GRヤリス RZパフォーマンス
カッレロバンペレラエディション
100台限定車
︎「GR」とは、トヨタ自動車のモータースポーツ部門「Toyota Gazoo Racing」に由来し「G's」というコンプリートカーブランドを前身として2017年から展開されているブランド名となる。ここで使われる「Gazoo」とは、モリゾウこと豊田章男(現トヨタ会長)が、社長になる前に立ち上げたインターネット上の中古車検索サイトの名称で、画像=Gazoと動物園=Zooを掛け合わせてつくられたものとなっている。この検索サイトと並行してネット上でのコミュニケーションの場としてモリゾウが立ち上げた「GAZOO.com」が存在し、その中のコンテンツの1つが「Gazoo Racing」だった。この当時、トヨタは世界自動車販売台数世界一となる反面、2007年に「MR-S」が生産終了となり自社の販売ラインナップからスポーツモデルが無くなることで、クルマ好きに距離を置かれた存在となっていた。カーガイのモリゾウは自社のマイスター・テスト・ドライバー成瀬弘にドライブを習う為にドイツのニュルブルクリンクへ通いながら、そこでは様々な自動車メーカーの開発車両を目にする中で、自社のテスト車両が1台も無い事に衝撃を受ける。自身、中古の「スープラ」で悔しい思いをかかえ練習走行を続けながら、成瀬の提案で「Gazoo Racing」のチーム名でレースに参戦し、海外のスポーツカーと対等の走行性能を誇るスポーツモデルを造る事を目標のひとつに掲げていた。「GR」のクルマづくりは、世界中の様々なレースに参戦するトヨタがそこで蓄積してきたノウハウを活かして、自社が販売するスポーツモデルをチューンナップしたり、このブランドの為に全く新しいモデルを開発することを中心としている。その内容やコンセプトに合わせて「GRMN」「GR」「GR SPORT」の3つのブランドに分けられている。「GRMN」とは「Gazoo Racing tuned by Meister of Nurburgring」の略で「GR」ブランドの最高峰となり、エンジンからボディ細部まで、極めて高いチューニングが施されているモデルのブランドとなる。「N」をあらわすニュルブルクリンクを拠点として「Gazoo Racing」が企画・開発した車両を、レーシングカーを仕上げる様にこだわって仕立てたモデルを制限された台数で販売するのが「GRMN」。「GR」とは、こだわりのチューニングで走りを追求したブランドで、その代表的なモデルに「GR86」「GRスープラ」「GRカローラ」そして「GRヤリス」が存在する。「86」や「スープラ」の様にこのブランドの為に専用開発されたモデルと「カローラ」「ヤリス」の様に市販モデルをベースとしながら、全く異なるキャラクターに仕上げられたモデルも存在する。それぞれのモデルが「GR」が目指す本格的な走行性能、世界観を表現している「GR」のメインブランドとなる。「GR SPORT」とは「GR」ブランドのエントリークラスとなり、コンパクトカーからSUVまで幅広くラインナップされ、リーズナブルに「GR」が体験できるブランドとなっている。中心となっている「GR」のチューニングのポイントは、疲れにくいシートの採用やリニアなハンドリングの実現、ドライブする楽しさを感じられるインターフェイスを重視した“ドライバーファースト”。次にボディ剛性を高めた上で、しっかりと設計通りに作動する足回りを中心とした“パフォーマンス”。そして機能と美しさを兼ね備えた“デザイン”の3つにテーマに集約されている。︎トヨタは2017年から先代の「ヤリス(=日本では車名はヴィッツ)」を元とする「ヤリスWRC」でのWRCへの挑戦を始めていた。参加初年度は2勝を挙げるにとどまるが、翌年の2018年にはマニュファクチャラーズタイトルを獲得、2019年にはドライバーズタイトルをオィット・タナックが獲得し2冠を達成する。2020年にはセバスチャン・オジェによりドライバーズタイトルを獲得、翌年2021年オジェがドライバーズタイトルを連覇しマニュファクチャラーズタイトルも獲得、念願のダブルタイトルの獲得を達成した。そして2022年WRCのレギュレーション変更が行われ、ハイブリッドシステムが搭載される車両による“ラリー1”規程で競われる事になる。これに照準を合わせて「TGR(Toyota Gazoo Racing)」は「GRヤリス ラリー1」を開発。前年に獲得したタイトルの連覇を目指す。この年のドライバーラインナップは、エルフィン・エバンス、カッレ・ロバンペラを主軸として全戦に出場させるとともに、このシーズン限りとなるセバスチャン・オジェとエサペッカ・ラッピが3台目のシートをシェアする布陣とされた。今回入荷した車両の車名にもある「カッレ・ロバンペラ」は、2020年にチームに加入した若手フィンランド人ドライバーで、当時トップカテゴリーの「WRカー」による初シーズンで、参戦2戦目にして表彰台を獲得する有望なルーキードライバーだった。そして翌年2021年の第7戦ラリーエストニアでは20歳と290日で初優勝を成し遂げ、WRC史上最年少の優勝記録を打ち立て早くも優勝候補として頭角を表す。ハイブリッドシステム搭載による“ラリー1”規程となった初年度の2022年、6勝を挙げたロバンペラはチーム加入2年目にしてタイトルを獲得してしまう。22歳と1日でのWRCドライバーズタイトル獲得は史上最年少記録となり、この年はマニュファクチャラーズタイトルも併せてトヨタが獲得し、ダブルタイトル獲得を連覇という結果を残す。翌年2023年以降もトヨタは「GRヤリス」によりマニュファクチャラーズタイトルを獲得し続け、カッレ・ロバンペラは2023年のドライバーズタイトルも獲得し、2年連続してチャンピオンという偉業を達成する。今世紀初頭のWRCで、プジョーや三菱のワークスドライバーを務めたハリ・ロバンペラを父にもつカッレ・ロバンペラは、6歳の幼少期に既にKP61型「スターレット」をドライブし氷上やオフロードでの走行練習を重ね、8歳の時には自在に車両を操る術を身につけていたといわれている。16歳の時にロバンペラはフィンランドのモータースポーツ協会から国内のラリーへの参戦を特別に許可されると、まわりの期待通り複数回の優勝を果たす活躍をみせる。フィンランドでは18歳にならないと自動車免許の取得が出来ない事になっているが、交通安全局の特別許可によりロバンペラは17歳の誕生日の翌日に免許の取得がかなう。免許を取得したことでWRCへの参戦が可能となったロバンペラは、早速ウェールズ・ラリーGBとラリー・オーストリアに、フォードのセミワークスチームの“Mモータースポーツ”からWRC2カテゴリーにエントリーする。以前はR5クラスとよばれていたWRC2クラスで「フォード・フィエスタR5」をドライブするロバンペラは、ラリー・オーストリアでは、このクラスでは1台のみのエントリーとなった為、完走することでクラス優勝を果たし、総合でも10位に入ったことにより初ポイント1を獲得して記念すべきWRCデビューを飾った。世界的に有名なフィンランド人スポーツ選手に対して敬愛を込めて使われる愛称に「フライング・フィン」という言葉があり、初めてこの愛称が使われたのは1912年のストックホルムオリンピックといわれている。この大会で5000m、10000m、マラソンと3冠を達成したフィンランド人のハンネス・コーレマイネン選手に対して使われた「フライング・フィン」は、1960年以降ラリードライバーに対しても使われるようになった。ラウノ・アルトーネンやティモ・マキネン、ハンヌ・ミッコラ等、その後もフィンランドから多くのトップラリードライバーが輩出されこの愛称で呼ばれている。1980年代後半に4度のドライバーズタイトルを獲得したユハ・カンクネンや、1990年代後半にはドライバーズタイトル4連覇を果たしたトミ・マキネンも同様。彼ら“フライング・フィン”の正統な後継者として存在するのがカッレ・ロバンペラとなり、その栄光を記念したモデルが今回入荷した「GRヤリス RZハイパフォーマンス カッレ・ロバンペラ・エディション」となる。ロバンペラ本人の好みやこだわりを織り込みながらTGRにより造り込まれた「GRヤリス」のスペシャルモデルとなっている。︎2019年10月16日、トヨタのコンパクトカー「ヴィッツ」の後継車となる「ヤリス」は、新たに「TNGA(Toyota New Global Architecture)」というプラットフォームが採用され世界初公開された。これにより劇的に走行性能の向上が図られ、それまでのイメージを一新するために国内では「ヴィッツ」とされていた車名を、世界共通の「ヤリス」に改めての登場となった。この車名でWRCに参戦しているトヨタは、翌年2020年1月に幕張メッセで開催される東京オートサロンに於いて早くもWRCに出場しているラリー車のイメージをもつ「GRヤリス」をデビューさせる。専用となる3ドアボディをもつ「GRヤリス」は、トヨタを率いる自身モータースポーツにも参戦するカーガイのモリゾウによる“モータースポーツで戦えるクルマから市販車を造る”という普通とは逆の発想から開発が始められている。開発陣は当初、FF用1.5ℓターボエンジンと、5ドア・ハッチバックボディにオーバーフェンダーを装備する事から始めるが、本格的なモデルを希望するモリゾウに全否定され大幅な見直しが図られた。クーペモデルの様にルーフ後端へ向かいなだらかに落ちるルーフラインをもち、上下に薄いクォーターガラスをもつボディはコンパクトながらも広げられたトレッドと張り出したフェンダーから、との高い性能が垣間見えた。ドアとエンジンフードはアルミ製となりルーフ部分はカーボンファイバー製となり軽量化にも配慮されたボディとなる。ラインナップ中、上級グレードの「RZハイパフォーマンス」には、272馬力/37.7kgmを発揮するG16E-GTS型とよばれる1.6ℓ・3気筒ターボエンジンとアイシン製6MTからなるパワートレインが搭載され、前後のトルク配分を変えながら伝達出来るアクティブトルクスプリット式4WDシステムで駆動される。このモデルのリアハッチゲート下部にはかつての1990年代にWRCタイトルを獲得した「セリカGT-FOUR」にちなんでマットブラックの「GR-FOUR」のエンブレムが付けられている。軽量化にこだわる「GRヤリス」では、敢えて3気筒ターボエンジンが採用され、レーシングエンジンと同様にハンドクラフトにより組み立てられるこのエンジンは、デリバリーから2000km走行後のオイル交換がマストとされている。大容量インタークーラーにはウォータースプレー機能が備わり、前後のディファレンシャルにはLSDが装備される。MTシフトにはギアチェンジ時にエンジン回転をコンピューターにより同調させシフト操作をアシストする「iMT」機能が装備され、この機能のオン、オフ用の切り替えスイッチがあり、この機能とは別に発進時の半クラッチ時にエンジン回転を高める機能も備えている。ターボエンジンサウンドは、アクティブ・ノイズ・コントロールと呼ばれる機能により増幅された吸気音がスピーカーから流され迫力あるサウンドを響かせる。サスペンションはフロントにマクファーソン・ストラット式、リアはダブルウィッシュボーン式となり、スタビライザーが装備される。ブレーキは前後ともにスリット入りベンチレーテッドディスクが採用され、フロントはブレンボ製対向4ポッドキャリパーの組み合わされ、リアには対向2ポッドキャリパーが装備される。ホイールは4輪ともにBBS製の軽量鍛造アルミホイールが装備され18インチ径×8Jサイズとなり225/40ZR18サイズのタイヤが組み合わされている。インテリアはノーマル・ヤリスと同じダッシュボードが採用されているが「GR」のロゴ入り専用デザインの3スポークステアリングが備わり、合成皮革とウルトラスウェードによるプレミアムスポーツシートを装備。4WDでありながら1280kgと軽量に仕上げられた「GRヤリスRZハイパフォーマンス」は、0→100km/h加速を5.5秒以下でこなし、車両価格456万円で販売された。この「GRヤリス」の開発陣にとってはゴールとなるラインオフ式で、モリゾウは“これからが開発のスタートだ”と指針したと言われている…︎デビューから4年が経過した2024年1月、幕張メッセで行われた東京オートサロンにて大幅に改良を受けた「進化型GRヤリス」が発表された。2020年の販売開始後の世界販売台数は、かつてのグループA時代のWRC参戦車両に課せられる2万5000台を上回る3万台を超え、国内でのスーパー耐久シリーズや、全日本ラリー選手権など様々なモータースポーツへの参戦による車両の熟成が図られ、この「進化型」はまさにその集大成といえるモデルとなる。エクステリアの変更は最小限にとどめられ、その内容は基本的には機能、性能の向上に寄与するものとなっている。フロント回りではグリル開口部が拡大されスチールメッシュがセンターグリルに採用されている。サイドロアグリルの開口面積が広げられ、ボディサイドのアウトレットへの排熱が可能となるバンパー形状へとリニューアルされている。リアのロアーガーニッシュに設けられた開口部からフロア下のエアをスムーズに抜く事で、空気抵抗を下げ操縦安定性を向上させている。ハイマウントストップランプがリアウィングからボディ側に移行したことによりウィング形状の自由度が向上、加えて左右テールランプを結んだデザインとされ、進化モデルとしての差別化が図られている。基本となるモノコックボディのスポット溶接の打点数を約13%、構造用接着剤の塗布部位を約24%増やす事でボディ剛性が高められている。このボディとフロントショックアブソーバーの締結ボルトを従来の1本から3本とする事でアライメント変化を抑制し、応答性と操縦安定性の向上が図られ、搭載されるG16E-GTSは304馬力/40.8kgmまで性能アップされている。このモデルでの注目すべきポイントは「GR-DAT(Direct Automatic Transmission)」とよばれるアイシン製8速ATが新たに設定されたこと。これは“より多くの人に走る楽しさを提供し、モータースポーツの裾野を広げたい”というモリゾウの想いが込められたものとなる。多段化されたクロスレシオのATは、変速用クラッチに高耐熱摩耗材を採用しAT制御ソフトの改良により、世界トップレベルの変速スピードが実現されMTと同等に戦えるATとされている。パフォーマンスアップが図られたパワートレインはじめ、インテリアまで「GR」らしくドライバーファーストの目線から必要に迫られた改良が数多く施され、あくまでもこの時点での集大成として、今後もモータースポーツへの取り組みを続けながらの進化は続けられるといわれている。進化型「GRヤリスRZハイパフォーマンス」は、通常の市販モデルとして考えるとフルモデルチェンジに近い改良が加えられ498万円で販売された。そして今回入荷した「GRヤリス RZパフォーマンス カッレ ロバンペラ・エディション」は、この進化型の「GRヤリスRZハイパフォーマンス」をベースとして2024年3月に発表されたスペシャルモデルとなる。同時に2020年と2021年にWRCドライバーズタイトルを獲得した「GRヤリス RSパフォーマンス セバスチャン オジェエディション」も発表され、それぞれ抽選販売により100台ずつが販売されている。マットステルスグレーに塗装されたボディをもつ「セバスチャン オジェ・エディション」に対して「カッレ ロバンペラ・エディション」は、自身の競技用ゼッケンナンバー「69」とホワイト×レッド×ブラックのグラフィックをあしらったボディに、可変ウィングを配したカーボンファイバー製ラリースポイラーが装備される。3色からなるボディカラーは、ロバンペラ選手の友人デザイナーによるもので、カッティングシートではなくマスキング塗装により塗り分けられたボディとなっている。︎「GRヤリス RSパフォーマンス カッレ ロバンペラ・エディション」に搭載されるエンジンは水冷直列3気筒DOHC12バルブ・ターボで、ボア×ストローク87.5mm×89.7mmから1618ccの排気量を得る。G16E-GTS型とよばれるこのエンジンは、トヨタ山下工場にて匠とよばれる高技能者によりセル生産方式で手組みされる、高精度なスペシャルエンジンとなる。レーシングエンジンの様にピストン、コンロッドの重量バランスを高精度で合わせ、高回転、高出力を狙った量産車離れしたエンジン。圧縮比は10.5で、過給圧1.51をもつIHI製シングルスクロールターボを装備し、最高出力304馬力/6500rpmと最大トルク40.8kgm/3250〜4600rpmを発揮する。吸気側・排気側ともに可変バルブタイミング機構(VVT)が装備され、4気筒に対して不利な振動対策として1次バランサーが備わる。軽量コンパクトに仕立てられたエンジンは、中低速トルクの豊かさとハイパワーを両立し、高いレスポンスを発揮する。組み合わされる6MTはアイシン製、4WDのフロント、リアのディファレンシャルはLSD機能をもつトルセンType-B、4WDとして前後の駆動力を連続可変出来るITCC(Intelligent Torque Controlled Coupling)とよばれる電子制御多板クラッチを採用、これらは全てジェイテクト製となっている。前後駆動配分は「NORMAL」モードでは初代「GRヤリス」と変わらず60:40が維持されているが「TRACK」モードは、従来の50:50から60:40〜30:70の可変式となった。従来の「SPORT」モードに代わり前後53:47となる「GRAVEL」モードが加えられた3つのモードから選択出来るモードセレクトスイッチをもつ。これに対して「カッレ ロバンペラエディション」では組み合わされるアイシン製6MTには変更無く、専用にリアディファレンシャルに等速ディファレンシャルを装備し、そのデフを最大限活かす為のセッティングが施されている。通常「GLAVEL」「TRACK」と置き換えるカタチで専用制御となる、前後30:70の「KALLE」モードと、ドリフト走行やドーナツターンが得意なロバンペラ選手のキャラクターをイメージした前後50:50の「DONUT」モードを設定、それに前後60:40の「NOMAL」モードが採用されている。足回りはフロントにマクファーソン・ストラット式、リアはダブルウィッシュボーン式となるのは従来と変わらないが、操舵感が引き締まり、サスペンションの微小ストローク域での反応がしなやかに感じられる様になっている。これは基本となるモノコックボディの剛性が高められたことによる。ブレーキは前後ともにスリット入りベンチレーテッドディスクが採用され、フロントは355mm径×28mmの2ピースとされブレンボ製対向4ポッドキャリパーの組み合わされている。リアは297mm径×18mmサイズとなり、対向2ポッドキャリパーが組み合わされる。ホイールは4輪ともにBBS製のメタルスターブラック塗装の軽量鍛造アルミホイールが装備され、リム部分にはTRGのロゴが入れられている。18インチ径×8Jサイズとなり225/40ZR18サイズのミシュランパイロットスポーツ4Sタイヤが組み合わされている。︎インテリアはベースモデルの「ヤリス」とは大きく異なりモータースポーツに参戦している「GRヤリス」をモチーフとして操作パネルと専用ディスプレイをドライバー側に15°傾けて設置している。メーター類は従来のアナログ式から12.3インチのフルカラーTFTに変更されている。ドライバーズシートが25mm下げられ、ステアリングポジションもそれに合わせて変更、インナーミラーはフロントガラス上部に移動され、センタークラスターの上端は50mm低くなり、前方の視界が拡大されている。シフトノブの前方、ドライバー寄りの円形のスイッチが前後駆動トルク配分を変更出来るダイヤルで、その左側にはクリック式のドライブモード切り替えスイッチがレイアウトされている。パワステ、エアコン、パワートレインが連携するドライブモードの設定には「カスタム」「スポーツ」「ノーマル」「エコ」に加えGPSにより特定の場所のみでアクティブとなる「サーキット」モードが存在する。モードを変更することでステアリングやスロットルの応答性が変化し「サーキット」モードでは、アンチラグ制御やスピードリミッターの上限速度が引き上げられるなどの設定が盛り込まれている。そのモード切り替えスイッチの上方にマニュアルシフトをアシストする「iMT」のプッシュ式スイッチが置かれている。リア・トランク下には、バッテリーとインタークーラー用ウォータースプレーのタンクが搭載されている。今回入荷した「GRヤリス RSパフォーマンス カッレ ロバンペラ・エディション」では、フロントウィンドウに「モリゾウ」のサインが施され、ステアリングホイール/シフトブーツ/パーキングブレーキカバー/シートには、フィンランド国旗をイメージさせるブルー×グレーの専用色ステッチが採用されている。また助手席前方にはWRC優勝記念バッジとシリアルナンバーが刻まれた記念プレートが装備されている。︎全長×全幅×全高は3995mm×1805mm×1455mm、ホイールベースは2560mm、トレッド前1535mm、後1565mm、車両重量は1280kg、新車時価格498万円となる。燃料タンク容量は50ℓ、最小回転半径は5.3mとなっている。今回入荷した「GRヤリス RSパフォーマンス カッレ ロバンペラ・エディション」は、2024年3月に新車販売価格845万円で100台が抽選により販売されたスペシャルモデルとなる。︎メーカー公表性能値は0→100km/h加速5.5秒以下となっている。全長4m以下の現代の車両としては、極めてコンパクトなハッチバックボディとなるが、その派手なカラーリングが施されたボディからは、ただならぬオーラが感じられる。その引き締まったデザインの軽量ホイールや、カーボン製のリアウィングは「ポルシェ911カレラGT3」等と同様に、いかにも走りそうなイメージが乗り込む前から広がる。アルミ製のドアを開き低めのシートに腰を下ろすと、ドライバー側に緩やかにアールのつけられたダッシュパネルごしに前方の視界はとても開けて見える。少し重めの感じられるクラッチを踏んで、ダッシュボードにあるエンジンスタートスイッチを押し込むと、軽い振動により3気筒エンジンが始動する。シフトレバーを操作して1速を選択してクラッチをエンゲージすると、充分な低速トルクによりそれほど気を使わされるスタートとはならずに、低速では硬めの乗り心地と低音で響く排気音の方が気になる。速度を上げて行くと硬い足回り以上にしっかりとした剛性を感じさせるボディと、迫力ある加速を繰り出すエンジンから、とてもコンパクトなハッチバックボディに乗っているとは思えない体感スピードが味わえる。小気味良く弾かれるように加速し、野太く勇ましいサウンドを放つマフラーからのサウンドはWRCのイメージ通りとなる。その加速の中にもしっかりとしたシフトのフィールやステアリングのインフォメーション、全くロスを感じさせないパワートレインによるトラクション、全てが本物のスーパースポーツがもつ味わいと遜色無いものとなる。低速域では硬めに感じられた足回りもスピード領域が高まるとともに、安定性の高い乗り心地へと変化し落ち着きを見せ熟成を感じさせる。パワーに見合った制動力を発揮するブレーキのフィールも剛性感にあふれ、充分な信頼性を感じさせる。かつてのハッチバックベースのホモロゲモデルを知る世代には格段の進化に驚かされることだろう。しかしそこに経過した時間による進化したマテリアルや開発技術を考えれば充分納得出来る。少しずつ走らせる事に慣れてくるとコンパクトなボディと併せて、自分の意思に忠実に動かせるのがとても楽しく感じられる。古くは「ルノー5ターボ」や「プジョー205」「ランチア・デルタ・インテグラーレ」の時代を彷彿させるホット・ハッチ・モデルによる高性能ホモロゲ・モデルに通じるドライブ感覚、それがここにより高い精度で再現されている。地球環境への配慮が叫ばれる時代に、最新の技術により開発された「GRヤリス」のパワートレインは、純エンジンにマニュアルトランスミッションの組み合わせとされているのをクルマ好きは見逃してはならない。モリゾウの想いがどれだけのものか伺える、現代のトヨタならではのモデルとなる。自動車は便利なモノである以上に楽しいモノでなくてはならない、とくにクルマ好きはそう思うはず。その最右翼にあった「ランエボ」や「インプレッサ」が生産され、人気を得ていた時代を思い出さずにはいられない。生産するメーカー側のハッキリとした熱が感じられる、貴重な国産モデルとなっている…