ミウラ」に対抗するには充分だったが生産化にはまだ3年もの月日を要する事となる。196611月のトリノショーではプレクシグラスで覆われた4灯ヘッドライトが特徴だったノーズデザインを、プロヴァローネが描いたオリジナルスケッチに近い2灯式のフェイスにリデザインされた2次プロト「ディーノ・ベルリネッタGT」が発表され、この手直しを若き日のレオナルド・フィオラバンティが担当したとされている。そして迎えた1967年トリノショーで「ディーノ206GT」としてフェラーリ初のミッドシップロードモデルがデビューを果たす。「ディーノ」の名称は、社主エンツォ・フェラーリの愛息、アルフレディーノの愛称といわれ、溺愛したにもかかわらず夭逝してしまったこの息子の作、とされるV6ユニットを搭載する。またエンツォは、どちらかと言えば保守的なフェラーリユーザーに対して、黎明期であったミッドシップモデルを提示する冒険は避けたいという考えから「ディーノ」のブランドが誕生する事となった。しかし現在ではこのV6ユニットの設計者は、50年代に史上初となる乗用V6エンジンをランチア・アウレリアのために設計したエンジニア、ヴィットリオ・ヤーノであるとする説が有力視されている。1967FIAによる新たなレギュレーションが発表され「F2用エンジンは1年間で500台以上量産するモデルに搭載されている物に限る」という事になった。そこで1965年のフィアットとの共同開発により196611月のトリノショーでは「フィアット・ディーノ・スパイダー」が、翌19673月ジュネーブショーでは「フィアット・ディーノ・クーペ」がデビューし、FIAのホモロゲーション獲得を達成する。3車種共用となるアルミブロックを持つティーポ135Bとよばれるディーノ・ユニットは65°のバンク角を持つV6エンジンである事と2の排気量は共通ながら「ディーノ206GT」が搭載するエンジンはミッドシップとなる為、エキマニの取り回しやオイルサンプのディテールが異なる。キャブレターもフィアット・ディーノ用はウェーバー40DCNFなのに対し40DCNF/1という専用品が装備される。シャーシは後の「246GT」やその後継となる「308GTB」にもつながる開発技術者アンジェロ・ベレイを中心としたチームによる、フェラーリ伝統の鋼管スペースフレーム構造となる。モデナのヴァカーリ社で製造されたフレームに、スカリエッティ社製アルミボディが架装され、180馬力を発揮するティーポ135Bユニットで車重1040kgのボディを0100km/h加速8.2秒、0400m加速15.5秒と最高速度225km/hという2ロードカーとしては優れた性能を発揮し153台が生産される事となった。1969年、フェラーリの親会社となったフィアットの意向で量産化と耐久性の面から「ディーノ246GT」となって同年3月にジュネーブ・ショーでデビューする。スチール製に改めらたボディをもち、2.4に拡大されたエンジンも頑強な鋳鉄ブロックに変更された。ボディデザインの変更点は少なく、ヘッドクリアランスを稼ぐ為に、全高が20mmプラスの1135mmとなり、バランスを取るようにホイールベースが60mm延長され2340mmとなる。また「ディーノ206GT」ではボディから飛び出したデザインのフィラーキャップが「ディーノ246GT」ではボディ同色のフラップの中に収められた。またエンジン・フード上のスリットも片側6個から7個に改められた。搭載されるエンジンは、V12気筒エンジンの設計にも携わったアウレリオ・ランプレディにより、再設計されたティーポ135CS型とよばれる65°V6DOHCエンジンとなる。ボア×ストロークが92.5mm×60mmとされ、2418ccの排気量を得て、ダウンドラフトのツインチョークウェバー40DCNF型のキャブレターを3基備え、9.0の圧縮比から最高出力195馬力/7600rpm、最大トルク23.0kgm/5500rpmを発揮する。鋳鉄ブロック化されたこのエンジンは、乾燥重量134kgとなりアルミ製に対して僅か4kg重くなっただけで済んだといわれている。組み合わされるトランスミッションは自社製5MTとなり、ロッキングファクター40%となる機械式LSDが装備されている。足回りは前後とも、ダブルウィッシュボーン式+コイル+スタビライザーを装備し、KONI社製ショックアブソーバーを備える。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクを装備し、ガーリング製ブレーキキャリパーと組み合わされている。ホイール&タイヤサイズは、前後クロモドラ製6.5Jの軽合金ホイールに205/70VR14のミシュランXWXが装着される。「ディーノ246GT」には、大別してタイプLME3種のモデル・バリエーションが存在する。今回入荷したタイプMと呼ばれるモデルは、ボディは親会社フィアットの意向によりプレス成型が採用され、生産性の向上が図られている。本格的に量産モデルとよべるのは後期型のタイプEになってからで、タイプMではまだ手作りに近く、タイプLとタイプEの中間的な仕様となる。それまで装備されていたセンターロック式ホイールは、同デザインの一般的な5穴式が採用され、前後バンパーは太めのものに改められた。リアバンパーそれぞれに1つづつ装備されていたバックランプは、中央に1つだけレイアウトされることとなった。ボディサイドのエアインテークの凹んだエリアの下側に移動したキーホールをもち、交差式となるワイパーは継続して採用されている。インテリアでは、シフトゲート脇にあった室内空調用のレバー類がインパネに移動し、その下にはオーディオが装備されることにより、グローブボックスは小型化された。またウッド製だったステアリングはレザー巻きとされ、リア・バルクヘッドに取り付けられていたヘッドレストがシートのバックレストに備わるようになった。トランクフードにあったトランクオープナーは、室内に移されている。メータークラスター内には「206GT」から続く、大小8つのメーター類がレイアウトされ、大径の270km/hまで刻まれたスピードメーターは左側に、中央の4つの小径メーターを挟んで右側には1万回転まで刻まれたタコメーターが置かれている。メーター類はVeglia製となり2つの大径メーターには「Dino」のレタリングも施されている。丸いシフトノブと、根本のメッキ製ゲートは、この時代のフェラーリモデルならではのものとなっている。今回入荷した「ディーノ246GT」が取得している「クラシケ」とは、歴史的、資産的に価値のあるフェラーリ各車の生産を行ってきたフェラーリ自らが、それを証明する生産証明書である。またその発行事業を表す「フェラーリ・クラシケ」は2006年から始まったもので、設立当初の生産証明委員会の長となったのはピエロ・フェラーリとなり、強い自信を持っていた。「クラシケ創設は、過去に生産したモデルに対して自分達がどれだけ情熱と関心を払っているか表すものであり、エンスージャスティックな顧客との長期的な信頼関係を維持する為のもので、父(エンツォ・フェラーリ)が創立した会社にまつわる神話に彩を加えるもの」と語っている。生産から20年以上経過したモデルや限定車が対象となり、生産当時の設計図や資料に基づきオリジナルを保っている車両に対してフェラーリが有償で鑑定書を発行するシステムで、日本の正規ディーラーが代行する形で行われている。認証され「クラシケ」を取得すると認定書としての赤いブックレットとエンブレムが与えられる。2023年時点で世界各国で8000台以上のフェラーリが「クラシケ」を取得し、貴重な文化遺産でもあるフェラーリの保護と維持に役立てられるとともに、スペアパーツの再生産や管理にも有効なものとなっている。全長×全幅×全高は4235mm×1700mm×1135mm、ホイールベースは2340mm、トレッド前1425mm、後1430mm、車両重量1080kg(乾燥重量となり実質1200kgといわれている)。燃料タンク容量70。新車時ディーラー価格900万円(1973年・西武自動車)。生産台数はディーノ246GTとしては2487台、そのうちタイプMは僅か507台となる。メーカー公表性能値は0400m加速15.4秒、最高速度235km/h。カーグラフィック誌による実測データは、海外でのポール・フレールによるテストデータが掲載され、0100km/h加速7.1秒、0400m加速14.8秒、01000m加速27.0秒、最高速度233km/hとなっている。「ディーノ246GT」のドアを小さなメッキされたドアノブで開き、シートに腰を降ろすとフロントウィンドウごしに左右の盛り上がったフェンダーが目線の高さにに入る。そして全方向に視界は開け、特にリアクォーターの窓の切れ方はミッドシップモデルとしては異例となり、考えられたデザインを実感する事が出来る。エンジン音は、背後から大きめなボリュームで室内に透過してくるが、とてもフレキシブルでタウンスピードでの乗り心地を含めて、低速から高速まで快適なものとなっている。これは乗員が重心付近に座っているというポジショニングのせいでもあるが、スピードを増すにつれ、より良くなる傾向を持つ。重めのクラッチながら全体的にローギアードな5段ギアボックスはフェラーリの常で画然たるゲートを備えている。その為チェンジレバーの動きは大きく素早いチェンジには、慣れを要する。加速では同時代のポルシェ・カレラに一歩譲っても、エンジン回転が4500rpmから上にいくにしたがい、マフラーとエンジンのサウンドがシンクロし始め、ミュージックと呼ぶに相応しいサウンドを奏でる。これは「ディーノ246GT」でなければ体験出来ないものとして評価が高い。また左右のフロントフェンダーはコーナーリング時にクルマを理想的なラインに乗せるのに絶好なガイドともなっている。ステアリング・ホイールに添えた手を僅かに動かすだけでノーズは反応を示し、そのまま保舵力が重くなる事無く、思い通りにコーナーをクリアしていける軽快感は他のフェラーリロードカーではなかなか得られないもの。2速あるいは3速のフルパワーをかけてコーナーリングしても、前後タイヤは絶妙にバランスし、純粋にニュートラルステアを示す。このハンドリング特性はずば抜けて高く自信を持ってワインディングを堪能する事が出来る。ミッドシップ黎明期にこれだけバランスの取れた挙動に仕上げていたのに驚きを感じる事が出来るとともに、その秀逸なボディサイズと、時代を代表する素晴らしいボディデザインを目の当たりにすると、技術の進化とはいったい何なのかと考えさせられるかもしれない。大きすぎるエンジンパワーも重い快適装備もそれ程必要では無かったのかもしれないと…スポーツカーに必要なのはドライバーの思い通りに反応してくれる事、ただそれだけ。その上魅力的なスタイルとサウンドをもつ「ディーノ246GT」は、一体感を味わいながら走らせる喜びを実感出来る。こんなクラッシックフェラーリは、なかなか探せないかもしれない。