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246GT
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
246GT
ボディタイプ
外装色
ロッソ
年式
1972 年型
走行距離
不明
乗車定員
2 名
サイズ
長 430 cm 幅 175 cm 高 113 cm
エンジン形式
排気量
2418 cc
馬力
195
トルク
23.0
車検
令和6年5月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
中古並行輸入
内装色
タン
燃料区分
ガソリン
幌色

フェラーリの製造したエンジンの中でも、後に名機とよばれる事になる「ディーノV6」ユニットの基本コンセプトを発案したのは、エンツォ・フェラーリの長男で、1956年に世を去ったアルフレード・フェラーリ(ディーノ)と、1920年代からモータースポーツ界きっての最高の技術者として知られるヴィットリオ・ヤーノであるというのが定説となっている。1955年、アルベルト・アスカリの事故死をきっかけに解散を余儀なくされたランチア・ワークスチームは、革新的なフォーミュラー・マシン「D50」を含むチーム体制そのもの全てを、フェラーリに委ねランチアのテクニカル・マネージャーだったヴィットリオ・ヤーノも、アルファロメオ 時代からの旧知の仲だったエンツォと再び一緒に仕事をする事となった。一方、父であるエンツォと同じくエンジニアとして歩み始めたディーノは、モデナの工業高校を卒業後、ボローニャの大学で自動車工学を専攻し、フェラーリの一員となっていた。しかしこの頃、彼の身体を蝕んでいた病(正式な病名は未公表で、筋ジストロフィーや白血病といわれている)が、深刻さを増していた。幼少の頃よりディーノと面識があったヤーノは、その状況に心を痛めながらもディーノの病床に赴き、一緒にV6エンジンの構想を練るとともに開発に尽力した。ディーノの死後、完成した2.5V6エンジンはFR時代最強のフォーミュラー用エンジンとなり、このエンジンを搭載した「ディーノ246F1」は、1958年にはマイク・ホーソーンに英国人初のワールドタイトルをもたらす迄に至った。その後も、フェラーリ初のミッドシップ・フォーミュラー「156F1」に搭載されるとフィル・ヒルと共に再び世界チャンピオンを獲得する。また黎明期のミッドシップ・レーシングスポーツ「196SP」や「286SP」、フォルギエーリ時代以降に造られた「166」や「206SP」などにも搭載され、歴史にその名を刻んだエンジンとなる。しかし60年代後半、ディーノ・ユニットに転機が訪れる。1966年にFIAは連続する12ヶ月間に500基以上の生産を要求する新たなホモロゲーションを発表。フェラーリはフィアットと提携して2の「ディーノV6ユニット」をフィアットの工場で量産するというプロジェクトでこれに対応してみせた。これにあわせて、このエンジンを搭載するスポーツモデルの製作を決定するとロードモデル「ディーノ206GT」として結実する。フィアット側では同じくロードモデルとして「ディーノ・クーペ」と「ディーノ・スパイダー」の生産が始まった。「ディーノ206GT」に搭載されるフィアット製V6エンジンは、レーシングモデルの「206SP」などと基本的には共用となるティーポ135B型となる。「206SP」用ではルーカス製燃料噴射装置が組み合わされ220馬力を発揮したが、ロードモデルの「206GT」へ搭載するにあたり、燃料噴射装置はウェーバー・キャブレターに換装され最高出力180馬力となり、ロードユースへの対応が図られた。また、このモデルのシャーシは、60年代始めから作製されてきたミドシップ・レーシングモデルのノウハウが活かされた上で、ロードモデルとしての利便性を損なわない様に考慮され、エンジンは横置きに搭載される事で、短めのホイールベースを実現した。ボディデザインはカロッツェリア・ピニンファリーナに、製作はスカリエッティに任されアルミ製とされた。このデザインは1965年パリサロンで発表されたピニンファリーナのデザイナー、アルド・ブロヴァローネによるスタディモデル「ディーノ・ベルリネッタ・スペチアーレ」を起源としていた。当時チーフ・デザイナーとなったばかりのブロヴァローネの手掛けたスタディモデルをベースに、若き日のレオナルド・フィオラバンティが3年の歳月をかけ3度の手直しを行い、ようやく市販モデル発表に漕ぎつけた。196710月からスカリエッティで製作された「ディーノ206GT」は、プロトタイプを含めて150台とされ「フィアット・ディーノ・クーペ/スパイダー」と合わせて無事にFIAのホモロゲーション取得を果たす。「ディーノ206GT」は、その本来の目的を果たすとともに、類い稀なるボディデザインの美しさと、素晴らしいハンドリング性能で当時のフェラーリの傑作とよばれるようになった。フェラーリにとっては、初の量産ミドシップ・モデルとなる「ディーノ206GT」は、プロトタイプ的な意味合いも強かった事から、本格的なプロダクションモデルとして、ほぼそのデザインをキープしたまま「ディーノ246GT」へとモデルチェンジが行われ、1969年ジュネーブショーで発表された。この年からフィアット傘下となったフェラーリは、フィアットの要求する生産性の向上と耐久性アップを狙って、ボディはスチール製となりエンジンは2.4化が図られた。合わせて「ディーノ206GT」と同じクロモリ鋼管フレームを用いながらホイールベースを60mm延長し、卓越した素晴らしいハンドリングは「ディーノ246GT」にも継承されている。「ディーノ246GT」に搭載されるエンジンは、フェラーリ製V12気筒エンジンの設計にも携わったアウレリオ・ランプレディにより再設計された、ティーポ135CS型とよばれる65°V6気筒DOHC12バルブエンジンとなる。ボア×ストローク、92.5mm×60mmから2418ccの排気量を得る。ダウンドラフトのツインチョークウェバー40DCNF型のキャブレターを3基備え、9.0の圧縮比から最高出力195馬力/7600rpm、最大トルク23.0kgm/5500rpmを発揮する。アルミブロック製だった「206GT」用・2エンジンから、鋳鉄ブロック化されたこのエンジンは、乾燥重量134kgとなりアルミ製に対して僅か4kg重くなっただけにとどまる。組み合わされるトランスミッションは自社製5MTとなり、ロッキングファクター40%の機械式LSDが装備されている。足回りは前後とも、ダブルウィッシュボーン式となり、コイルスプリングとスタビライザーを装備、KONI製ショックアブソーバーを備える。ブレーキは4輪ベンチレーテッドディスクを装備し、Ate製ブレーキキャリパーが組み合わされている。ホイールは、前後クロモドラ製6.5J×14インチサイズの軽合金ホイールに、205/70VR14サイズのミシュランXWXが装着される。インテリアは、車両の大きさを考えれば広く感じられるもで、ミッドシップモデルとしては斜め後方を含め、全方位に開けたルーミーな視界を得られるものとなっている。モモ製3スポークのレザー巻きステアリングを通して見えるメータークラスターには、Veglia製メーターが大小8個並び、やや上向きとなるステアリングホイールの角度は「フェラーリ」ならではと言えるかもしれない。「ディーノ246GT」は1970年からのティーポMとよばれる中期モデルから、空調コントロールレバーはダッシュボードに移設され、グローブボックスが短くなっている。また1971年からのティーポEとよばれる後期型からはオプションでエアコンが選択出来るようになり、今回入荷した車両は1972年型で後期型のティーポE型となる為、エアコンが装備されている。このティーポE型の途中からオープンタイプのワイパーは、タンデム式に変更されている。フェラーリの各モデルと共通のゲートを切られた5MTのシフトレバーがフロアコンソールに備わり、その横にはシガー・ライターと手前には灰皿、パワーウィンドウスイッチ、そして後方にはサイドブレーキレバーが備わる。ティーポM以降、ヘッドレストが装備されるシートは、バックレスト一体式が採用されリクライニングは効かないタイプとなる。ペダル類が近く、ステアリングがやや遠くなる古典的なイタリアンスタイルのドライビングポジションとなっている。全長×全幅×全高は4235mm×1700mm×1135mm、ホイールベースは2340mm、トレッド前1425mm、後1430mm、車両重量1080kg(乾燥重量となり実質1200kgといわれている)。燃料タンク容量70。新車時ディーラー価格900万円(1973年・西武自動車)。生産台数は「ディーノ246GT」は2487台、タルガ・トップモデルの「246GTS」は1274台となっている。メーカー公表性能値は0400m加速15.4秒、最高速度235km/h。カーグラフィック誌による実測データは、海外契約レポーターでモータージャーナリストのポール・フレールによる海外でのテストデータが掲載され、0100km/h加速7.1秒、0400m加速14.8秒、01000m加速27.0秒、最高速度233km/hとなっている。「フェラーリ」のエンブレムを付けていなくても「ディーノ246GT」の低く蹲った佇まいを遠目に見ると、それは紛れもなく往年の「フェラーリ」そのものの美しいベルリネッタであると感じられる。近づいていくとフロントノーズには「275GTB」の面影をもち、リア・クォーターからフェンダーのラインに「250LM」を想起させるものとなっている。ウェストライン上のメッキの施された小さなドアノブでドアを開き、シートに腰を降ろすとフロントウィンドウ越しに左右の盛り上がったフロントフェンダーが目線の高さにに入る。全方向に視界は開け、特にリアクォーターの窓の切れ方はミッドシップモデルとしては異例とも言える程、良好となり優れたデザインと機能性を実感する事が出来る。キーを捻りエンジンを始動させると、グラスファイバー製のフロアやリア・バルクヘッドを通してエキゾーストノートと同じくらいの音量でチェーンドライブのエンジン音がキャビンに鳴り響く。丸いシフトノブで左手前となる1速を選んでクラッチをゆっくりとエンゲージして走らせ始める。思ったより簡単に動き出す事が出来るが、ギアシフトには少しクセがあり、特に走りはじめの時には2速ギアには入りにくく、ギアオイルを温める事が必要とされる。そんな時は、2速を飛ばして3速を選びエンジンとギアオイルの温まるのを待つ。こんな操作が必要となるのも他の「フェラーリ」モデルと全く同じで「フェラーリ」が作ったモデルと感じさせるところとなる。回転数を上げ始めると、エンジン透過音までチューニングされている事がわかる「ディーノ246GT」の心地良いサウンドは人間の耳につく低音域を抑え気味にして中高音域を抽出して柔らかく聞かせるもので、その音質はミュージックとよばれるものとなる。「ディーノV6エンジン」の特性は低回転からとてもフレキシブルで、中速域からのレスポンスと高回転時の伸びをもち、そのサウンドとあわせて、まさに”名機“とよばれるエンジンとなる。タウンスピードを含めて、低速から高速まで快適な乗り心地は、乗員が重心付近に座っているというポジショニングのせいでもあるが、スピードを増すにつれ、より良くなる傾向を持っている。全体的にローギアードな5段ギアボックスは長めのシフトレバーと「フェラーリ」ならではのシフトゲートをも為、シフトレバーの動きは大きく、素早いチェンジにも慣れが必要となる。加速では同時代の「ポルシェ・カレラ」に一歩譲っても、エンジン回転が4500rpmから上にいくにしたがいマフラーとエンジンのサウンドがシンクロし始めると、回転の上げ足を速め素晴らしいサウンドを奏でる。これは「ディーノ246GT」でなければ体験出来ないものと評価も高く、多くのファンをもつ。またドライバーの視界に入る、左右のフロントフェンダーはコーナーリング時にクルマを理想的なラインに乗せるのに絶好なガイドとなる。ステアリング・ホイールに添えた手を僅かに動かすだけでノーズは素直に反応を示し、そのまま保舵力が重くなることも無く、思い通りにコーナーをクリアしていける。この軽快感は他の「フェラーリ」ロードモデルではなかなか得られないものといえるかもしれない。2速あるいは3速のフルパワーをかけてコーナーリングしても、前後タイヤは絶妙にバランスし、純粋にニュートラルステアを保とうとする。このハンドリング特性は、極めて高次元のものとなり自信を持ってワインディングを堪能する事を可能とする。ミッドシップ黎明期にこれだけバランスの取れた挙動に仕上げていた事に、驚きと感動を覚える瞬間となる。その秀逸なボディサイズと、時代を代表する素晴らしいボディデザインを目の当たりにすると、これまでの自動車技術の進化に改めて疑問を感じるかもしれない。スポーツカーに必要なのはドライバーの思いに忠実に反応してくれるエンジンとハンドリング。その上「ディーノ246GT」は魅力的なボディデザインとエンジンサウンドが備わっている。どんなスピード域で走らせてもドライブする喜びを実感することが出来る、こんな「クラッシック・フェラーリ」は、他には存在しない。