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メーカー
ロールスロイス
ミッション
コラムオートマ
グレード
ボディタイプ
外装色
ホワイト
年式
2012 年型
走行距離
27800km
乗車定員
5 名
サイズ
長 570 cm 幅 195 cm 高 155 cm
エンジン形式
排気量
6590 cc
馬力
570
トルク
80.0
車検
令和5年5月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
アイボリー
燃料区分
ガソリン
幌色

200311日をもって70余年にわたる「ひとつ屋根の暮らし」に終止符を打ったロールスロイスとベントレー。それぞれBMW社とフォルクスワーゲングループの一員として、この日から別の道を歩み始める事となった。ベントレーはこれまで通り、チェシャー州のクルー工場で生産される為、製作に関わってきた人員及び機械は、そこにそのままとどまる。ロールスロイスはイングランド南部、ブライトン近郊のグッドウッドに新たなるロールスロイスの故郷となるべき新工場を建設する事となった。いかにもイングランドらしい丘陵地に建つガラスと木で覆われた本社工場は、ロンドンのウォータールー国際鉄道駅などを手がけた巨匠、ニコラス・グリムショウ設計による、モダンで景観を損なわない美術館の様な外観をもつ。イギリスでは伝統的にバーミンガムやオックスフォード周辺が「モータウン」となるが、ロールスロイスはあえてウェストサセックスに居を構えた。それは新たなるロールスロイスを作る為にレザーやウッドを扱う、即戦力となる熟練工を集める必要があり、海に近いこの地はヨットや家具製造経験の豊富な職人が多く存在していたからだ。そしてドイツのBMWの工場で生産され送られてくる、ボディを受け入れる為、ドーヴァー海峡に近い方が好都合という事もあった。2003年のファントムの製造から順調にこの工場での生産台数を伸ばしてきたロールスロイス社は、20093月のジュネーブショーで「200EX」と名付けたコンセプトカーを発表する。ファントムより一回り小さくなったサイズ感のサルーンボディは、見るからに量産可能なクオリティで仕上げられていた。そして翌月の上海モーターショーにおいて「ゴースト」と改名され、ほぼ同じデザインでのショーデビューとなった。そのエクステリアデザインは、E923シリーズ・クーペ、同コンバーチブルを手がけたBMW社デザイナーのミハエル・マルケフカによるもの。ベイビーロールスのあだ名で開発が進められてきた「ゴースト」はシャーシ、エンジンともにファントムとは異なる成り立ちをもったモデル。ロールスロイス・ブランドとしては、完全なる新型車をリリースするのは、60年代シルバークラウド、70年代シルバーセラフ、03年ファントムに続いて、50年間でこの「ゴースト」が4台目となる。ベイビーロールスといってもファントムより一回り小さいだけで、当時のメルセデスSクラス、BMW7シリーズより一回り大きなボディを持っていた。いかにもロールスロイスらしいボディデザインは、ファントムよりやや小ぶりなパルテノン・グリルから始まる、ボンネット上のVラインが流れる様に強調されたのが特徴。全体的に丸味を帯びた柔らかな印象のデザインとなっている。ファントムと大きく異なるのはボディ構造で、アルミスペースフレームでは無く、より一般的なスチールモノコック構造となる。少量生産に有利なスペースフレーム構造に対し、より多くの生産量を見込んだ「ゴースト」は生産コストも考慮されスチールモノコック構造を選択してきた。1993年以降、熱間処理や超高張力鋼板の普及によりクラッシュテストなどでは、スチールモノコックの方が有利な場面も見えはじめてきている。ファントムはロールスロイス社にとって強力なメッセージ性をもつ頂点に位置するモデルとして君臨し、対する「ゴースト」はよりカジュアルに日常的に使用出来るサルーンとして開発されたモデルとなる。搭載されるエンジンは、BMW760用の6V12ツインターボユニットを基本に「ゴースト」専用に仕立てられたもの。N74B型とよばれる、60°V12気筒DOHCエンジンは、ボア・ストローク89.0mm×88.3mm6592ccをもつ。圧縮比10.0でピエゾ・インジェクターにより200barの高圧で燃料を直接、燃焼室に噴射する直噴エンジンとなっている。インタークーラーを備えるギャレット製ツインターボエンジンは、最高出力570馬力/5250rpm、最大トルク79.5kgm/1500rpmを発揮する。ハイパワーでありながらも少燃費、CO2排出量、効率にこだわったエンジンでBMW社で手組みにより生産される。組み合わされるトランスミッションは変速の滑らかなZF8(8HP90)ATとなっている。足回りは前後ダブルウィッシュボーン式となり、電子制御式エアサスペンションを備える。注目はコーナリング中のロールを抑える「アンチ・ロール・スタビライゼーション」というシステム。スタビライザーとサスペンションユニットの連結状況を油圧アクチュエーターにより変化させるモノで、直進時はスタビライザーはほとんど効かず、旋回Gが高まるとスタビライザーが効力を発揮するというシステム。これにより快適性と操縦性を高いレベルでバランスし両立したものとなっている。ブレーキは前後ともにベンチレーテッドディスクを採用し「コーナリング・ブレーキ・コントロール」を装備する。これは、アクティブ・クルーズ・コントロール使用時にオーバースピードでコーナーに進入してしまった時、自動的にブレーキがかかり速度を落としてコーナーをクリアし、その後設定されたスピードに自動復帰するというシステム。足回り、ブレーキともに正確なステアリングと連携し高いスタビリティを備えるが、BMWの様にあからさまなスポーツサルーンでは無く、あくまでも「軽快なファントム」といったイメージのダイナミクス性能をもつ。タイヤサイズは前後とも255/50R19となっている。インテリアはロールスロイスの名に恥じる事の無く、磨き込まれたウッドパネルと雄牛8頭分のナチュラル・グレイン・レザー、カシミア混紡のヘッドライナー、足元は毛足の長いコーンシルクのカーペットで覆われる。ダッシュボードの形状や、メーター類の配置はファントムの流れに沿った、極めてオーソドックスなものとなる。正面に260km/hのスピードメーターと、その左側にパワーリザーブメーターが備わり、ロールスロイスの伝統どおりタコメーターは配されない。またダッシュボードに埋め込まれたアナログ時計は、盤面に白いエナメルの様なクリスタル・オプティックとよばれる上品な素材が使用され、スピードメーター、パワーリザーブメーターにも用いられる。ファントムに比べるとより軽快でモダンな印象となっている。観音開きとなるコーチドアには、雨天時の専用の傘が装備されている。ドライビングポジションはファントムの「コマンドポジション」程高く無い為、ロールスロイス社では、「オーソリティ(権威ある)ポジション」と表現している。より路面に近く座るだけで、少しスポーティに感じられるのは、ドライバーズカーならではといったところか。全長×全幅×全高は5400mm×1950mm×1550mm、ホイールベース3295mm、車両重量は2480kg。スチールモノコックボディでも、ファントムより120kg軽量となっている。前後重量配分は52:48、燃料タンク容量は100。新車時価格2900万円。メーカー公表性能値は0100km/h加速4.9秒、01000m加速23.1秒、当時のポルシェ911カレラ並の加速力をもつ。最高速度は250km/hでリミッター作動となっている。ファントムより低めのドライビングポジションにより、ボディ幅の見切りが良くないと感じたら、少しシートを高めに上げるとフェンダー先端の峰が見やすくなる。ダッシュボード上に設けられた、上品なエンジンのスタート/ストップボタンを押し込んで、エンジンを始動させてもロールスロイスらしくエンジン音や振動は、全く看取出来ない。ステアリングコラムから生えた華奢なシフトレバーを優しく押し下げ、Dレンジを選び少しずつアクセルペダルを踏み込むと「ゴースト」は滑らかにフワリと動き始める。その身のこなしは、あくまでもジェントルかつエレガントで快適極まり無い空間が、穏やかにスピードに乗る。僅か1500rpm80kgm近いトルクを発揮するエンジンから想像される荒々しさは微塵も感じられず、飛ばそうという気持さえ忘れる程の、平和な速度感に包まれる。しかし、グッとアクセルペダルを踏み込んだならば、キックダウンによりギアが落ちると同時に猛然と加速態勢に移る。ターボがジンワリと加勢しながら、みるみるスピードメーターが上がり出す。低速での柔らかい足回りからは考えもつかない程、高速走行時のロードホールディング性能は高い。正確なステアリングを切り込んでもロール量が抑えられているのは、アクティブ・ロール・スタビライゼーションの効果なのだろう。このあたりがドライバーズカーとしての性格を強めた味付けとなるのだろうか。ファントム同様、奇を衒ったところは無く、至ってシンプルで整然として常に冷静に次の指示を待っている。ひたすら高級で手間のかかったモノで成り立っているにも関わらず、イギリス人言うところの、アンダーステートメントなものになっている。ドライバーが望めば如何様にも、またどんな速度も容易に味わわせてくれる。これこそ「The Best Car in the World」ロールスロイス社の伝統は、どのモデルにおいても相通じるものとなっている。