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メーカー
ミッション
オートマ
グレード
ボディタイプ
外装色
クリムゾンパール
年式
2005 年型
走行距離
7850km
乗車定員
2 名
サイズ
長 452 cm 幅 185 cm 高 129 cm
エンジン形式
排気量
4564 cc
馬力
324
トルク
42.8
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ベージュ
燃料区分
ガソリン
幌色

ガソリンで走る自動車を産み出したのはヨーロッパだったが、20世紀に入って自動車産業の中心はアメリカに移る。上流階級の馬車から発展したヨーロッパの限られた人の為の自動車に対して、国土が広く実用的な移動の手段として、自動車の大衆化が進んだアメリカでは、工業化が進み中間層が自動車を購入する財力を手にしていた。「T型フォード」を作り上げたフォードは、ミシガン州デトロイトに大規模な工場を建設し、それを追いかけるように多くの自動車メーカーが誕生するが、1929年の大恐慌を乗り切れたのはフォードに加え、GM、クライスラーのビックスリーを中心とした一部の自動車メーカーとなる。この1920年代から1950年代にかけてのアメリカでは、全世界の実に8割から9割の自動車が生産され、第2位の自動車生産国であるイギリスに対しておよそ100倍ともなる台数を、ほとんどデトロイト周辺で生産していた。自動車製造会社が支払う賃金の水準はアメリカ国内でも抜きん出て高く、豊かな生活水準と国の経済を支えていた。そのアメリカでビュイックの次に長い歴史をもつ「キャデラック」の元となる1899年にヘンリー・フォードを擁して設立された「ヘンリー・フォード・カンパニー」は、大衆車を目指すフォードと高級車志向の経営陣との対立によりフォード自身が会社を去る事となってしまう。後にヘンリー・フォードは自身で「フォード・モーター・カンパニー」を創業し1908年に「T型フォード」を発表し自身の目的を果たす。フォードが去った社内では、チーフエンジニアの職を打診される程の技術者、ヘンリー・マーティン・リーランドがフォードのあとを継ぐことになり1902年に1号車を完成させた。リーランドは自身の名前を社名とするのを断り、デトロイトを開拓したフランスの貴族「Cadillac(カディヤック)伯爵」に因んだ「キャデラック」という社名を推奨した。「キャデラック」は翌年から本格的に自動車製造を開始し、1909年にGM創設者ウィリアム・C・デュラントの求めによりGMグループに入り、以降GMの最高レンジを担うブランドとして存在するようになった。「キャデラック」は量産車初のV8気筒エンジンや、パワーステアリング、オートマチックトランスミッション等、その当時の最先端技術を積極的に取り入れながら最高級ブランドとして君臨し続ける事となる。特徴的なエンブレムもカディヤック家の紋章をモチーフとし、設立当初は6羽の鳥があしらわれた複雑なものだったが2014年以降は現在のデザインとなる。その「キャデラック」がイメージを一新し、スタイルと品質、性能、全てにおいて磨きをかけ「キャデラック・ルネッサンス」を宣言し、先にデビューしたラグジュアリーセダンの「CTS」とともに新たなイメージリーダーとして20031月のデトロイトショーでデビューさせたのが「キャデラックXLR」となる。イタリアのカロッツェリア・ピニンファリーナがデザインした事で話題となった「キャデラック・アランテ」以来、約10年ぶりとなるオープン2シーターモデル。「XLR」の特徴的なボディデザインは、1999年のデトロイトショーで発表されたショーモデル「エボーク・コンセプト」がベースとなっている。「キャデラック」の伝統に根ざしながらも「ステルス戦闘機のイメージを取り入れた」とプレスリリースに記される様に、直線基調で仕上げられたCd0.31を誇るボディデザインは、ジョン・キップ・ワンセコという「キャデラックCTS」を手がけた人物によるデザイン。同じくリトラクタブル・ハードトップを採用する「メルセデスベンツSL(R230)」や「レクサスSC(ソアラの最終モデル)」をライバルにもつ「ウルトラ・ラグジュアリー・ロードスター」となっている。ハイドロフォーム成型(円筒状のスチールパイプを機械的に折り曲げ、その中に液体を注入し加圧する事で、必要な角断面を形成する加工法)による、同じくGM傘下の「コルベットC6」と共通のGMYプラットフォームを採用、1981年にオープンしたケンタッキー州のボウリング・グリーン工場で「コルベットC6」とともに製造される。シャーシと一体構造の自動車としては当時最長となる170インチ(4.3メートル)の外周レールを左右に持ち、内部にプロペラシャフトが通るセンタートンネルとあわせて前後方向に3本の太い梁をもつ強靭なプラットフォームとなっている。アルミ製コックピット、バルサ材をサンドしたコンポジットフロア、更にトランクリッドやルーフはファイバーグラス製、フロントとリアパネルはポリウレタン製となり軽量に気を配ったボディ構造をもつ。その上トランスアクスル方式による、高い走行安定性をもつシャーシ開発は「コルベットC6」と同じGMハイパフォーマンスカー設計グループのチーフ、デイブ・ヒルが中心となりまとめられたものとなっている。「キャデラックXLR」に搭載されるエンジンは、オールアルミ製で縦置き用にリファインされた「ノーススターエンジン」が採用される。水冷V8気筒DOHC32バルブでボア・ストローク93.0mm×84.0mmをもち4564ccの排気量となる。電子式燃料噴射装置と10.5の圧縮比から最高出力324馬力/6400rpmと、42.9kgm/4400rpmの最大トルクを発揮する。「キャデラック・アランテ」とともに登場した「ノーススターエンジン」はLH2とよばれる第3世代のものが「XLR」には搭載され、およそ8割のパーツが新設計されるとともに、新たに吸排気ともに連続可変バルブタイミング機構が加えられている。プラットフォームを共有する「コルベットC6」には軽量で低重心、強力なトルクキックをもつOHVスモールブロックエンジンを、「XLR」には先進で洗練されたパワーデリバリーが滑らかなDOHCのノーススターエンジンをそれぞれのフロントにミッドシップに搭載して製造が行われた。両車のキャラクターが明確に使いわけられながもV8エンジンにこだわるところはアメリカ車らいしところといえるかもしれない。組み合わされるトルコン式5ATトランスミッションは、リアデフとともに車体後部に配置され前後重量配分は走行性能に有利な50:50(実質リトラクタブル・ハードトップにより49:51となる)とされている。足回りは前後ともダブルウィッシュボーン式となり、前後に樹脂製横置きリーフスプリングを備えながら、標準でマグネティック・セレクティブ・ライド・コントロールを備える。これはダンパーの減衰力を連続的に可変させるシステムで磁気感応流体を使用しているだけに、そのレスポンスは1000分の1秒と非常に速い。ブレーキは前後ともにベンチレーテッドディスクを備え「ABS(アンチロック・ブレーキ・システム)」と「TCS(トラクション・コントロール・システム)」を統合制御する「スタビリティトラック」を装備する。18インチ・アルミホイールに組み合わされるタイヤはP235/50ZR18(始めにつくPの表示はオールシーズンタイヤという意味)サイズの「Michelin MXM4 ZeroPressure」で、ランフラットタイヤとなっておりパンクした状態で80km走れる性能をもっている。ウッドとレザーで構成されるインテリアは、奇を衒ったところは感じられずデザイン的にも使い勝手の面でも調和した、クルーザーのようなラグジュアリーな空間をもつ。左ハンドルのみとなる「XLR」のメータークラスターにはイタリアの高級宝飾品メーカーである「BVLGARI」がリモコンキーと合わせて、デザインを担当したメーター類がレイアウトされ、260km/hまで刻まれたスピードメーターのベゼルには「BVLGARI」の7文字が配置される。ウッドとレザーのコンビとなるステアリングは普通の油圧式とは異なり「マグナステア」とよばれる、油圧と電磁気力を使ったシステムが採用される。速度感応式となっているが低速域では重さを感じ、やや人工的なフィールとなる。エンジンスタートはスマートキーによるプッシュスイッチ式、速度などの情報はフロントスクリーンに投影する「ヘッドアップディスプレイ」が担い、前方の走行車を感知し速度調整が出来る「アダプティブ・クルーズコントロール(ACC)」が備わる。トルコン式5ATは「ドライバーシフトコントロール」とよばれる任意にシフトチェンジ可能なシーケンシャルモードを備える。8ウェイ電動調節機構を備えるシートは、ヒーターを装備するのに加えてセラミックディスクを用いたクーラーが備わり、他のキャデラック同様に厚みがあり疲れにくいものとなっている。DVD+ナビゲーションシステムとあわせてBOSE製オーディオ+9スピーカーシステムが標準装備される。オープン時の風の巻き込みは80km/hくらいまでは、ウィンドディフレクターが無くても気にならない。リトラクタブル・ハードトップは、メルセデスベンツとポルシェによる合弁会社カートップ・システムズにより開発されたもので、トップはシフトセレクターで「P」を選択した状態でセンターコンソールのスイッチを押し続ける事により約30秒で電動開閉が出来る。開閉時はトランクフードが高く持ち上がるので天井の低い場所では注意が必要となり、トップ収納時のトランクスペース容量は限られたものとなってしまう。同世代となる「メルセデスベンツSL(R230)」のバリオルーフは、トップ収納時にリアウィンドウが180°回転しながらトランクに収納されるのに対し「XLR」はリア・クォーターウィンドウが折り紙の様に横に倒れて格納されるところがそれぞれのトランスフォームのハイライトとなっている。全長×全幅×全高は4520mm×1850mm×1290mmで、ホイールベースは2685mm、トレッドは前後1580mm、車両重量1670kg(R230型・メルセデスベンツSL500より150kg軽量)。最小回転半径5.8m、燃料タンク容量68、新車時価格1200万円となっている。メーカー公表性能値は0100km/h加速5.9秒、SS1/4マイル加速14.3秒、となっている。「キャデラックXLR」を走らせ、最初に感じられるのはボディのしっかり感かもしれない。特にフロアの強さは特筆すべきもので、路面の不整による影響は感じられず、オープンボディ構造特有のスカットルシェイクも発生しない。アメリカ製である事が信じられない程、低速では操舵力を必要とするステアリングは、高速での直進時には有効なものとなる。コーナーでのロールや発進減速時のピッチングは、上手く押さえ込まれ「マグネティックライド・コントロール」の恩恵を感じられる。DOHCエンジンらしく3000rpmあたりから、トルクの太さを感じさせるエンジンはトップエンドまで気持ちよく回り、瞬間的な力強さより、あくまでも滑らかさを重視し優雅にスピードを上げながら高まるエンジンサウンドも楽しめるものとなっている。それは往年のアメリカ車の加速感を意図的に再現しながら、それこそが「キャデラック」らしい個性といえるのかもしれない。スポーツカーとしてのダイレクトなスピード感は、同じプラットフォームをもつ「コルベット」に任せて、大人の為のラグジュアリーカーとしての高い完成度と一際印象的なウェッジデザインをもっているのが「XLR」となる。オープンにした時のスタイリッシュさはもちろんだが、クーペスタイルとなる屋根を閉じた時のキャビンが小さく見えるフォルムも、とてもスポーティでカリスマ性が感じられ、多くの人の記憶に残る一台となるだろう…