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メーカー
フェラーリ
ミッション
マニュアル
グレード
ボディタイプ
外装色
ブラックメタリック
年式
1988 年型
走行距離
22000km
乗車定員
2 名
サイズ
長 428 cm 幅 175 cm 高 112 cm
エンジン形式
排気量
3185 cc
馬力
260
トルク
29.5
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラックレザー
燃料区分
ガソリン
幌色

1975年にパリサロンでデビューを飾ったフェラーリ8気筒ミッドシップモデル「308GTB」は、新開発による3V8エンジン(F106A)搭載により「ディーノ246GT」の後継車として人気を博したモデルとなる。フェラーリのエンブレムを付けた市販車として、初めて12気筒エンジン以外を搭載したモデルでもある。前年デビューの「308GT4」にも搭載された、エンジン開発チーフのジュリアーノ・デ・アンジェリスによる、この3V8エンジンは、「365BB」のボクサー12気筒、すなわちデイトナのV12気筒の主な設計要件となる、燃焼室形状、ヘッド設計、カムシャフト、94mmのボア間ピッチ、ピストン、コンロッドなどを流用、もちろんボア・ストロークや単気筒あたりの排気量365cc、圧縮比8.8まで共通となる、フェラーリ的モジュラー設計エンジンとなっている。シャーシはほぼ「ディーノ246GT」を引き継ぐ形となり、開発責任者アンジェロ・ベレイによるもの。ベレイとアンジェリスの対照的な技術者コンビにより、フェラーリは60年代後半から80年代前半までの市販車を誕生させている。このアンジェロ・ベレイは技術系の専門学校(日本の学制では中学に相当)が最終学歴で、フェラーリ創業の前年からエンツォ・フェラーリのもとで生涯働き続けた男。忠義を尽くしてエンツォの意思伝達から、カロッツェリアはじめ外注先との折衝、その上で開発チームをまとめ上げて来た人物。かたやジュリアーノ・デ・アンジェリスは、トリノ工科大卒の典型的な技術者で、デイトナのV12エンジン設計をはじめ、フェラーリからアルファロメオ に移籍すると、アルファ164プロカー用V10エンジン開発に加わる、エンジン・スペシャリスト。この気配りチーフと技術者エンジン・スペシャリストのコンビで「ベルリネッタ・ボクサー」「308」「テスタロッサ」と開発を続けていった。そして「308」シリーズは、後にオープントップを持つ「308GTS」を加え1975年から1985年にかけて生産され総生産台数は12143台にもなった。これはフェラーリが1947年に創業して以来「308」シリーズを生産するまでの、約30年間に生産された全フェラーリ・モデルの台数に匹敵する程の数となり、フェラーリ・ブランドを最も世に知らしめたモデルとなる。この「308」シリーズの最終進化型ともいえるモデルが「328GTB」となる。デビューは1985年のフランクフルトショー。車名の数字は「3.2V8エンジン」を、アルファベットは「グランツーリスモ・ベルリネッタ(クーペ・ボディ)」となる車形をあらわしている。「328GTB」のボディデザインはフェラーリの多くのモデルを手がけたピニンファリーナ社が担当。その中でも「ディーノ」や「デイトナ」「ベルリネッタ・ボクサー」などの黄金期のデザインを手がけたレオナルド・フィオラバンティによるものとなる。基本的にはベースとなった「308GTB」のボディラインを継承しつつ、独立していたバンパー部分がボディと一体化された事などによりモダンな印象となった。コンビネーションランプに挟まれたフロントの格子グリルに跳ね馬のオーナメントが付くデザインは「ベルリネッタ・ボクサー」に通じる面影を感じさせる。またモダンになりながらも「308」時代からの手間のかかったボディワークは残され、ボディサイドの大きく凹んだインテーク部分は、ドアパネルと別に小板を形作りそれをドアに合わせて溶接。リアフェンダー側のインテークホールのエッジ部分はハンダを盛った後、シャープに成形される。リアクォーターピラーのエッジ部分、更にテール部の箱状の成形も仕上げは全て人の手により研がれて、形作られたものとなっている。ボディ構造は、フェラーリ創業時から続いてきたクロームモリブデン製鋼管フレームを用いて、ボディ外皮を貼り付けていくという伝統の手法で組み上げられた最後の2シーター・モデルでもある。この後継モデルとなる「348」「F355」は、フェラーリといえども時代の流れに逆らいきれずフロントからキャビンまで鋼板モノコック構造を採用、エンジンまわりに鋼管フレームが残るのみとなり「360モデナ」からはアルミフレーム構造に進化してしまう。その意味でも歴史的なクラシック・フェラーリと同じ手法、同じ構造で造られたボディは、今となってはとても貴重な存在といえるかもしれない。搭載されるエンジンはF105C型と呼ばれ、ボア・ストローク83.0mm×73.6mmで、3185ccの排気量をもつ。金型鋳造製によるアルミの肉厚エンジンブロックによる90°V8気筒DOHC32バルブとなる。当時マラネロの工場では、エンジニア2人で1チームとなり一基のこのエンジンを組み上げていた。鍛造鋼の丸棒を切削加工し熱処理したクランクシャフトをもち、使用されるピストンはマーレ製鍛造ピストン。ピストントップ形状が見直され、ショートスカート型の軽量で、耐久性に配慮された仕上がりとなっている。また通常鋳鉄製を使うライナーは冷却効率の高いアルミ製を採用。このピストンとアルミライナーにより、それ以前のモデルとなる「308QV」の9.2から9.8という高い圧縮比を実現。また、吸気ポートも見直されフェラーリのこだわりが感じられる、手作業による研磨が施されたポート部分の造形をもつ。点火系は新たにマレリ製マイクロ・プレックスが採用され、これは「テスタロッサ」での実績が評価された事による。燃料供給はボッシュ製Kジェトロニック機械式燃料噴射装置により、270馬力/7000rpm31.0kgm/5500rpm(高圧縮比でキャタライザー、エアインジェクションの無い欧州仕様の数値)の出力、トルクを発揮する。北米仕様やそれに準ずる日本仕様の場合、排ガス対策により260馬力/7000rpm29.5kgm/5500rpmとなり、圧縮比も下げられている事まで考慮すれば、スペック差は、あまり大きなものではないかもしれない。組み合わされるトランスミッションは、フェラーリ自製の5速マニュアルトランスミッションとなり、ボルグ&ベック製9.5インチ径シングルプレートクラッチが採用される。クラッチはそれまでのワイヤー式から油圧式となり、その重さは大幅に軽減された。またディファレンシャルはZF製となり、LSD機構も組み込まれ40%のロッキング・ファクターをもっている。足回りはフロント・リアともにダブルウィッシュボーン式で共にスタビライザーを備える。ショックアブソーバーはマイナーチェンジが行われる1988年以前に生産された凹面型ホイールが付く前期型はフェラーリが長い間採用してきたコニ製が組み合わされる。シャーシNo.76626以降の凸型ホイールが付く後期型からは、ビルシュタイン製となる。このマイナーチェンジにより、フレームの改良が行われ前後サスペンションアーム取り付け部の左右幅が狭められ、これによりサスペンションアームが延長されジオメトリーも全面的に見直しが行われた。全ては更なる高速安定性とドライバビリティ向上の為と、4ABS(アンチロックブレーキ)取り付けが考慮された事による。ABSはオプション装備から始まり、シャーシNo.79177以降、標準装備となった。ブレーキはフロント275mm、リア279mm4輪ベンチレーテッドディスクを備える。タイヤサイズはフロント205/55VR16、リア225/50VR16となりスピードライン製の16インチ・ホイールは前後それぞれ7J/8Jとなる。インテリアはメーターナセルの形状は「308GTB」から継承されたが、メーター類のレタリングがオレンジ色に変更された。一新されたセンターコンソール部はスイッチ類からタンブラースイッチが一掃され、カラフルなバーグラフ表示を備えたモダンなデザインに変貌した。ドアアームレストのデザインも変更され、サイドブレーキがセンターからドア側に移設された。モモ製小径3スポークステアリングやクロームメッキされた長めのギアレバー、その根本のメタル製シフトゲートはフェラーリならではの装備といえるもので、そのまま継承される。コノリー・レザーによるシートは、形状とステッチのパターンが変更され、よりホールド感が高いものとなる。リクライニングはダイヤル式からレバー式に変更となった。フェラーリのコックピットに入ると感じる匂いは、このシートなどに使われるレザーの匂いなのか、車種がかわっても同じテイストを味わえ印象深い。全長×全幅×全高は4255mm×1730mm×1128mm、ホイールベース2350mm、トレッド前1485mm、後1465mm、現在のクルマたちの中ではとてもコンパクトに感じるサイズとなり「ディーノ」から始まったスモール・フェラーリ・シリーズの最終型に相応しいもの。燃料タンク容量74、車重は1236kg。「328」シリーズの生産台数は7412台となり「328GTB」は僅か1344台「328GTS」が6068台となっている。メーカー公表性能値は0100km/h加速6.4秒、0400m加速14.3秒、01km加速25.7秒、最高速度263km/hとなる。カーグラフィック誌による1988年の実測データは「328GTS」によるもので、0100km/h加速6.0秒、0400m加速14.0秒、01km加速25.4秒、最高速度253.9km/hとなっている新車時ディーラー価格「328GTB」は1520万円、「328GTS」は1587万円。乗り込んで初めに気付くのは、ペダルのオフセットで大きく右側にズレて配置されている事。クラッチペダルを踏むと、旧世代のフェラーリを体験した事がある人は、その軽さに驚かされる。フェラーリならではの伝統のゲートに沿ってギアを1速に入れ、このクラッチをリリースすると、低回転からでもトルク溢れるエンジン特性により、思ったよりあっさりとスムーズに走り出せる。そこから徐々にエンジン回転を上げていくと4500rpmから上のエンジンノイズがミュージックに変化し始め、カン高いフォルテッシモを奏ではじめと、フェラーリをドライブしている実感を味わえる至福の時間となる。ノンパワーとなるステアリングも比較的軽めとなっていて、コーナーへの切れ込みも良く回頭性も高い。特別な技術を用いなくとも、面白い様にコーナーをクリア出来る。知らぬ間にペースが上りフェラーリならではの、ダイレクトでいて繊細な感覚に富む操縦性を体験すると、忘れられない感情の高まりを心に深く刻まれる事になる。「328GTB」はフェラーリの文法どうり作られていながら、スポーツカーらしくちょうど良いバランスも兼ね備えている。現在の交通事情にも対応出来るクオリティと装備もちながら、その発端を「308」と考えれば、充分クラッシックと呼べる年代に差し掛かる。シンプルなメカニズムをもちインジェクション装備により、エンジン始動に手間取らず信頼性高い、なかなか巡り会えない実用的なクラッシック・フェラーリとなる。「328GTB」までの、フェラーリのフレーム車体構造は、左右のサイドシルとセンターコンソール下に前後方向に平行に3本の楕円断面を持つ、太いクロームモリブデン鋼(クロモリ鋼)によるパイプを使ったメインフレーム+前後サスペンションやパワートレイン、ラジエーターなどを抱える様に組まれた角断面サブフレームが主体となっている。それに細いパイプが溶接されフェンダーやバンパー、その他のボディパネル類が取り付けられている。タイヤが路面から受けるショックや、エンジントルクの反動など全てこのフレームが受け止めてボディパネルには一切応力を受けない。エンジン、トランスミッション、サスペンション、シート、ABCペダル、ステアリング、人が触れて動かす部分は全てフレームに、太いボルトでしっかり取り付けられている。これらが生み出す感触こそが「フェラーリ」の濃い味わいを生み出している。フェラーリの伝統的なシフトゲートの下には、アルミ鋳物で出来た頑丈な造りのシフトボックスがあり、これも太い4本のボルトで床下のクロモリフレームにしっかりと固定されている。そのボックスから後方へ伸びる太い鉄パイプによるシフトリンケージなどの構造は、往年の「250GTO」や「250LM」に代表されるレーシング・フェラーリそのものの世界がそこに存在する。「フェラーリ328GTB」は、プレミアム・ブランドでは無くスポーツカー・ブランドとしての創業者エンツォ・フェラーリが創り上げた世界が凝縮されて込められているように感じられるものとなっている。