SOLD
フェアレディSP1500
ASK
お問い合わせ
戻る
メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
フェアレディSP1500
ボディタイプ
外装色
ライトブルー
年式
1964.0 年型
走行距離
99910km
乗車定員
3.0 名
サイズ
長 391.0 cm 幅 149.0 cm 高 127.0 cm
エンジン形式
排気量
1488.0 cc
馬力
80
トルク
12.0
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色
ブラック

「フェアレディSP1500」の誕生は、そのまま日本におけるスポーツカーの誕生を意味するものとなる。1961年秋の東京モーターショーでデビューした「ダットサン・フェアレディ1500(SP310)」は、60年代の典型的なスポーツカーのスタイルで表現された国産オープンスポーツモデルで、ショーデビューから1年後の196210月に販売が開始された。この「SP310型」以前のスポーツモデルは、国産で初めて「スポーツ」を車名に採用し1952年に登場した「ダットサン・スポーツDC-3」を起点として、FRPボディの「ダットサン・スポーツ(S211)」が存在する。そしてフェアレディ以前にフェアレデーと名付けられた「SPL212型」と、その発展型の「SPL213型」があるが、左ハンドルの輸出専用モデルとなり、実質的な国産スポーツモデルとしては「SP310型」からと言えるだろう。「フェアレディ」の車名は「SPL212型」発表時、社長だった川又克ニが見たブロードウェイミュージカル「マイフェアレディ」を観劇し、その感動からみずから提案したという逸話が伝えられている。「SP310型フェアレディ」は、その型式が示すように、1959年デビューの「P310型・初代ブルーバード」のスポーツモデルとして計画されたモデルで「P310型」のラダーフレームをクロスメンバーで補強し、社内でデザインされたオープンボディを架装したモデルとなる。小型車である「P310型ブルーバード」のフレームサイズでありながら、ひとまわり大きな「50型セドリック」のエンジン・ミッションが採用されスポーツモデルと呼ぶべき性能を狙ったモデルでもあった。この「SP310型フェアレディ」の特徴は、ラダーフレームにリーフ・リジットの足回りと、技術的には1950年代の「トライアンフTR2/3」や「MGA」といった世代の設計だったこと。ある意味古典的ともいえる組み合わせを用いた事により、19635月に鈴鹿サーキットで開催された「第1回日本グランプリ」では、スポーツカー13002500ccクラスで「トライアンフTR4」や「MGB」「フィアット1500Sカブリオレ」を相手に田原源一郎がドライブする「SP310型フェアレディ」は、終始トップを守り続け優勝を飾っている。圧倒的なその速さにクレームが付き、レース終了後、エンジンの分解審査まで行われるほどだった。「SP310型フェアレディ」に発売当初、搭載されていた「50型セドリック」のG型エンジンは、カム・プロファイルやバルブ・スプリング等がスポーツ向けに変更され70馬力を発揮していた。「第1回日本グランプリ」で優勝を飾った「SP310フェアレディ」は輸出仕様で、キャブレターをSUツインキャブとしインテークマニホールド形状を変更、ピストンと燃焼室形状も見直され、圧縮比を8.0から9.0に強化したモデルで、80馬力とされていた。「SP310型フェアレディ」は、発売された翌年の19636月のマイナーチェンジにより、国内販売モデルもこの80馬力仕様となり、キャスティングによるカムカバーや、タコ足風エキゾーストが装備された。今回入荷した1964年式「SP310型フェアレディ」に搭載されるエンジンは、日産が初めて独自に開発したG型とよばれる水冷直列4気筒OHVで、ボア×ストローク80.0mm×74.0mmから1488ccをもつ。9.0の圧縮比と日立SUツインキャブレターにより最高出力80馬力/5600rpm、最大トルク12.0kgm/4000rpmを発揮する。デビュー時の70馬力仕様のエンジンに比べ、インテークバルブ径を大型化、バルブスプリングのダブル化、高速型カムプロファイルの採用、及びコンロッドメタルの材質変更によりチューニングが施され、連続高速回転に対応している。組み合わされるトランスミッションはセドリック用の4MTとなり、24速がフルシンクロをもちクロスレシオ化され、ファイナルはブルーバード用が流用されている。足回りは、フロントにダブルウィッシュボーン+コイルスプリング、リアは半楕円リーフスプリングによるリジットで、スタビライザーが備わる。基本的な形式は「ブルーバード」と同様ながら、乗り心地を犠牲にしない程度に強化されており、よりスポーツ・ライクなドライビングが可能となる。ブレーキはフロントが2リーディング式、リアがリーディング・トレーリング式のドラムとなり、ドラム径は「ブルーバード」より大径化されている。ホイールは4J×13インチで5.60×13サイズのタイヤと組み合わされている。今回入荷した車両には、1965年に1.6エンジン搭載により進化した「SP311型フェアレディ」以降に採用された5.60×14サイズのホイールにホイールキャップ、175/70R14サイズのタイヤが装備されている。インテリアは、センターにダットサンの「d」マークが付く細身で大径のオリジナル3本スポークステアリングが備わる。インパネはドライバーに向け4つの比較的大型のメーターが並ぶスポーティなものとされ、助手席前方にはグローブボックスが付く。4つのメーターは右から燃料/水温のコンビ、6000rpmまで刻まれた5500rpmからレッドとなる機械式回転計、180km/h迄の速度計、時計の順にレイアウトされている。特徴的な横向きに座るリアシートは、あくまでもエマージェンシー用で、世界的にも珍しく3名乗車が可能となるが、小さめなリアシートは、実際には荷物置き場として使われる事が多い。「SP311型フェアレディ」に進化した際、このリアシートは利用率が低い事と、ドライビング・ポジションが制限されるのを理由に廃止されてしまう。このサードシートの下には、バッテリーが装備されていた。初期型となる「SP310型フェアレディ」は、後に2エンジンを搭載する「SR311型フェアレディ」とは異なりフロントウィンドウシールドが2.5cm低く、ヘッドレストの付かない低めのシートが装備される為オープン時のボディが低く感じられ、ウェストラインが強調されたスタイリッシュな佇まいをもっている。全長×全幅×全高は、3910mm×1495mm×1275mm、ホイールベース2280mm、トレッド前1213mm1198mm、車両重量910kgとなっている。新車時価格は88万円となり、そのコストパフォーマンスは世界中から注目される事となった。「SP310型フェアレディ」は2164台が生産され、約半数となる1092台が輸出された。「SP310型」以降「SP311」「SR311」と「フェアレディ」シリーズ全て合わせて約49000台が生産され、そのうち9割が輸出されている。「SP310型フェアレディ」のメーカー公表性能値は0100km/h加速18.7秒、最高速度155km/hとなる。生産された車両の多くが北米に渡った「SP/SR型フェアレディ」は、オースチンヒーレーや、MG、トライアンフなどブリティッシュスポーツが独占していた北米市場を少しずつ塗り替えていった。その「SP/SR型フェアレディ」に目をつけ、レースを戦った北米の代表的な人物として、キャロル・シェルビーのファクトリーで「デイトナ・コブラ」を製作していたピート・ブロックが挙げられる。主に西海岸を中心にレース活動をしていた。対して東側では、自らレーシングドライバーとして活躍していたのがボブ・シャープとなる。1967F/Pクラスでボブ・シャープが優勝して以来、DATSUN/日産は、SCCAのナショナル・チャンピオンシップで71回のシリーズチャンピオンを獲得している。これは、GM、シボレー、トライアンフを抑えて歴代参加マニュファクチャラー中、ダントツの成績となり、そのうち「SP/SR型フェアレディ」で10回のタイトルを獲得している。「SP/SR型フェアレディ」シリーズは、その最終進化型となる「SR311型フェアレディ」が、1967年に200km/hオーバーとなる205km/hの最高速度を掲げて登場してから、シリーズをとおして豪快でスパルタンなイメージで括られる場合が多いモデルとなる。しかし、その初期モデルである「SP型フェアレディ」は、全く異なるキャラクターをもち、エンジンの回転数に対してナチュラルにエンジンパワーを重ねていく、繊細な味わいをもつモデルとなっている。ドアノブを引いてドライバーズシートに腰を下ろすと、薄く作られたシートの為、目線は低くなるが見かけより座り心地はずっと良い。エンジンを始動し、ノンシンクロの1速を慎重に選んで走り出すと軽めの車重にも助けられ、軽快に速度を上げて行く。低めのウィンドウシールドにより、オープンでの風も感じることで、80km/hあたりが気分の良し悪しを分ける境目となりそうだ。開発された時代背景を考えれば、そのステアリングレスポンスや、シフトの感触、ブレーキの効かせ方など、特有の味わいをもつモデルでもある。ドライバーが、それを少しずつ克服し自分のものにしていきながら、比較的安全なスピードから、コントロールの妙を味わうのは、きっと楽しみのひとつとなるだろう。クルマとコミュニケーションをとりながら、少しずつ意のままに操れるようになるには、それなりのテクニックも要求され、自らドライブしている実感も高い。この乗せられている感覚では無く、自ら走らせている感覚は、なによりクルマ好きにとっては重要なポイントだと思う。ワインディングロードで、3速から2速に上手くダウンシフト出来た瞬間に、シフトの感触やその時の景色が脳裏に焼きつく。まろやかなエキゾースト・サウンドとオープンエアによる風の感触、日本のスポーツモデルの出発点となる「SP310型フェアレディ」は、速さや馬力だけでは語れないスポーツカーを走らせる楽しみを内包したモデルとして海外でも初めて認められたスポーツモデルと言えるだろう