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マニュアルミッション
ボディタイプ
外装色
ジィアロモデナ
年式
1997 年型
走行距離
25.410km
乗車定員
2 名
サイズ
長 425 cm 幅 190 cm 高 117 cm
エンジン形式
排気量
3495 cc
馬力
380
トルク
36.7
車検
令和8年10月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色
ブラック

24.991km時 タイミングベルト、クラッチ交換他 記録資料他揃っております。

1994524日、フィオラノ・テストコースに隣接するマラネロのシティホールをプレゼンテーションルームとして、いきなりイタリア南部に位置する全長12kmの円形コースをもつナルド・サーキットのバンクを全開で走る映像からスタートした発表会。暗闇の中でスポットライトが当てられアンベールされたニューモデルはロッソ・コルサのクーペモデル「ベルリネッタ」と、今回入荷した車両と同じくジアッロ・モデナに塗られたデタッチャブル・トップをもつ「GTS」、ともに「フェラーリF355」だった。映像の中でスピードメーターが300km/h近くに張り付いたまま走行を続けるシーンの「F355」をドライブする当時のフェラーリのF1パイロット、ジャン・アレジ。そして同じくゲルハルト・ベルガーや、かつてのフェラーリF1チームに栄光をもたらし、この時期フェラーリF1チームのアドバイザーを務めていたニキ・ラウダも「F355」の開発テストに携わっている。1987721日に「F40」の発表会にも使われたこの会場に、その時は存在し参加していた創業者エンツォ・フェラーリは既に天に召され、その意思を引き継ぐルカ・ディ・モンテゼーモロを始めとするフェラーリのスタッフと、ピニンファリーナ代表、セルジオ・ピニンファリーナも顔を並べる中で発表会はすすめられた。1991年にフィアット会長からの要請によりエンツォの後継者としてモンテゼーモロがフェラーリのトップとして任命されると、ほぼ時を同じくして「テスタロッサ」は「512TR」へと進化し、翌年1992年にはブランニュー・モデルとして「456GT」が発表され、伝統のGTモデルと新開発のV12気筒エンジンがラインナップされる。エンツォが築いてきたフェラーリ・ロードモデルの歴史に、より高い実用性と信頼性、さらなる高性能を加えたモデルを発表してきたモンテゼーモロが、それに続くモデルとして発表したのが「F355」だった。5年前に発表された前作の「348」は、それまで10年以上継承され続けてきた横置きミッドシップV8エンジン搭載の「308/328」シリーズから、スポーツカーとして大きな進歩を感じさせるモデルだった。それまで使い続けられてきたフェラーリ伝統のクロモリ鋼管製チューブラーフレームから、センターセクションを鋼板を溶接したセミモノコック構造とし、鋼管で組まれたリア・セクションが抱えるドライサンプ方式のV8気筒エンジンは、出来る限り低く縦置きで搭載されていた。ギアボックスはエンジン直後にオーバーハングを切り詰める目的で横置きに配置され、クラッチはメンテナンス性も考慮し最後尾にレイアウト。燃料タンクとラジエーターはキャビンとエンジンの間に置かれ、前後上下の重心位置がドライバーのヒップポイントと概ね重なる、スポーツカーとしては理想的な基本レイアウトを打ち立てていた。それを「F355」では、ひとつひとつの要素技術を磨き上げる事で、さらなる高みを目指す事を目標に、マイナーチェンジのレベルを超えたフルモデルチェンジと言える内容で進化させたモデルとなっている。エンツォ・フェラーリが亡くなった1988年に、F1レースに於いて年間を通して16戦中15勝を挙げたF1マシン「マクラーレンMP4/4」に搭載されていたエンジンを担当するホンダは、翌年2月のシカゴ・オートショーでプロトタイプ・スポーツ・モデルの「NS-X」を発表する。世界初のフルアルミ製モノコックボディをもつミッドシップ・スポーツ・モデルとして、19909月から「NSX」として販売開始された、このモデルがもつ高い性能と信頼性、そしてドライバビリティ、アメニティは、世界のスポーツカーメーカーに大きな衝撃を与えたと言われている。ポルシェはリア・サスペンションに新開発のマルチリンク式サスペンションを採用した、空冷フラット6エンジン搭載の「911」としては最高性能モデル「993型」を19939月のフランクフルトショーで発表。フェラーリが「348」から「F355」へのモデルチェンジを行ったのは、モンテゼーモロによるフェラーリ改革だけが理由だった訳では無く「NSX」の存在と、ライバルメーカーの動向によるところも影響している。この当時、フェラーリのロードモデルの公道テスト部門で長を務めるフランコ・チマッティは、フェラーリの中で最も「NSX」を研究した人物とされている。彼は「F355」の開発に際し「NSX」より更に速く、高いドライバビリティとフレンドリーなハンドリングを追求したと語っている。こうして「348」をベースとしながら多くの課題をクリアして、結果的に当時のフェラーリ・ロードモデルのラインナップの中で、ロワーレンジに存在する「F355」が最も速いフェラーリと言われるまでの高い性能を授けられる事となる。ピニンファリーナで数多くの魅力的なフェラーリをデザインしてきたレオナルド・フィオラバンティによる「348」のデザインから、ルーフとウィンドウ、それにフロントフェンダーを残して同じピニンファリーナの主席デザイナー、マウリツィオ・コルビによるスケッチを元に「F355」のスタイルはまとめられている。ドアに取り付けられていた「テスタロッサ」に倣ったスリットは取り払われ、フェラーリ伝統の4つの丸いテールライトと笑みを湛えたようなフロントグリル、跳ね上がったテールエンドを特徴とし、フロントのボンネットとリアのエンジンリッドは軽量なアルミ製が採用されている。ボディの内部構造は「348」シリーズの最終モデル「348GTB」から継承された鋼板溶接構造のセミモノコック+鋼管リアセクションとなるが、鋼管リアセクションに手が加えられ、全体として捻り剛性で約20%の強化が図られている。超高速域での性能向上を狙った空力特性は念入りに時間が使われ、ピニンファリーナの実車風洞は勿論、フェラーリが持つ実車風洞やF1部門が統括するムービングベルト付きの1/2風洞まで活用し延べ約1300時間にわたり煮詰められている。その結果、最大の見どころはフロアでフロント・アクスル付近で最小となるロードクリアランスは、車両後方に向かって緩やかにアップスウィープしエンジン直前で左右に分けられ後方に抜ける構造をもつカーボンファイバー製のアンダーパンを装備、これによりベンチュリー効果を生みダウンフォースを発生させている。ラジエーターやブレーキ等へと導かれる気流も徹底的にコントロールされ、リアエンドのスポイラーと併せてダウンフォース量は290km/h時で150kgを獲得している。搭載するエンジンは「348」と共通するのは90V8気筒エンジンという基本構成と、ミッドシップ方式により低い位置に縦方向に搭載されるという事が共通するくらいで、あとは全面的に刷新されパワーアップが図られている。またメンテナンスフリー化も開発の重要項目に挙げられ、8500rpmを標榜するスポーツエンジンとしては世界で初めて油圧ラッシュ・アジャスターが採用されている。これをはじめとする主要部分の定期点検インターバルは、2kmまで延ばす設計が施され、それに合わせる様に「348」に搭載されていたF119型エンジンが1本のタイミングベルトで駆動していたのに対し「F355」用エンジンでは、各バンク毎に1本ずつの2本のタイミングベルトを採用することでライフサイクルも伸ばされている。ギアボックスは「348」と同様にエンジン後方に横置き搭載されるが、5段型から6段型に刷新。このエンジンパワーを活かす為に、足回りは「456」でひと足先に採用された電子制御式可変ダンパーが用いられ、ステアリングにもミッドシップ・フェラーリとしては初めてパワーアシストが装備されている。これらの装備により「F355」のシャーシは、フェラーリ・ロードモデルとしては飛躍的にシビライズされている。インテリアはフェラーリを感じさせる仕上がりをもつが、レースからフィードバックされた軽量な新しいマテリアルの採用や、モダンなスイッチ、計器デザインを採用することによりコンフォート性能をアップしている。フェラーリとしてのフォルムや特徴的なサウンドは引き継がれたが、可能な限り快適なドライビング環境を整えた上で「348」より4050kg軽量に仕上げられているところにも新しいフェラーリが感じられ、モンテゼーモロはこの「F355」の発表会の席上で積極的に日常のアシに使って欲しいとコメントを残している。またコレクターズ・アイテムとしてガレージに仕舞い込まずに、サーキット走行や休日のドライブ、或いは通勤に使用しても一向に構わないと信頼性もアピールする。この「F355」の登場が、今日につながるフェラーリ・ロードモデルがイタリアを始めヨーロッパを中心とするスポーツカーマニアの為のものから、世界の誰もが知るグローバルなブランドのスポーツ・モデルに変化する先駆けとなった様に思える。ただ高性能なだけでは無くより高いコンフォート性能と信頼性を加えた上で、当時の世界中の排ガス規制をもクリアしていたモデルとなる。F355」に搭載されるエンジンは、水冷90V8気筒DOHC40バルブのF129B型とよばれるオールアルミ製エンジンとなっている。ボア×ストロークは85.0mm×77.0mmから3495ccの排気量を得る。1シリンダーあたり吸気側3本、排気側2本のバルブが放射状にレイアウトされた5バルブ方式は、個々のバルブを小型化することで慣性質量を低減し高回転化を狙ったもので、当時のF1用エンジンの自然吸気3.5というレギュレーションに合わせて設計されたエンジンにも採用されていた技術となっている。レース活動を続ける中で多大なノウハウを蓄積したフェラーリがロードモデル用にフィードバックしたもので、それを主張する様に車名にも3.55バルブを意味する「355」が用いられている。このうち3つの吸気バルブを作動させるカムシャフト上の3つのカムのうち、左右に配されるカムにはテーパーが付けられたコニカル・カムとされ、中央のカムが作用する真ん中の吸気バルブは両側の2つのバルブより僅かに遅く開くことで強力な乱流を発生させ燃焼効率を上げる効果をもつ。また左右バンクのカムシャフトの位相を僅かにずらす事で、トルクの微細な波を作りトラクション能力を稼ぐF1用エンジンと同様のセッティングが施されている。アルミ製シリンダーブロックにはニカシル・コートが施されたスチール製ライナーが打ち込まれ、マーレ社製アルミ鍛造ピストンとパンクル社製チタン・コンロッドが組み合わされている。これによりフリクション・ロスを軽減し、より高回転を稼ぐ設計とされチタン・コンロッドは従来の物に比べ30%軽量な180gとなる。従来はそれぞれのバンク毎に装備されていたスロットル・バルブは、俊敏なスロットルレスポンスを実現する為に各気筒毎に独立型のバタフライ式スロットル・バルブが採用されている。ボッシュ・モトロニックM2.7電子制御燃料噴射装置と11.1の圧縮比から最高出力380馬力/8250rpmと、最大トルク37.0kgm/6000rpmを発揮する。このエンジンの比出力はリッターあたり109馬力となり、発表当時はゴードン・マーレイ設計の「マクラーレンF1」に搭載されるBMWV12気筒がもつリッターあたり103馬力を凌ぐ、世界で最も高効率の自然吸気エンジンとなった。このエンジンのエキゾースト・システムには各バンク毎にステンレス製のマニフォールドが装備され、その後方にはセラミック製のメインとスチール製のサブからなる2種の触媒がレイアウトされている。そのサブ側の触媒経路はバイパスの役目を果たし、直前にバタフライバルブが取り付けられている。高回転時にはバルブは開放され排ガスの抜けを助け、低速時にはバルブを閉じる事で排気干渉を生み出す事で低速トルクを稼ぐ仕組みとなる。バルブの開閉は、スロットル開度や走行状況によりコンピューターにより行われる。このエンジンのレブリミットは8500rpmで、この時のピストンスピードは毎秒21.8mを誇り、バルブ駆動系は10000rpmに耐える設計とされている。高回転を重視した設計が施されたエンジンとなるが、2000rpmでは25.0kgmのトルクが得られ、3700rpmでは最大トルクの8割にあたる30.0kgmを上回るトルクを発生する柔軟性も併せ持つ。エンジン単体重量は「348」に搭載されるF119型エンジンより12kg軽い168kgで「F355」の速さと乗りやすさは、このエンジン特性に依るところが非常に大きい。このエンジンからの出力は、後方に横置きされるギアボックスを抜け、最後部に位置する244mm径の乾式単板クラッチへ向かい、そこでUターンしてギアボックスに入る。クロスしたギア比をもつ6速ギアボックスの1速、2速にはダブルコーン・シンクロが採用され、変速はケーブル作動式からシングル・ロッド式に改められスムーズな変速を可能としている。このギアボックスにはエンジン冷却水の熱を利用しギアオイルを定温に保つヒートエクスチェンジャーが装備され、ストロークも短縮されている事と、油圧作動によるクラッチと併せて楽しめるマニュアルトランスミッションとなっている。横置きトランスミッションの上部には加速側25%、減速側45%のロッキングファクターをもつマルチ・プレートによるリミテッド・スリップ・デフが装備されている。足回りは、前後ともにダブルウィシュボーン式となり、ショックアブソーバーとスタビライザーが装備されるオーソドックスなものとなる。サスペンションアームは前後ともシンプルな上下不等長不平行Aアームが採用され、その車体側ピックアップ・ポイントに投入されたラバーブッシュは、新開発の低フリクションと高い衝撃吸収を両立したスムーズな動きを実現したものが採用されている。ショックアブソーバーは電子制御式のビルシュタイン製で、アウターケースはハードな状況下でも放熱性が高く軽量なアルミ製となっている。車速を基本パラメーターとし、縦、横、垂直方向のボディの動きと、ブレーキ回路油圧を補正用パラメーターとして減衰力を電子制御している。制御プログラムは2モード用意され通常はスポーツを、市街地や長距離巡航時用としてコンフォートが設定される。ブレーキは、4輪ともにベンチレーテッド・ディスクが装備され、フロントには300mm径、リアには310mm径が採用されている。組み合わされるキャリパーは、前後それぞれAte製アルミ4ポッドキャリパーとなり、4センサー4チャンネルのAteABSが装備される。またコックピットのセンターコンソールには、このABSをキャンセルできるスイッチが備わっている。ホイールはマグネシウムのスピードライン製18インチが採用され、フロントに7.5J、リアに10Jサイズが装備される。組み合わされるタイヤは、この時初めて市場投入されたピレリP-Zero Systemで、フロントに225/40ZR18サイズの左右対称トレッドパターンをもつディレツィオナーレが、リアには265/40ZR18サイズの左右非対称トレッドパターンをもつアシンメトリコが採用されている。またOEMタイヤとしてはミシュラン、ブリヂストン製も存在するが、それぞれのメーカーにより指定空気圧が異なっている。インテリアは、フェラーリのコメントを引用すればフェラーリの伝統に基づいてデザインされたものとなる。「348」では、直線的な造形が基本とされていたが「F355」では、全体的にそのカドを柔らかく表現したデザインが採用されている。標準で装備されるコノリーレザーで覆われたシートはレカロ製で、前後スライド、シートバックアングル、サイサポート、ランバーサポートが調整可能となり、座面最前部のクッションも前後スライド調整が可能となっている。またカーボンファイバー製のフレームにアルカンターラ表皮をもつタイトなバケットシートもオプションで用意され、2脚で14kgの軽量化が可能とされていた。ZF製パワーアシストが備わる360mm径の3スポークのステアリングホイールは、チルト機構を装備しているので、シートと併せてドライバーが好みのドライビングポジションを得る事が可能となる。古くは「ディーノ246GT」時代から受け継がれるミッドシップ・フェラーリ・モデルの良き伝統として、リア及びリアクォーターの視界もしっかりと確保されたデザインを持つ為、ミッドシップモデルであっても全方位に視界は開けている。「348」より小型化されたメーターナセル内には、左側に大径の320km/h迄のスピードメーター、右側には10000rpm迄のタコメーターが並ぶ。その間に小径の上に油圧、下に水温計が置かれるレイアウトは「348」と共通となるが、レタリングはオレンジ色から、ホワイトに変更され落ち着いた仕上がりを見せる。センターコンソールには、3つのメーターが配され左側から時計、燃料、油温となり、メーター類は全てVeglia製が採用されている。フロアコンソールにはアルミ製のシフトノブにフェラーリ伝統のゲートが明確に切られたメッキのシフトゲートが備わり、その後方に空調調整ダイヤルがレイアウトされている。ペダル類は全てアルミ製の軽め孔の空いたレーシーなデザインとされ、中央寄りにオフセットしてレイアウトされている。シックでモダンな仕上がりをみせるインテリアとなるが、メーター類を囲むメッキのリングやペダル類、そしてシフトノブに使われるシルバーの効果で敢えてメカニカルな雰囲気が残されている。全長×全幅×全高は、4250mm×1900mm×1170mm、ホイールベースは2450mm、トレッド前1515mm、後1610mm、車両重量1440kgとなる。燃料タンク容量は82、最小回転半径は5.8m、新車時車両価格はF355ベルリネッタ(6MT)1555万円、F355GTS(6MT)1610万円(19977)となっている。「F355」シリーズの生産台数は11265台となり、そのうち「F355GTS6MT」は2048台となっている。F355ベルリネッタ(6MT)」のメーカー公表性能値は、0100km/h加速4.7秒、0400m加速12.9秒、01km加速23.7秒、最高速度295km/hとなる。カーグラフィック誌による実測テストでは、0100km/h加速5.0秒、0400m加速13.2秒、01km加速23.8秒、最高速度284.4km/hを記録している。F355」シリーズは生産された時期の違いから3種類のシャーシ・ナンバーが存在し、1994年デビュー時はPAシャーシとよばれる前期型、同じ年の終盤(1995年モデル用)からPRシャーシとよばれる中期型を経て、1996年以降はXRシャーシとよばれる後期型で構成されている。PAシャーシにはエアバックの無い3スポーク・ステアリングが装備されている。PRシャーシから運転席エアバックが装備され4スポークステアリングと、ブレンボ製4ポッドキャリパーが装備される。19954月に「F355スパイダー」が発表されるのに合わせて、パッセンジャー側にもエアバックが装備される。XRシャーシでは、それらに加えエンジンマネージメント・システムが、ボッシュ・モトロニックM2.7からM5.2に進化する。M2.7を搭載したモデルでは左右各バンクごとにエアフローセンサーが装備されていたが、M5.2からは一括制御される為、エンジンルームにある2つのエアクリーナーからの吸気の流路が変更されている。吸気と併せて排気系にも手が加えられ、エキゾーストサウンドはより高めの音質へと変化している。19977月に発表されたセミオートマチックシステムを搭載した「F355F1」が追加される頃になると、それまで使われてきた外装塗料ブランドがドイツ製のグラスリットからアメリカ製のPPGに変更されている。また今回入荷した車両は、デタッチャブルルーフをもつ「F355GTS」となり、インテリア内の左右Aピラー付近に装備されたロックレバーを緩める事で簡単にルーフを外しオープンエア・モータリングが楽しめるモデルとなっている。外したルーフは左右のシート背後に収納可能で、サンルーフより遥かに開口部は広く開放的なドライブ感覚が得られる事から、北米市場からの人気が高く「ディーノ246GT」時代からモデルチェンジを重ねるごとに常にラインナップされるモデルとなる。後期型のXRシャーシで「GTS」ボディに「6速マニュアルトランスミッション」を装備したたいへん貴重なモデルとなっている。F355」のフォルムは、それ以前の「348」から引き継がれたものとなるが、発表されてから30年以上の時の経過はあまり感じられない。それは低い車高に加え、特にリアフェンダーによる広い車幅と、18インチが採用されたホイールの張り出し具合やスリット類を廃してシンプルに仕立てられたクリーンなボディパネルのデザインによるのかもしれない。唯一リアエンドに摘み上げられたスポイラー形状を持つエンジンリッド上のパワーバルジを囲む様に、横方向に開けられた廃熱用ルーバーが、その下にレイアウトされるパワフルなエンジンの熱量を主張する。ボディサイドに開けられたエアインテーク内の、ドアのキーホール下方に位置するドアノブに手をかけて厚いドアを開いてみる。幅広いサイドシルを跨いでボディ中央寄りに低く置かれたシートに腰を下ろすと、目線は低いが後方を含め視界は良好となる。ドライビングポジションを調整し、キーを捻ると想像するより大きめな音とともに1000rpmで安定したアイドリングが始まる。油圧式となり軽く作動するクラッチを踏んでギアレバーを1速に送る。クラッチをエンゲージすると、車両は神経質な感覚を見せずにスムーズに動き出す。低速トルクの豊かなエンジンや、軽めのクラッチ、スムーズなギアレバー、そしてパワーアシストが加えられステアリングから感じられる滑らかな作動感は1.4トンを超える車両重量を感じさせる事無く、とても軽快にタウンスピードの中を走行する事が可能となる。これまでのフェラーリ・ロードモデルでもタウンスピードで走る事は可能だったが、大きく異なるのはドライバーの身体的負担が軽減されている事だろう。ヒートエクスチェンジャーを装備したマニュアル・ギアボックスは、シフトリンケージをロッド式に改められた事と併せて楽しめるシフトチェンジが可能となり、伝説の様に語られていた走り出し直後の2速へのシフトチェンジもスムーズに受け付けてくれる。走り出してからアクセルに忠実にレスポンスするエンジンは、3000rpm以下なら高めのギアを使っておとなしく巡航するが出来、40007000rpmの回転域を使えば日常を忘れさせるサウンドとレスポンスで、どのギアを選んでいても感激する加速力を発揮する。車速や加速度などを入力信号として減衰力が制御される電子制御式ダンパーによる乗り心地は、跳ねる事無く路面をトレースし、あらゆる速度域でも神経質な挙動を見せずに距離をこなす。高い動力性能に対して信頼に値するブレーキ性能は1Gを超える実力を持ち、ロック点も充分に高く踏力に対してリニアに減速感を得られるものとなっている。この高いドライバビリティをもつ「F355」で、ドライバー自らマニュアルトランスミッションを駆使してのワインディングロードは楽しいひと時となるだろう。タコメーターのレッドゾーンが始まる8500rpmまで回転数を上げ、次のギアへ繋ぐと1速から2速へは5900rpm、その先のギアへの繋がりは順に6500660068007100rpmと徐々に上昇し回転を落とさない絶妙なギア比となっている。電子制御ダンパーをスポーツモードにしてダイレクトなスロットルとステアリング、リニアなブレーキを使って姿勢をコントロールしながら、車両と一体になって存分に走る事が可能となる。操作系の動きは滑らかで軽く、車体はだんだんとコンパクトに感じられる様になり、ギアシフトはスムーズな中にも、しっかりと歯車が噛み合う感触を伝えてくる。そのシフトダウン時のブリッピングのサウンドと、ダイレクトな感覚はフェラーリならではのものといえるだろう。また「GTS」モデルの為、デタッチャブルトップを外せば、そのサウンドとスピード感は、より輪郭を明確なものとして遥か昔のロードレースを走るレーシングフェラーリへと続く血統を感じさせる。引き継がれてきた伝統と、レーシングフィールドからフィードバックされた技術によるドライビング感覚はフェラーリそのものとなるが、真のスポーツカーとしても高い完成度を感じさせる一台であるとともに、これから先もけして色褪せる事のない強い個性をもつモデルとなっている。