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メーカー
ポルシェ
ミッション
マニュアル
グレード
ボディタイプ
外装色
ライトイエロー
年式
1973.0 年型
走行距離
不明
乗車定員
サイズ
長 cm 幅 cm 高 cm
エンジン形式
排気量
2700.0 cc
馬力
トルク
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
中古並行輸入
内装色
燃料区分
ガソリン
幌色

オリジナルパーツ使用、グランドレストレーション。

カラー:6262 ライトイエロー

内装: 13 ブラックレザーレット Hound's Tooth(白黒千鳥柄)

258 ヘッドレスト左右

409 スポーツシート左右

432 ハイビームライト

490 格納式アンテナ―左右

549 ショルダー/ラップベルト

571 リアフォグランプ

651 電動ウィンドウリフト


1972105日のパリサロンに姿を現したショーカーは「カレラ」の名前のみならず「RS」の2文字を車名とする、初めての「911」だった。それはホモロゲーション・モデルであり「911」でレースにエントリーするプライベートチームなどに提供しようという目的で開発された辛口の「911」だった。その目論見通りグループ3や、グループ4カテゴリーのレースで数々の戦績を残すだけにとどまらず、ロードユースにおいても、優れたパフォーマンスを発揮し、限りある生産台数によりコレクターズカーとしてもその評価を高めていった。現在において、その価値はとても高くクラッシックモデルの人気を牽引する、代表モデルともいえるポジションに位置している。1960年代後半から1970年代初頭にかけてポルシェは一連のミッドシップ2シーターのレーシングカーによりスポーツカーレースを席巻し、その技術力を世界にアピールしてきた。しかし1970年代中盤になると、創立以前から一心同体であったフォルクスワーゲンとの関係が、新社長ルドルフ・ライディングにより変化を見せ始める。それは、フェルディナント・ポルシェの友人であり崇拝者であった前社長ハインツ・ノルトホフの時代には「ビートル」が1台売れるごとに、設計者たるポルシェにロイヤリティが支払われ「ポルシェ914」プロジェクトも誕生した。それがノルトホフの急死により「914」プロジェクトからの撤退と、ポルシェ開発による「ビートル」の後継車で後席下にエンジンを搭載した「フォルクスワーゲンEA266」もキャンセルされ、膨大な損失を被ることとなった。1972年をもってポルシェ一族が会社経営から身を引いた事で、新社長に就任した「911」開発者のエルンスト・フールマンはレースカー開発資金の縮小と「911」販売拡大を考え、レース活動の中心を「911」主体によるGTカーレースに絞る方向とした。幸いにもFIA(国際自動車スポーツ連盟)は、1975年からスポーツカー選手権タイトルを公認GTカーベースのレーシングカーに与える内定を下し、無敵だった「917」で勝利を重ねる事は叶わない状況の中での判断だった。ポルシェは既に1972年から施行される北米でのマスキー法(大気浄化法改正案)への対応として2.4エンジンによる、低圧縮比エンジンの研究開発を進めていた。ここにフールマン新社長のGTカーレースプロジェクトが加わり、ストロークは2.4エンジンの70.4mmとし、鋳鉄ライナーでは実現出来なかった、ボア6mmの拡大を「917」で開発したアルミシリンダーを用いて実現し2687ccエンジンが完成した。このエンジンを、12ヶ月間に500台生産することによりFIAグループ4の公認を受けられることとなった。この2687ccエンジンは、Can-Am(カナディアン・アメリカチャレンジカップ)用として開発された1100馬力を発揮するレーシングカー「917/30K」の空冷水平対向12気筒5374ccエンジンと同じボア・ストロークを持ち、ちょうど半分の水平対向6気筒エンジンとなっている。スタンダードで2.5を越える排気量としたこのエンジンにより、FIA規則のクラス区分で3まで拡大することが可能となる。このエンジンを搭載するボディは、軽量化を軸にノルベルト・ジンガーとペーター・ファルクを中心となって進められた。ボディパネルは1.0mm1.25mmから0.7mmの薄く軽量なパネルが用いられ、より薄いウィンドウスクリーンが採用された。バンパー類はFRP化され、内装材もよりシンプルなものとすることにより900kgを実現した。ボディで目を引くのは、FRP製のエンジンフード一体型ダックテールスポイラーとフロントバンパー下のエアダムで、ポルシェが初めて採用したエアロダイナミック専門家のティルマン・ブロードベックによるもの。様々なテストを行う中で、ドラッグ係数とリアエンドのリフト量を低減させるだけでは無く、車体後部の揚力も低減させながらエンジンルームへの空気の流れも改善されエンジンの油温を抑える効果を得られたといわれている。「カレラRS2.7」に搭載される911/83型とよばれるエンジンは、空冷水平対向SOHC6気筒となりボア・ストローク90.0mm×70.4mmで、2687ccの排気量をもつ。ボッシュ製機械式インジェクションシステムを備え、8.5の圧縮比から最高出力210馬力/6300rpmと最大トルク26.0kgm/5100rpmを発揮する。同年式の「911S」と同じピストンを用い、同じバルブサイズやバルブタイミングとしながらも、レーシングカーである「917」で実証されたニッケルとシリコン合金をアルミシリンダー内側に蒸着させたマーレ社による「ニカシルシリンダー」を採用。これはクロームメッキと同等の厚さながら、炭化ケイ素を含む事で遙かに強く、ニカシル層は特別な処理を施さなくてもオイル膜を保持出来る特性を持っている。組み合わされる5段マニュアルギアボックスは、短めのレバーをもちシフトパターンも通常の14速でH型を形成する「915型」となる。4速と5速のレシオが少し速められたうえで、ファイナルは「911S」と共通とされる。足回りは、フロント・マクファーソンストラット式、リア・セミトレーリングアーム式とし、トーションバー・スプリングが装備されている。またショックアブソーバーはビルシュタイン製となり、ポルシェ初となる軽量なガス圧式となっている。スタビライザーはフロント18mm、リア19mmに変更され、強化されたものとなる。4輪に装備されるベンチレーテッド・ディスクは「911S」と共通。FUCHS製アルミホイールサイズとタイヤサイズは、前輪にには6J×15インチサイズに185/70VR-15ながら、後輪には広げられたリア・フェンダーに1インチ幅広となる7J×15インチサイズと215/60VR-15のピレリ製CN36が装着された。この足回りによりノルベルト・ジンガーによるテストでコーナリングG0.912を記録し、当時の市販ポルシェの中で最も高い数値を記録する。全長×全幅×全高は4102mm×1652mm×1320mmでホイールベース2271mm、トレッド前1372mm、後1368mm、車両重量1075kg(ツーリング・M472と呼ばれる、カレラRSの中核となるモデル。スポーツ装備にプラスして、アルミ製サイドシルカバーが付き、リアバンパーはスチール製となる。レカロ製のリクライニング可能なバケットタイプのシートが装備される。各ウィンドウも通常の911と共通で、911Sと同じ1075kgとなり1308台が生産された)となっている。燃料タンク容量は85となり、これはスペアタイヤをグッドリッチ製のテンパータイヤとしたことより、85の樹脂タンク搭載が可能となった。「カレラRS2.7」の日本での新車時車両価格780万円となり14台が正規輸入され、販売されたといわれている。「カレラRS2.7」のメーカー公表性能値は0100km/h5.8秒、01000m25.4秒、最高速度245km/hとなっている。カーグラフィック誌による実測値は0100km/h6.0秒、0400m14.4秒、01000m26.3(19841月号)「カレラRS2.7」のエンジン始動は、エンジンが冷えている時には長めのクランキングが必要になる。だが必ず最初のトライで爆発的にエンジンは始動する。フライホイールの極端に軽い、レーシングエンジンの様にエンジン回転はアクセルの動きにシャープに反応する。吹け上がりでは「2.2」エンジンの方がシャープかもしれないが、全域でトルク感に溢れ「911S」に対しても圧倒的な加速性能の差を持つうえに、低速域での柔軟性も併せ持っている。それだけなら単なる排気量が大きい事による恩恵といえるかもしれないが、最大トルクの発生回転数が5000rpmというのは伊達では無く、4000rpmを超えると明らかにエンジン回転の勢いが鋭さを増す。また、その時のエンジンサウンドはドライバーを心地良く刺激し印象深いものとなる。またボディの軽さを実感出来、細身で小径のステアリングホイールも軽く、ロールを感じさせずに路面に貼りついた様なコーナーリングが可能となる。過大なアンダーステアを示すこともなく、コーナーを抜けて加速する場面でもテールは安定して、すこぶるバランスのいい身のこなしを楽しむ事が出来る。サーボを備えない、四輪ベンチレーテッドディスクのブレーキは強力かつコントローラブルで信頼感に溢れた減速を可能とする。低速時に乗り心地は硬く上下に揺すられるが60km/hを越えるあたりから、フラットなポルシェらしい快適さを取り戻す。「カレラRS2.7」のエンジンは4000rpmを越えるとレーシング・ポルシェを思わせる名状しがたい快音に変わり、溢れ出したパワーは7000回転を超えてリミットまで衰えない。ホモロゲーションモデルでありながらも、硬派な高性能ロードモデルとしても魅力に溢れた走行性能を存分に味わう事が出来る。走行ノイズは軽量化されている割には、長距離移動時にも苦痛にはならないことから、これはエンジンがドライバーから遠くなる RRレイアウトによる利点と言えるかもしれない。「カレラRS2.7」は「毎日の足から週末のレースまで、全く問題無くあらゆることに使える」と、発表時のポルシェのパンフレットに書かれていたといわれている。全くその通りに、素晴らしいドライバーズカーであると同時に「911」の他のモデル同様に高い実用性も兼ね備えている。そんな「カレラRS2.7」だが、開発最終段階では販売部門からの横槍で、その販売は頓挫しそうになった場面もあったようだ。ホモロゲーション獲得に500台の販売が必要な中、販売部門では10台売るのが精一杯だと見積もったという。その予想を大きく覆し、デビューを飾ったパリサロン終了後、一週間でアナウンスされた500台の「カレラRS2.7」は完売し、その後の増産により合わせて1580台が生産され、その結果FIAグループ3(量産GTクラス)の公認までも受ける事が出来た。今でも空冷エンジン搭載のポルシェ「911」を代表する1台となり、そのポジションは、水冷エンジン搭載となった現在でも「GT3」モデルへと引き継がれている。