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メーカー
ロールスロイス
ミッション
コラムオートマ
グレード
ボディタイプ
外装色
ホワイト
年式
2007 年型
走行距離
24300km
乗車定員
5 名
サイズ
長 583 cm 幅 199 cm 高 165 cm
エンジン形式
排気量
6740 cc
馬力
460
トルク
73.0
車検
令和6年4月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

ロールスロイスはチャールス・スチュワート・ロールスとフレデリック・ヘンリー・ロイスという二人の偉大な英国人の運命的な出会いから生まれた。進取の気性に富んだ若い貴族のロールスと、社会の底辺に育ち独学で電気工学を究めた、稀に見る良心的な技術者ロイス。対照的な二人が1904年に創業したロールスロイス社はシルヴァーゴーストとよばれる高い性能と極度の信頼性、耐久性をもつモデルで世の中にロールスロイス社をしらしめる事となった。技術者ヘンリー・ロイスは絶えず細部の改良を怠らず、同社の「The Best Car in the World」の伝統は、その後も引き継がれ完璧を追い求めた、万人が認めるプレスティッジ・カーとして、自動車界に君臨する存在となる。そのロールスロイス社の商標権を1998年、BMW社が獲得する。そして迎えた2003年、満を辞して世に送り出したのが7世代目となる「ロールスロイス・ファントム」となる。「ファントム」という車名は、「幻」を意味しロールスロイス社のラインナップ中最上位のサルーンに使われてきたもので、ギリシャのパルテノン神殿をモチーフとした大型フロントグリルを特徴としてきた。いくらか絞りこまれたリアから見ると、小ぶりにも見えるがフロントから見るとパルテノングリルの大きさもあり巨魁。日本人の青年男子の平均身長より些か低くなるかもしれないが、サルーンとしては、異例の高さと小山の様な大きさをもつ。その上ロールスロイスというブランドの威光が、このクルマを更に大きくみせている。デザインは、ロールスロイス社のチーフデザイナー、イアン・キャメロンによるもの。たとえフロントのパルテノンが見えなくても、一目でロールスとわかるデザインを心掛けたといわれている。21世紀のロールスロイスの何たるかを伝統だけに縛られず、クラシカルな良さを未来的にモダンに表現することで、古くからのロールスロイスのオーナーズ・クラブからも絶賛される程となる。ショーデビューは、2003年デトロイトショー。BMW社が、はじめて製作にあたるロールスロイスという事で、開発陣は古いロールスロイスを徹底的に研究、解析し全てを数値化するよう試みた。ロールスロイスの乗り心地と必要にして充分なエンジンパワー、低速でのトルク、またその伝達のスムーズさにこだわった。そして選択したボディ構造は、アルミスペースフレームを使ったアルミボディとなる。ザルツブルクの北、BMW社のウンターホレラウ工場でアルミ溶接のスペシャリストにより製作されたアルミボディは、そのやや南に位置するBMW社のディンゴルフィン工場で入念に下地処理され、海を渡りイギリスの南イングランドに新たに建設されたロールスロイスのグッドウッド工場でアッセンブリーされる。搭載されるエンジンは、N73B型とよばれるBMW社の技術の粋を集めたスペシャルユニット。当時のBMW7シリーズ用の6(N73B60)エンジンを、1970年のシルバー・シャドウ以来使用されてきたロールスロイスV8OHVエンジンと同じ6.75に拡大。その上ロールスロイスらしく、僅か1000rpmでピークトルクの75%を発生する、超低速トルクエンジンにチューニングされている。BMWディンゴルフィン工場において専用ラインで、一日あたり10基程度のペースで丁寧に手組みされるこのエンジンは、60°V12気筒DOHC48バルブでボア・ストローク84.6mm×92.0mmで総排気量6749ccとなっている。圧縮比11.0BMW社ならではの直噴バルブトロニック、吸排気ともに可変機構となるダブルVANOSを装備している。ロールスロイス社はエンジン出力を公表しない主義で顧客からの質問に「sufficient(必要なだけ充分に)」と答えていたが、BMWが製造元となってからは、460馬力/5350rpmの最高出力と73.4kgm/3500rpmの最大トルクを発揮することを、カタログに明記している。組み合わされるトランスミッションはシフト・バイ・ワイヤー式のZF6(ZF6HP32)トルコンATとなる。足回りは、フロントにダブルウィッシュボーン式、リアにマルチリンク式を備え、車高調整機能付きのエアスプリングに電子制御ダンパーを装備する。この電子制御ダンパーは、運転状況と道路状況を1秒間に100回モニターし、時速60マイル(96km/h)では12インチ(30cm)ごとに最適化する機能を持つ。極低速ではフワフワと浮いた様な感覚を伴うが、荒れた路面や首都高の金属ジョイントでは、装着するランフラットタイヤ特有の硬さを感じつつも、しなやかさを維持する。速度上昇に伴い、しっかりとしたダンピングを感じさせる様に変化するが、ロールスロイスらしい上品な乗り心地を、新しい技術でとても良く再現している。ブレーキは前後ベンチレーテッドディスクを備え、ABSを装備する。走行中も「R-R」マークを水平の位置にキープするシンクロナイズド・ホイールセンター付きアルミホイールが備わる。組み合わされるタイヤはランフラット・タイプのグッドイヤーNCT5EMTとなり、フロント255/50R21 106W、リア285/45R21 109Wの量産車としては最大サイズとなる。ランフラットタイヤはパンクして空気が無くても80km/h160kmの走行が可能となっている。雨天時用の専用の傘が内蔵されている、観音開きとなるコーチドアを開けると、ふんだんなソフト・ナチュラル・グレイン・レザーで覆われたインテリアに圧倒される。実に牛16頭分以上が使用され、昔ながらの手仕事でいかなるオーダーにも忠実に応えてくれる。グッドウッド工場では、レザーファクトリー・ウッドファクトリー、各セクション毎にスペースが異なり専門の職人が腕をふるう。大径で細身のステアリングのコラム右側にギア・レバーがあり、正面のコラム上に「P-D-N-R」のインジケーターが備わる。またエンジンブレーキや加速が必要な時用にギアを一段落とす事が出来るボタンがステアリング・センターパット上に装備される。ダッシュボードは磨き込まれたウッドパネルがあしらわれギア・インジケーターの奥、ドライバー正面には260km/hまでのスピードメーターがある。タコメーターは備わらず、代わりにエンジンの余力を示すパワーリザーブ・メーターがスピードメーター左に位置する。ステアリング左下に位置する、直径10cm程のスイッチボードにイグニッションキーを差し込み、中央のボタンがスタート/ストップ・ボタンとなる。装備されるオーディオユニットはLexicon社が開発した超高級なもので420Wアンプと15スピーカーを備える。パルテノングリル上のオーナメント(スピリット・オブ・エクスタシー)は室内のスイッチでグリル内に格納することが出来る。またセンターコンソールを開けるとシートポジション調整用のノブが現れる。充分な広さをもつ足元には、足首まで埋まる程の毛足の長いカーペットが敷き詰められているのもロールスロイスの伝統のひとつ。普通のクルマのアッセンブルに要する一台あたりのマンアワーは2030時間程といわれているが、ロールスロイス・ファントムの場合、およそ10倍の260時間必要となる。それは創設者の一人ヘンリー・ロイスの「あらゆる事を完璧に追求せよ」という言葉をカタチにし実践した結果が作業時間と品質に表れたものと言えるかもしれない。全長×全幅×全高は5835mm×1990mm×1632mm、ホイールベース3570mm、車両重量2600kgとなる。ライバルとなるマイバッハ57(ショートボディ)62(ロングボディ)の中間の大きさとなり、ロールスロイス・ファントムはアルミボディの軽さを活かしてマイバッハ57より135kgも軽量となっている。燃料タンク容量は100。新車時車両価格は4550万円(2007年当時)となっている。メーカー公表性能値は、0100km/h6.1秒、01000m加速25.6秒、最高速度240km/hとなる。ロールスロイス社創業時のシルヴァーゴーストから歴代のファントム各モデルを経て、BMW社傘下になる寸前まで製造されていたシルヴァーセラフに至る全ての新旧ロールスロイスの中でBMW社が作り上げた「ファントム」は最も運転して愉しい「Drivers Car」となっている。年間1000台が製造され、そのうち450台が北米に輸出され、そのオーナーとなる人の9割が、自ら運転するといわれている。ロールスロイス伝統となる高いドライビングポジションは、普通のセダンとレンジローバーの中間くらいのドライバー目線となり、広大なボンネットの左右にはフェンダー風の峰があるので車幅の見切りはとても良い。一度、覚えてしまえば運転操作も奇を衒ったところはなく走り出す事が可能となる。唯一、異なると言えばタコメーターが無い為、エンジン回転数のモニターが出来ないこと。とても滑らかな走りだしで、シフトショックは体感出来ずエンジン音も聞こえて来ない。「静粛性」にも強くこだわったロールスロイス社の思想を感じる事が出来る。かりにそこからグッとアクセルを踏み込むと、パワーリザーブ計の針が急降下すると同時に遠雷の様な低いエキゾーストノートとともに大きなボディをモノともせず猛然と加速出来る。速度感応式のステアリングは極めて正確で、長いノーズを的確にコーナーに沿ってキレイにトレースする事が出来る。全体的にソフトな乗り心地は、路面の段差や荒れたアスファルトのザラつきも吸収し、踏面の硬いランフラットタイヤも計算した上でしっとりとした足回りにチューニングされている。圧倒的な路上での存在感はいついかなる場合においてもロールスロイスらしさを失う事無く、どんな速度域でも最上の乗り心地を提供してくれる。どれだけ長い距離をハイペースで走り続けたとしても、乗員に疲れを感じさせる事は無い。きっと最小の疲労感で最短の時間で目的地に辿り着ける事だろう、それはまさにロールスロイス社の伝統となる「The Best Car in the World」の言葉通り。BMW社のロールスロイスの再現度は、全く非の打ち所がない賞賛に値するものとなっている。