サイズ
長 450.0 cm 幅 189.0 cm 高 122.0 cm
ワンオーナー、車検、整備全てレクサスサービスセンター東京にて行っております。
希少車両入庫致しました。
︎レクサスLFAは、2005年と2007年の東京モーターショーでプロトタイプが公開され、当初「LF-A(Lexus Future Advance)」と命名されていた。2005年のプロトタイプは平面造形で構成され、量産には程遠く感じられたが2007年の2世代目のプロトタイプは、まとまりのある美しさを持ったデザインとなった。凹面を巧みに生かした造形をもち、5ℓ近いV10エンジンを搭載するとは思えないコンパクトなボディに見えた。これは、70〜80年代のフェラーリをピニンファリーナ社在籍中にデザインをしていた、レオナルド・フィオラバンディの関与を窺わせるもので「LF-A」とフィオラバンディのイニシアル「LF」が重なるのは、偶然なのだろうか…2007年にレクサスは「IS」というモデルに「IS-F」というグレードを加えた。この「F(富士スピードウェイの意味)」シリーズの頂点に「LF-A」を位置付けるとともに、世界超一級レベルの動力性能と官能性をあわせもつスーパースポーツカーとしての開発を、統括エンジニアの棚橋晴彦とテストドライバーの成瀬弘を中心としてすすめていた。そして迎えた2009年、東京モーターショーで発表された市販型「LFA(Lexus FSports Apex」は、トヨタ自動車元町工場の「LFA工房」にて、全てを職人によるハンドメイドにより生産される事となった。「LFA」最大の見どころとなるのは、100%自社でつくられるカーボンコンポジット製のそのボディ。F1参戦により、そこから生まれた技術が活かされ、車体の中心となるキャビン部分は、カーボン成形法としては従来からあるプリプレグ法とSMC法に加え、RTM法と呼ばれる(E46型BMW・M3CSLのルーフに使われた手法)成形法を組み合わせ、強度と軽量化のバランスを取りつつ生産性を向上させていた。またルーフサイドレールはABS製のチューブが「三次元編み機」によりカーボンの糸で包まれる構造となる、織機の技術を持つトヨタ独自の画期的な製法が用いられている。このカーボンコンポジットボディの前後にアルミ製フレームがボルト締めされ、開発初期(2003年)のアルミプレス構造によるボディに比べ、約100kg軽量化されて重量236kgに仕上がっている。このボディを骨格としながら、被せられる外皮は、面積が広く剛性が必要なエンジンフード、ルーフにカーボンコンポジット(CFRP)、フロント及びリアフェンダー、サイドスカート、ドアなど剛性を必要としないエリアには、ガラスコンポジットが用いられ、軽量で高剛性のボディが形作られている。搭載されるエンジンは1LR-GUE型と呼ばれる、水冷72度V型10気筒DOHC40Vの「LFA」専用エンジンとなり、コンパクトで軽量に仕上げられている。このエンジンは、ハードウェア開発はトヨタ2000GT開発以来、永きにわたり技術提携をしてきたヤマハ発動機が担い、電子デバイスや制御システムの開発をトヨタ自動車が主に担当した。17ℓ入るエンジンオイルの潤滑はドライサンプ式とし、なるべく低く搭載し重心を下げられる様に考えられている。ピストンはアルミ鍛造製、コンロッドはチタン鍛造製、クランクシャフトはニッケルクロモリ鋼の鍛造製となる。吸排気それぞれのバルブに連続可変式(VVT-i)を採用し、気筒ごとに独立した10連独立電子制御スロットルを備え、アイドリングから9000rpmまで0.6秒という圧倒的なレスポンスが可能となる設計がなされている。ボア・ストロークは88mm×79mmで4805ccの排気量と12.0の圧縮比から560馬力/8700rpm、48.9kgm/7000rpmのトルクを発揮する。パフォーマンスはもちろん、NAエンジンならではのレスポンスとコンフォート性、そして何よりもそのサウンドにこだわって開発されたエンジンは等間隔爆発となる様に、72度のバンク角を採用している。それまで、NVHは極力減らしてエンジン音はなるべく消すと言い続けてきたトヨタが180度の方向転換をして、音を消すのではなく美しく奏でるものとし「天使の咆哮」と呼ばれる程のサウンドに仕上げた。このエンジンの組み立てはヤマハ本社工場内に特設されたクリーンルームが用意され、4人の専従作業者のみで行われる。ボルト1本からダイナモテストまで、その組み立て工程を全て1人で担当し、エンジン左バンク前方にそのいずれか1人のネームプレートが付けられている。組み合わされるトランスミッションは、6速ASG(オートメーディット・シーケンシャル・ギアボックス)と呼ばれるアイシン製シングルクラッチ電子制御式MTとなっている。エンジンレスポンスやパワーの変化を余すところなく味わう為に、この時代に選択出来たトルコン式やツインクラッチ式を見送り、あえてシングルクラッチ式にこだわった。「LFA」はフロントミッドシップによるFR駆動となる為、クラッチとギアボックスはリアに搭載するトランスアクスル方式を採用し、ここでもこだわりの設計を見る事が出来る。それはエンジンとミッションを結ぶトルクチューブが、低く搭載されたエンジンから85mm上方へカウンターギアにより移され、その下に排気管を通す方式が取られている。これによりセンターコンソールの幅を狭くする事が出来、乗員の着座位置を中央に寄せる事が可能となり、全面投影面積を拡大する事無く、側突要件もクリア出来、フラットなフロアは空力に有利となる。またここで使用されるトルクチューブは、バナジウム鋼管の内側をくり抜き、厚さ僅か2.2mm、重量6.9kgの、強度と軽量のバランスを考慮したものとなっている。トランスアクスル方式とフロントにラジエーターを置かず、リアに配置されるクーリングシステムなどにより「LFA」の前後重量配分は、48:52と理想的な数値となっている。足回りは、前ダブルウィシュボーン式+スタビライザー、後マルチリンク式+スタビライザーとなり、サスペンションアーム類、及びホイールキャリアは全てアルミ鍛造製となる。ショックアブソーバーはカヤバ工業製の、圧力室を別体タンクとしストロークをしっかり確保した、車高調整式が装備される。フロントサスは12ヶ所のマウントのうち2ヶ所以外ボールジョイント方式(ピロボール)となり、リアサスは12ヶ所のうち8ヶ所が同様の方式となっている。ブレーキはカーボンセラミック製ドリルド・ベンチレーテッド・ディスクが採用され、前390mm径、後360mm径となる。組み合わされるキャリパーは曙製で、前が対向異径6ポッド・モノブロックキャリパー、後が対向異径4ポッド・モノブロックキャリパーとなり、ブレーキシステムはフライ・バイ・ワイヤーによるABS付き電子制御式となる。ホイールはBBS/ワシマイヤー製のアルミ鍛造となり前9.5J、後11.5J、組み合わされるタイヤサイズは前265/35ZR20 95Y、後305/30ZR20 99Yとなり、BSポテンザS001が採用されている。インテリアはカーボンとレザーを贅沢に組み合わせたものとなり、特に助手席前方の2段構えのダッシュボード形状が特徴的なデザインとなる。またキャビン内にも心地よくエンジン音を響かせる為のヤマハの音響技術が生かされた設計がなされている。革張りのバケットシートは極端に硬くは無いが、座面はそれ程厚く無く、電動調整の操作感はレクサスらしい滑らかさを持つ。エンジンはステアリングコラムにキーを挿し、ステアリングホイール上のスタートボタンを押すことにより始動する。ドライブモードはオート、ウェット、ノーマル、スポーツがメーターパネル右上のダイヤルで選択出来る。またクラッチミートの速度も7段階から選択可能となっている。メーターはTFT液晶パネルによる映像で、円形の針式タコメーターとその内側にデジタル数字のスピードとギアポジションが表示される。タコメーター外側に金属製のベゼルが付き、そのベゼルごと右に動いて、開いた領域で細かい設定が可能となっている。12スピーカーによるオーディオはマークレビンソン製プレミアムサラウンドシステムが採用されている。全長×全幅×全高は4505mm×1895mm×1265mmでホイールベースは2605mm、トレッド前1580mm、後1570mm、車両重量1580kg、燃料タンク容量73ℓ、新車時価格3750万円となる。生産台数は500台、そのうち国内販売は165台(200台販売されたという説もある)、1日1台のペースで2年間かけて生産された。500台のうち50台はニュルブルクリンクパッケージという特別仕様車(11馬力アップ、専用エアロ、専用足回り、専用インテリア、4450万円)となっている。国産車としては高額となるが、作り上げていく手間とこだわりの品質を考えると、利益は望めないと思える。︎動力性能は、公表性能値0→100km/h加速3.7秒以下、最高速度325km/h以上(国内販売車は180km/hに制限)、ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェの最速ラップタイムは7分14秒64(ニュルブルクリンクパッケージ車による)となる。カーグラフィック誌による実測値は雨天によるウェット状態で、0→100km/h加速4.5秒、0→400m加速12.3秒、0→1000m加速21.9秒、最高速度250km/h以上となっている。レクサス「LFA」が登場した頃、フェラーリは「458イタリア」を販売していた。「458イタリア」はフェラーリV8シリーズとして、最後のNAエンジンとなるV8・4.5ℓエンジンを搭載し、新たに導入されたDCTによる7速トランスミッションを備えていた。勿論ボディデザインはピニンファリーナ(これも最後)によるもの。誰もが期待するとおりの、いかにもフェラーリらしいエンジンフィールとスタイリングは「速い」「凄い」「圧倒的」というエンターテイメント感溢れる、典型的なヨーロッパのスーパースポーツの成り立ちを表現していた。それに対して「LFA」は、あくまでも日本らしいまるで異なるアプローチで、高性能車に仕上げられている様に見えた。それは極めて薄い素材をひたすら重ね続ける様な、少しずつ雑味を削いでいく様な作り方。「なめらか」「リニア」「錬磨」などのイメージで、回しきればしっかりとパワーのあるV10エンジンは、どこかで急に炸裂する様な段付きのパンチ力ではなく、回転数に比例して僅かにホンの少しずつトルクを積み上げて行く特性が、漸進的で「FR2駆」にとても良く馴染んでいる。100%内製される軽量で高剛性の車体と的確に働くサスペンションは、コントロールしやすい操縦性を提供し、どこから踏んでも極めてリニアにドライバーの意思に反応するエンジンパワーを活かしきれるものとなっている。開発当初から、ただひたすらに雑味を削いで純粋に開発者とテストドライバーの理想を積み上げ続けてきた。そして、決して最後までドライバーを見放さない操縦性とトヨタならではの極めて高い信頼性を形にしたのが「LFA」となる。その結果がニュルブルクリンク・ノルドシュライフェを7分14秒台で走れるラップタイムにあらわれている。6千キロ近くニュルブルクリンクでテスト走行を続け、イタリアのナルド・サーキットでは1万2千キロに及ぶ超高速耐久テストまでこなし、約10年の開発期間を費やし完成まで漕ぎつけた。「LFA」は、純粋な内燃機関を持つクルマとして、おそらく空前絶後となる日本オリジナルの、情緒あふれる本物のスーパースポーツとして語り継がれる1台となるだろう。