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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
新車未登録車
ボディタイプ
外装色
ブリティッシュレーシンググリーン
年式
1991.0 年型
走行距離
40km
乗車定員
サイズ
長 cm 幅 cm 高 cm
エンジン形式
排気量
1271.0 cc
馬力
61
トルク
9.2
車検
ハンドル
駆動区分
前輪駆動
輸入区分
並行輸入
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

新車にて保管されておりました車両です。直近にて、内外装、機関等リフレッシュ施工を行っております。


「ミニ」を開発したのは、トルコ生まれのギリシャ人、アレック・イシゴニスという人物で、子供の頃トルコ戦争がきっかけで一家で英国に避難し生活することとなる。イシゴニスは高校・大学と進み卒業後に英国の中高級車メーカー・ハンバーに技師として入社。1936年にはモーリスに移籍するが、時代は第二次世界大戦をむかえる。戦争終結後に高級車メーカー「アルヴィス」に在籍していたイシゴニスは、1955年に旧知の仲だったレナード・ロードが、モーリスとオースティンが合併したBMC会長に就任すると再び呼び戻されBMCの人となる。第二次中東戦争勃発により、ガソリンが欠乏した英国に向けて小型車設計の命を受けたイシゴニスは、1957年3月から10人ほどのチームを率いて開発コード「ADO15」と名付けられた新型車の開発にとりかかった。その新型車が「ミニ」となって発表されたのは1959年8月26日のロンドン郊外の、ヒースロー空港の西側に位置するテストコースで、発売元のBMCにより発表と試乗会が行われた。当初「オースティン・セブン」と「モーリス・ミニ・マイナー」の車名で2つのブランドでの誕生となったが、後に「ミニ」と統合され、そのボディデザインはイシゴニス本人によるものとされている。搭載するエンジンは、BMCが生産する唯一の小排気量エンジンとなる848ccのAタイプで、直列4気筒OHVが採用され、それを横置きで前輪駆動とする事で短いボンネットにおさめた。当時、4気筒で前輪駆動は世界初となり、コンパクトなエンジンルームにレイアウトする為、組み合わされるギアボックスはエンジン下に配置され、オートバイの様にギアボックスとエンジンは同じオイルにより潤滑される方式となる。ラジエーターは一般的なフロントグリル裏には無く、エンジンサイド、向かって左側に置かれクーリングファンにより冷却される方式となっている。独創的な構造はサスペンションにも及び、通常の金属スプリングは使用せず、その代わりにダンロップ の技術者アレックス・モールトン設計による円錐形に成形されたゴムの塊=ラバーコーンが採用されている。フロントがウィシュボーン式、リアがトレーリングアーム式となるサスペンションは、設計通り作動させる為に前後とも、頑強なサブフレームに組み込まれ、モノコックボディに取り付けられている。この足回りの構造が、ミニならではのゴーカート・フィーリングと独特な乗り心地の要となっている。「ミニ」の生産はオースティンの本拠地であるロングブリッジ工場で行われ、全て手持ちのスポット溶接によりモノコックボディは組み上げられている。シングルSUキャブレターを備え、34馬力に過ぎないエンジン出力ながら、558kgという軽量ボディと小型で全面投影面積の小ささから4段ギアボックスで118km/hの最高速度をマークする実力を持っていた。この「ミニ」の実力に着目していたのが「ミニ」発表の年である1959年にF1コンストラクターズ・タイトルを獲得したジョン・クーパーだった。クーパーはこの小さなタウンカーのキャラクターを活かしたチューニングモデルを作れば、面白いモノに仕上がると考えた。それ程、この時代に於いて「ミニ」のハンドリングは、センセーショナルとよべるものであった。BMCはクーパーに一台の「ミニ」を提供し、思うままに手を入れる事を許可した。エンジンはツインキャブに交換され、シリンダーヘッドとエキゾーストシステムに手が入り、4気筒エンジンのパフォーマンスが高められるとともに、前輪にはディスクブレーキが装備された。こうして1961年10月に発表された「ミニクーパー」は997ccのエンジンから55馬力を発揮し、ノーマルの「ミニ」では満足出来ないスポーツ志向のユーザーから圧倒的な支持をうけた。この車が1台販売される度に2ポンドのロイヤリティが支払われたが、それは当時のBMC社長、ジョージ・ハイマンとジョン・クーパーの間の合意によるもので、正式な契約書は存在しなかった。この「ミニクーパー」は、モータースポーツの世界でも華やかな活躍を披露し、ラウノ・アルトーネン、パディ・ホプカーク、トニー・フォールの手により1960年代後半まで、メジャーなラリーを次々と制していった。1963年には排気量を1071ccに拡大した「ミニクーパーS」が登場し、70馬力まで出力をアップされたエンジンを載せ、更なるセンセーションをもたらした。パディ・ホプカークは「ミニクーパーS」で初めてモンテカルロラリーに出場すると、スタート直後に「オースティン・ヒーレー3000」を追い抜き「何かのトラブルでも抱えて遅いのかと思ったが、濡れた路面でのミニのパフォーマンスの高さに、その時気づいた」とコメントを残した。軽量ボディの四隅に小さめな10インチホイールとストロークの少ないラバーコーン・サスで低重心の「ミニクーパーS」は、レーシングカーの様な機敏な動きを可能としていた。モンテカルロラリーに於いては、1964年、1965年、1967年と3度の総合優勝を重ね、1966年も1-2-3フィニッシュを飾るがヘッドライトの規定違反を理由に主催者側が失格処分として「シトロエンDS」が勝利することとなった。モンテカルロラリーでの強さを見せた「ミニ」は2021年には、現代の「ミニクーパーS」をベースにモンテカルロラリーを制したモデルにインスパイアされた「パティ・ホプカーク・エディション」を限定モデルとして販売するに至っている。「ミニクーパーS」はより大きな馬力を持ち、より高額な車達の顔色を失わせ、サーキットに於いてもジョン・ローズ、ジョン・ウィットモア、ラルフ・ブロードらがラリー・シーン同様に旋風を巻き起こし1965年〜1968年には英国ツーリングカー選手権のクラス優勝に輝いた。観客の人気を得ながら多くのドライバーに愛されてきたが、1971年7月に1275cc/75馬力の「ミニクーパーS」を最後に排ガス規制強化などの影響を受け生産は中止となってしまう。時は流れて1990年10月「ローバー・ミニクーパー1.3」として19年ぶりに復活した「ミニクーパー」は、極めてホットなモデルだった、かつての「ミニクーパーS」とは一線を画したモデルとなる。当時の「クーパーS」と区別する意味で「ミニクーパー」を「スタンダード・クーパー」と呼んでいたが、このイメージに近いキャラクターをもつモデルといえるかもしれない。ボディデザインに変更は無く、エンジンパワーはシャーシに対して充分に感じられる上にバランスに優れ、エンジン、サスペンション、ブレーキは実用性を重視したものとなっている。︎今回入荷した1991年式「ミニクーパー1.3」が搭載するエンジンは、12H型とよばれる水冷直列4気筒OHVでボア×ストローク、70.6mm×81.2mmから1271ccの排気量をもつ。9.6の圧縮比とSU・HIF44型キャブレターを1基装備する事で61馬力/5550rpmと、9.2kgm/3000rpmのトルクを発揮する。このエンジンは、かつての「ミニクーパー」に用いられたジョン・クーパーによりチューニングが施されたユニットではなく「MGメトロ」に搭載されたエンジンとなっている。元は「BMC Aタイプ」と呼ばれる鋳鉄ブロックをもつ、かつての「ミニクーパー」のベースユニットでもある為、その繋がりは途切れてはいない。販売当時のノーマル「ミニ」が搭載していた999ccエンジンに比べパワーで19馬力、トルクで2.4kgmアップとなり、明らかにドライバビリティに優れたスポーツユニットともよべるものとなり「ミニクーパー復活」の表現に相応しいパフォーマンスを発揮する。組み合わされるトランスミッションは4速MTとなり、エンジン下に配置され、同じオイルにより潤滑されている。足回りは、フロント・ウィシュボーン式+ラバーコーン、リア・トレーリングアーム式+ラバーコーンが採用されている。ブレーキはフロントにソリッドディスク+AP製キャリパー、リアにドラム式が装備されている。ホイールは、8本スポークのアルミ製4.5J×12インチサイズに145/70SRサイズのタイヤが組み合わされている。インテリアは「ミニ」ならではの独特なドライビングポジションとなる。それはバスの様に上を向いた、角度の浅いステアリングを膝の間で抱え込むようにして保持し、センター寄りにオフセットされた小型のペダル類を上から踏み込むように操作するもので、走り始めると不思議と慣れて気にならなくなる。小さなアクセルペダルとブレーキペダルは、ヒール&トゥがしやすい配置となっている。シートバックを立て気味にして背中を預ける事でよりドライビングしやすく、同時にリアシートのスペースも稼ぐ事が出来る様になっている。小型のボディでもキャビンが広く感じられる様に、ドライバーから垂直に起きたフロントウィンドウまでの距離が長めにとられ、サイドウィンドウも内側に倒れていないので、室内幅が車幅の最大限まで活かされているのが効いている。細目のピラーと短いボンネットにより視界は素晴らしく、車両感覚が掴みやすいのはモータースポーツでも強力な武器となったことが偲ばれる。レザーで巻かれた「ミニクーパー」専用ステアリングを通して、3つのメーターを納めたメータークラスターがダッシュボード上にレイアウトされている。左に180km/h迄刻まれたスピードメーター、中央に燃料と水温のコンビメーター、そして右には8000rpm迄のタコメーターが装備されている。︎全長×全幅×全高は3100mm×1440mm×1335mm、ホイールベース2035mm、トレッド前1235mm、後1200mm、車両重量690kg。最小回転半径は4.3mで、燃料タンク容量は34ℓ、新車時価格189万円となっている。カーグラフィック誌による動力性能実測値は、0→100km/h加速14.4秒、0→400m加速19.1秒、0→1000m加速36.6秒で、最高速度は137.1km/hとなっている。1990年代始め頃の日本での「ミニ」の人気は不思議な程高く、それはクルマの成り立ちや性能より、シンプルなデザインや、クルマがもつキャラクターによるものだったのかもしれない。コンパクトなボディはシティカーとしても日本の道路にも馴染みやすく、価格も低く設定されコンスタントに毎月1000台近い新車登録台数を記録していた。それは生産国である英国をも凌ぐ販売台数となっていた。荒れた路面では硬めに感じる乗り心地となり、パーキングスピードでは重めのステアリングと少ないロードクリアランスなど弱点と呼べるものを持つにも関わらず、魅力がそれを上回っていたという事になる。それはレーシングカートの様なダイレクトなハンドリングに代表される正確で鋭敏なステアリング感覚、優れたロードホールディング性能、シンプルで普遍的なボディデザインなど、これらは全て他のクルマでは味わえない「ミニ」のもつ大きなアドバンテージとなっている。更に「ミニクーパー」ではベースとなる「ミニ」より、ハイパワーでレスポンシブなエンジンを搭載する事により、走らせる事で大きな楽しみを得る事が出来るようになっている。2速、3速を多用して、OHVとは思えない程、スムーズに吹け上がるエンジンの高回転域を維持しながらのワインディングロードは、格別なものとなるだろう。アレック・イシゴニスによる独創的な設計をもつ20世紀の傑作車「ミニ」の実力は、現在でも充分に楽しむ事が出来、その歴史の偉大さに触れ探求する事も可能となっている。「ミニ」は2000年10月にロングブリッジ工場での生産を終了し、その総生産台数は538万7862台を数える。その翌年の2001年になるとローバーグループを傘下におさめたBMWによりひとまわり大型化された「新型ミニ」が発表される。誰もがイメージする初代「ミニ」の特徴を活かしたボディデザイン、インテリアをもち、誰が何処から見てもそれは「ミニ」にしか見えないものとなっている。デザインのみならず初代「ミニ」の特徴だったゴーカート・フィーリングのドライビング感覚まで、全く異なる足回り型式を用いて再現された事を考えても、どれほどのインパクトを初代「ミニ」が残したのか改めて思い知る事となる。そんな20世紀の自動車界の金字塔ともいえる「ミニ」の、奇跡ともいえる未登録車が、今回入荷した「ミニクーパー1.3」となっている。