サイズ
長 416.0 cm 幅 155.0 cm 高 127.0 cm
外装色 タンジェリンオレンジ、エンジンノーマルブロックを使用し、
2.2Sにチューニング、5速ミッション スポーツマフラーに換装
機関関係、足回り等リフレッシュ済、2オーナー車両です。
運転席スポーツシート、社外ステアリングに換装してますが、
オリジナルシート、オリジナルハンドルに
変更しての、お渡しとなります。
「ポルシェ911」の登場時は、情報だけが先行し1963年フランクフルトショーで「901」として発表されても、すぐに販売とはならなかった。エンジンやギアボックスを含むリアエンドの重さにより、ドライバビリティの確保とその対策に追われていたためといわれている。1964年3月のジュネーブショーでの展示を経て、8月に最終量産型の試作を始めると、プジョーから「車名の中央に0を持つ三桁の数字は登録済み」とクレームを受け、10月に「911」と改名するに至り、現在のポルシェの存在からは考えられない「ポルシェ911」の出発となった。日本での「ポルシェ911」のお披露目は1965年5月15日東京プリンスホテルで行われ、デビューしたばかりの新型4気筒モデル「912」を伴ってという形になった。初期型「911」は1967年式まで、大きな変更を受けずに生産され「0シリーズ」とよばれている。それ以前のモデルとなる「356SC」の影響を強く残した味わいをもち、2ℓ・130馬力エンジン搭載により130km/h以上での高速クルーズでも高いスタビリティを見せた。しかし、急なスロットルオフは直進安定性に影響を与え、タイトコーナーではオーバーステア傾向に注意が必要とされた。1968年からの「Aシリーズ」からは、高価となってしまった130馬力の標準モデル「911E」の廉価版となるグレートとして「911T」がラインナップされる。車名の「T」は「ツーリング」の頭文字とされコストダウンの為シリンダーヘッドはアルミとスチールによるバイラル構造では無く、鋳鉄製とされた。8.6という低めの圧縮比(標準型911Eは9.0)とおとなしいバルブタイミングにより、110馬力となったが、バルブ径とポート径は160馬力を発揮する「911S」と同サイズとなる大きなものを採用した。これは「911T」の簡素な軽量ボディをポルシェがレースのホモロゲに使用する事を目論んでいたからといわれている。また2ℓ時代のピーキーだといわれた「911」のラインナップの中では「911T」の比較的穏やかなエンジン特性は低速トルクも豊かで扱いやすく、日常使いにアドバンテージを持つ。1969年式から「Bシリーズ」となった「911」はロングホイールベース化と燃料噴射装置の導入という、大きな変更が施される事となった。フロアパンとエンジン/ギアボックスの搭載位置はそのままに、ハーフシャフトのジョイント容量を増やし後退角を付けサスペンションアームを延長して、ホイールベースを従来の2211mmから57 mm延長、オーバーステアなどシビアな操縦性を改善する為のものとなる。同時により太いタイヤを装着出来るように、前後フェンダーに僅かなフレアがつけられた。また、リアヘビーを是正する方向で、クランクケースがマグネシウム合金化され「911S」ではアルミ製エンジンフードが採用された。燃料噴射装置については「カレラ6」などレーシングカーからの経験により、ボッシュ製6プランジャー式メカニカル・インジェクションが用いられる。これはアメリカでのエミッションコントロール(70年にマスキー法が可決される)対策でもあった。「911T」だけはウェーバーキャブレターが装備され、標準モデルとなる「911E」と「911S」にはインジェクションが装備された。今回入荷した車両は1969年型「911T」となり空冷SOHC水平対向6気筒で、本来ボア・ストローク80.0mm×66.0mmで1991ccと8.6の圧縮比から110馬力/5800rpmと16.0kgm/4200rpmのトルクを発揮するエンジンと4速MTが搭載されている。このエンジンのボアを4mm拡大、84mmとしストロークはそのままとする事で2195ccとなり、ハイコンプピストン、2連装のトリプルチョークウェーバー、更にスポーツマフラー装着により2.2ℓの「911S」仕様にチューニング。それに伴い標準では4速となる変速機も「911S」同様に5速に換装されている。参考までに2.2ℓの「911S」のエンジンは180馬力/6500rpmと20.3kgm/5200rpmのトルクを発揮するといわれている。︎足回りは、フロント・マクファーソンストラット式+トーションバー、リア・トレーリングアーム式+トーションバーとなっている。ブレーキは前後ともにドリルド・ディスクが装備される。ホイールとタイヤサイズは、本来5.5J×15サイズに165HR15が組み合わされるところだが、エンジンのパワーアップに伴い2.2ℓ「911S」と同じく前後ともフックス製鍛造アロイ6J×15サイズに185/70VR15サイズのミシュランXWXを装備している。インテリアは現代まで続く「ポルシェ911」にも通じるメータークラスターを持ち、ステアリングを通して中央に大径のレブカウンターが配置される。ノーマル「911T」エンジンであればレブカウンターのレッドラインは6000rpmを超えたあたりに置かれるが「911S」仕様とされたエンジン特性にあわせて7000rpm手前(オリジナルの2.2ℓ・911Sは7200rpmから)にレッドゾーンが移されている。「911」伝統となるキーシリンダーはステアリングポストの左側に位置し、黒基調となるインテリアは整然として見える。細目に立ちあがるピラー類により、全方向とも視界は開けたものとなる。室内のタイト感やボディサイズ感も併せて「ポルシェを着る」と表現される程、ドライバーに馴染みやすくスポーツカーらしい取り回しのしやすさも、「911」のアドバンテージとなっている。全長×全幅×全高は、4163mm×1610mm×1320mm、ホイールベース2268mm、トレッド前1367mm、後1335mm、燃料タンク容量80ℓで車両重量は1110kgとなる。1969年式「911T」の生産台数は3904台となっている。2.2ℓ化された空冷SOHC水平対向6気筒エンジンは、オルガンタイプのスロットルを踏むと同時にレブカウンターの針を軽々と跳ね上げ、その後の回転落ちも速い。中速域でのレスポンスも軽く5000rpmから上の高回転域での伸びの良さは、歴代の「ポルシェ911」の中でもナローモデルの独壇場といえるかもしれない。2速から5速までが通常のHパターンを構成する5速ギアボックスは、強いセンタースプリングに抗するように、一番左側のスロットに手前に1速、向かい合う前方にリバースが位置する。このシフトパターンは2.4ℓモデルに新型のギアボックスが採用されるまで用いられることになる。1速から2速の変速にはクランク状にギアレバーを動かすイメージとなるが、1速にシフトした後、手を離すと自然とセンタリングスプリングにより、ギアレバーは右側に押し出されることで、2速へのシフトアップはそのまま前方に押し出すだけで完了する。続く3速へのシフトアップは、ギアレバーを再び手前に引き戻すだけとなり、はじめに1速のポジションにギアレバーをセットすれば、後は縦方向の前後に一往復するだけで1速→2速→3速とシフトアップが可能となる。2速から1速へのシフトダウン時は、シフトレバーをクランク状に動かさざるを得ないが、事前に1速ギアの入り口にあてがっておけばポルシェ・シンクロの働きにより、吸い込まれる様に簡単にシフトを完了することが出来る。リアスクリーンに貼られた「スパフランコルシャンサーキット」のステッカーからイメージされる様に、サーキット走行においては、スタート時にしか1速が使われる事の無い状況を考えると2速から5速がHパターンとなるこのシフトパターンは、大変使いやすいものとなるだろう。オートマチックの高性能化と多様化の中で、クラッシックとなるシンプルでダイレクトなマニュアルシフトは、レスポンスの良いエンジンとの楽しみを思い出させてくれるものとなる。この時代の「ポルシェ911」は、そのサイズ感と同様にライトウェイト感覚で走らせる事が出来、高いスピードに頼る事なくエンジンとの対話が味わえる。シルバーやホワイトのイメージがあるナローポルシェの中で、この時代のスポーツカーらしく明るいタンジェリンオレンジのボディカラーは存在感あるものとなっている。