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ヴァンテージ AMR ヒーローED
2000
万円
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
ヴァンテージ AMR ヒーローED
ボディタイプ
外装色
オニキスブラック
年式
2020 年型
走行距離
3.400km
乗車定員
2 名
サイズ
長 446 cm 幅 195 cm 高 127 cm
エンジン形式
AMG177950
排気量
3982 cc
馬力
510
トルク
63.7
車検
令和7年11月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

世界限定200台、( 内 ヒーローエディションは141台、ヴァンテージ 59は59台)[標準装備]軽量鍛造ホイール、カラーブレーキキャリパー、カーボンセラミックブレーキ、カーボンエクステリアボディパック、カーボンリアディフューザー、スモールテールランプ、マットブラックフロントグリル メッシュ、カーボンボンネットベント、マットブラックウィンドーサラウンド、コンテンポラリーカーペット、ブートカーペット室内同色仕様、インテリアジュエリーパック、ダーククローム&カーボン、アルミニウムトレッドプレート、レザーヘッドライニング

イギリスのスポーツカーメーカーの名門アストンマーティン、その生産車の全てが高性能なラインナップの中にあって、ひときわ高性能なモデルに与えられてきた名称が「ヴァンテージ」となる。「有利、優勢、優越」と訳されるこのワードは、V8気筒エンジン搭載モデルに限れば1977年の「V8ヴァンテージ」に始まる。1993年の「ヴィラージュ」に搭載された5.3ℓ・V8エンジンにツイン・スーパーチャージャーを装備した高性能モデル「ヴァンテージ(スーパーチャージド)」がそれに続く。そしてアストンマーティンのラインナップに、20053月のジュネーブショーで新たに追加された“ベイビーアストン”に車名として名付けられた「ヴァンテージ」。ここで登場した3世代目となる「V8ヴァンテージ」により、アストンマーティンの伝統的GTを「DB」シリーズに、スポーツモデルを「ヴァンテージ」にと明確な色分けがされた様にも見える。この「V8ヴァンテージ」の登場にあたっては2000年からアストンマーティンCEOとなったウルリッヒ・ベッツの存在が大きく関与する。かつてポルシェに在籍し「964カレラ」を開発、その後BMWに移籍し「Z1」を作り上げ、再びポルシェに戻り「993カレラ」を開発に携わった経歴をもつベッツ。その「911」を知り尽くしたベッツが自ら「911のライバルとなるアストンマーティンを造る」と公言して開発されたのが「V8ヴァンテージ」だった。アルミ製VHプラットフォームとよばれるフレームによりコンパクトで軽量、それでいてどこから見てもアストンマーティンに見えるボディを持つ「V8ヴァンテージ」は、当初4.3ℓの同じフォード傘下となるジャガー製「AJ-V8」をベースに、380馬力を発揮するエンジンを搭載し、ライバル「ポルシェ911」に迫る性能を発揮する。2008年のマイナーチェンジにより、各部ブラッシュアップが図られ、426馬力を発揮する4.7ℓエンジンに換装され更なる性能アップが施された。「V8ヴァンテージ」は、登場直後からその素性を活かして造られたレーシング・モデル「ヴァンテージGTE」により「ニュルブルクリンク24時間レース」をはじめとして数々のGTレースに参戦、多くの勝利を重ねてきた。またそのノウハウを活かしたモデルとして“N”の文字の付いたエヴォリューション・モデルに代表されるスペシャルモデルも市販された。そのレース活動や、スペシャルモデル開発に携わってきたのは、2004年に結成されたアストンマーティン・レーシング(AMR)となり、2016年にはFIA WEC GT ドライバーズ選手権のタイトルを獲得したのをはじめ「ル・マン24時間耐久レース」でのクラス優勝も獲得してきた。2014年、ウルリヒッヒ・ベッツの後を継いでアストンマーティンCEOとなったアンディ・パーマー(ローバー・グループから日産に移り、日本人と結婚して一時はカルロス・ゴーンに次ぐポジションを務めたが、退社後アストンマーティンに移籍した人物)は、20173月のジュネーブ・ショーで、このアストンマーティン・レーシングを、同社のサブブランド「AMR」としてスタートさせる事を発表する。これはメルセデスベンツにおける「AMG」やBMWにおける「M」と同様、特定要素に特化したブランドとなっている。このショーで同時に発表された「ラピードAMR」と「ヴァンテージAMR Pro」はパワーアップされたエンジンが搭載され、カーボンやアルカンターラ等の軽量パーツが多数組み込まれるとともに、ライムグリーンの印象的なアクセントカラーを随所に施されたモデルとして限定販売された。「AMR」の開発拠点及びブランドセンターは、ニュルブルクリンク北コースの3kmに及ぶ直線“ドッティンガーホーエ”と並走する国道258号の外側、自動車メーカー関連企業が並ぶ工業地帯の一画に存在するといわれている。アストンマーティンは、20171121日に4世代目となる新たな「ヴァンテージ」を、日本を含む6カ国同時公開した。2005年のデビューから12年間にわたり、愛され続けた先代となる「V8ヴァンテージ」は、アストンマーティンとしては身近にも感じられる価格設定と、取り回しやすいコンパクトなサイズ、高い運動性能によりベストセラーとなった。新型「ヴァンテージ」は、そのサイズ感を引き継ぎ、更に明確にスポーツ性能を前面に押し出して、20183月のジュネーブショーで正式デビューを果たした。ボディデザインは同社副社長で、デザイン部門トップでもある同社のマレック・ライヒマンによるもの。新たなる「ヴァンテージ」は、繊細なディテールが用いられ、美しいシルエットを見せるそれまでのアストンマーティンに比べると、しなやかな筋肉をもつ肉食動物をイメージさせる、高い攻撃性を含んだアグレッシブなデザインが採用されている。それは2015年公開の映画「007スペクター」に、ボンドカーとして登場するスペシャルモデル「DB10」との強い近似性をもつデザインとなる。コンパクトなボディサイズの中でホイールベースとトレッドは伸ばされながらも、車両重量は約100kg近く軽量化されハンドリングに磨きがかけられている。基本骨格は先代同様、アルミ材を用いて新世代のボンデッドストラクチャーに進化させたもので、剛性の確保やバランスの最適化の為に全体の70%が専用設計となっている。エンジンは、ひと足先に同社の「DB11」にも採用されたAMG4ℓ・V8エンジンとなり、フロント・ミッドシップ方式により低く搭載している。このエンジンは、2013年に交わされたアストンマーティンとダイムラーベンツの技術提携による初の成果物となり「メルセデスAMG GT S」に搭載されるM178型エンジンと基本的に同じもので、ドイツ・アファルターバッハで生産される。組み合わされるトランスミッションはZF8速のトルコンATとなり、トランスアクスル方式でリアに搭載され49:51という、ほぼ理想的な前後重量配分を実現している。更に走行性能を高める為、アストンマーティン初となる電子制御式リアデフが採用されている。オープン状態から100%ロック状態迄を、瞬時にシームレスに行うことが出来、トルクベクタリングやスタビリティコントロール機能をはじめとする電子デバイス系と併せて統合制御される。先代「ヴァンテージ」もこのクラスのモデルとして高い運動性能を持っていたが、この新型「ヴァンテージ」では、そのスポーツ性能を特に強化し、明確にスポーツカー寄りに仕上げられている。アストンマーティンのダイナミクス性能を司る車両特性部門のチーフ・エンジニアであるマット・ベッカー(ロータス古参のメンバーで、ヴィークル・ダイナミクスのスペシャリストでもあるロジャー・ベッカーを父にもつ人物。初代ロータス・ヨーロッパ・スペシャル以降、初代エリーゼを経てエヴォーラ迄、ヴィークル・ダイナミクスを担当した父の引退後、その役を引き継ぐが、アストンマーティンに移籍する)は「先代ヴァンテージの中で、最も素晴らしいハンドリングをもっていると高く評価されたスペシャルモデル“GT8”に比べても勝る」と、自信の程をうかがわせたモデルとなっている。
今回入荷した車両は「ヴァンテージ」のキャラクターと個性に更に磨きをかけ、20195月に発表された「ヴァンテージAMR」となる。限定200台というカタチで販売されたこのモデルは59台の「ヴァンテージAMR59エディション」と、141台の「ヴァンテージAMRヒーローエディション」に分けられ生産された。「59エディション」は、1959年に「ル・マン24時間耐久レース」に於いて1-2フィニッシュを達成した「DBR1」の60周年を記念し、スターリンググリーンとライムカラーでエクステリアを仕上げられたモデルとなる。そして「ヒーローエディション」は、5色のエクステリアカラーが設定され、好みのカラーが選択出来るモデルとなっている。販売とほぼ同時に即完売となった、特別なエクステリア/インテリアをもつ限定モデル200台の後「ヴァンテージAMR」として2020年にはカタログモデルとして生産が継続された。限定モデル/量産モデルともに「ヴァンテージAMR」は共通のメカニズムをもつ。「AMR」モデルであるだけに95kgの軽量化が図られるとともに、その最大の要因ともいえる軽量7速マニュアルトランスミッションを装備する事を特徴とし、カーボンパーツが多用されるとともにカーボンセラミックブレーキ・システムが組み込まれ、理想的な前後重量配分50:50を実現している。ベース・モデルの特徴ともなっていた電子制御式リアデフは、シンプルな機械式LSDとされた事により、更にダイレクトな走行感覚と強い一体感が得られる方向にチューニングが施されている。その入念なチューニングは車両特性部門のチーフ・エンジニアであるマット・ベッカーを中心に進められた。「ヴァンテージAMRヒーローエディション」に搭載されるエンジンは、水冷90°V8気筒DOHC直噴ツインターボとなりボア×ストローク83mm×92mmから3982ccの排気量を得る。90°のバンク角で配置されたシリンダーの谷間に、2つのターボチャージャーをレイアウトする「ホットインサイドV」方式を採用し、コンパクトでありながらターボへの吸気経路を最適化することで優れたレスポンスを実現。AMG製車両にはドライサンプ方式が採用されるこのエンジンは「ヴァンテージ」に搭載するにあたりウェットサンプ化され、そのサウンドも含めアストンマーティンによりチューニングされたものとなっている。エンジンの最終仕上げはアストンマーティンで行われ、担当したメカニックのネームプレートがエンジンに付けられる。10.5の圧縮比をもち、最高出力510馬力/6000rpm、最大トルク63.7kgm/20005000rpm(最高出力は、8ATのベースモデルと同じ数値となるが、最大トルク値は68.8kgmを発生するベースモデルに比べ、デチューンされている。これは軽量設計のギア・ボックス保護の意味も含まれる)を発揮する。そしてこのエンジンの最高許容回転数は、ベースモデルが6300rpm迄なのに対して、7000rpmに引き上げられている。組み合わされるトランスミッションは、イタリアのグラツィアーノ社製7速マニュアルトランスミッションとなり、トランスアクスル方式でリアに搭載される。またベースモデルでは電子制御式リアデフが採用されるが、この「AMR」モデルでは加速側38%、減速側40%のロック率を持つ、オーソドックスな機械式のLSDが装備され、よりダイレクトな走行感覚が得られる様にチューニングが施されている。
足回りはフロント・ダブルウィッシュボーン式+コイルスプリング、リア・マルチリンク式+コイルスプリングとなる。電子制御式ショックアブソーバーが採用され、3つのモードからダンピング特性が選択可能となる。ブレーキはフロント410mm径、リア360mm径のベンチレーテッド・カーボンセラミック・ディスクが装備され、それぞれ6ポッド、4ポッドのアルミキャリパーと組み合わされる。200台限定の「AMR」モデルには、前後ともに20インチの専用デザインとなる、軽量鍛造ホイールが装備され、フロント・255/40ZR20、リア・295/35ZR20サイズのタイヤが組み合わされている。複数の素材による黒をベースとするインテリアには、鮮やかなライムグリーンのアクセントが用いられることで「AMR」モデルらしさが表現されている。ダッシュボードはアルカンターラ張りとされ、専用のバックスキンとレザーのコンビによるステアリングを通して、正面には8インチ液晶スクリーンを配置する3眼式とされるのはベースモデルと同様となる。センターコンソールのデザインはMTシフトレバーが置かれる事で、ATモデルとはイメージが異なる。MTのシフトパターンは左手前に1速がレイアウトされるレーシングパターンとされ、それを英国流では“ドッグレッグ”パターンとよぶ。26速で形成されるダブルHパターンから、1速だけが左側手前にクランクして飛び出している形状を、犬の曲がった後ろ足に例えた表現とされている。MTは、それなりのストローク量を必要とするが、確実なフィールによるシフトチェンジが可能となる。また、この7MTには「AM SIFT」とよばれる機能が採用されている。クラッチ、シフトポジション、カーボン製プロペラシャフトのセンサーにより、シフトアップ・ダウン時に自動的にエンジン回転数を合わせることでスムーズなチェンジを可能とするシステムで、ドライバーが選択可能なシステムとなっている。シフトノブの奥にはエンジンのスタート&ストップ・ボタンが配置され、手前にはアイドリング・ストップを含む、インフォテイメントシステム等を司るスイッチ類が整然とレイアウトされる。電動調整式となるハイバックタイプのシートは、アルカンターラとレザーで仕立てられ、そのシートバックやセンターコンソール上、スカッフプレート上には「AMR」のロゴが配置されている。ドライブモードは「スポーツ」「スポーツ+」「トラック(サーキット)」と、3つのモードが用意され、それぞれのモードに於いてエンジン・レスポンス、足回り、ステアリングの重さが調整されている。シート背後には小物が置ける棚があり、ハッチを備えるラゲッジスペースの容量は350ℓとなっている。全長×全幅×全高は4465mm×1942mm×1274mm、ホイールベースは2704mm、トレッドは前後ともに1605mm、車両重量は1499kgとなっている。「ヴァンテージAMRヒーローエディション」の新車時価格は25045370(8ATのベースモデルの価格は21384000)で、燃料タンク容量は74ℓとなる。メーカー公表性能値は、0100km/h加速4.0秒、最高速度314km/hとなっている(8ATのベースモデルはそれぞれ3.6秒と314km/hとなる)今回入荷した「ヴァンテージAMRヒーローエディション」は、オニキス・ブラックのボディを持つ為、カーボン製エアロ・パーツがボディ・カラーとの一体感を見せ、コンパクトながらも迫力あるボディの抑揚がクローズアップされている。アストンマーティンらしく、やや上方に開くスワン・スウィング・ドアを開いてみると、センターコンソールからMTシフトレバーが突き出て見える光景に、違和感を覚えるかもしれない。旧世代のスポーツ・モデルでは当たり前だったこの光景は、ATが主流となる近年のスポーツモデルでは見かけなくなり、セレクターレバーさえ存在せず、ボタンやパドルにとって代わることでフラットなセンターコンソール化が進んでいる。それでもエンジン・スタート・ボタンによりエンジンをかけて、クラッチ・ペダルを踏んで左手前に位置する1速にギア・レバーを引き込むところから始まる車両との一体感は、ただ単にクルマで移動するのとは明らかに異なる感覚を生み出す。操作の煩わしさより、ドライバー自身がクルマを走らせるという意味を明確化するツールとして、マニュアル・トランスミッションの存在感に改めて気付かされる。クラッチをエンゲージすると、容易くクルマは動き出してくれる。ハイパワーユニットであっても、低回転域のトルクは犠牲にされる事なく、しっかりと機能する。そしてシフトアップのタイミングでギア・レバーを2速へ送るが、電光石火のチェンジというワケにはいかない。ギアボックスはトランスアクスル方式でギア・レバーとは遠く離れて搭載されている。その関係から考えれば、しっかりとしたフィールと表現出来るギアボックスなので、慌てず確実に2速につないで、そこからはダブルHパターンに沿って、クラッチの断続と息を合わせてのシフトアップによりスピードは増して行く。ギア・チェンジのたびに間合いをはかりながら、スピードに合ったギアをドライバー自身が選択し、チェンジを繰り返していくとリズム感が生まれ、クルマとの距離感が少しずつ近く感じられる。ダイレクトなギア・チェンジはクルマとの一体感を生み、その濃厚な時間を慈しむのもスポーツカーを走らせる楽しみのひとつだと思える。そしてこのMTには「AM SIFT」という機能が装備される。シフト・アップ時にはレスポンシブなエンジンの回転数がストンと落ちてしまわない様に配慮しながら、シフト・ダウン時には自動的に空ぶかしを加え回転を合わせる事で、スムーズなギア・チェンジを可能とする機能となる。もちろんこの機能を任意に「OFF」にして、ドライバーがよりダイレクトなエンジンの息吹きと、ナチュラルなギア・チェンジを選択することも可能となっている。MTのシフト・チェンジに慣れてくると剛性感溢れるボディのしっかり感や、熟成されたフラットな乗り心地、また確実にスピードを落とす事ができる高性能なブレーキを味わう事が可能となる。それら全てをドライバー自身が制御しながら、ハイペースでドライブするのは容易くはないが、少しずつそのレベルを上げていくところに充実感も生まれる。サーキットでコンマ数秒を競うレースの世界では、高性能化されたATが主流となる現在に於いて、高性能スポーツモデルもその流れに沿ってAT化が進み、ハイパワーなエンジンをイージーに味わえる時代となった。そこを敢えてMT採用によるスポーツカーの楽しみをドライバーに提供しようというモデルが、この「ヴァンテージAMR」となり「ピュアなドライブ体験や、より深いクルマとの一体感を味わう為のモデル」だと、アストンマーティンは主張している。これこそスポーツカーの原点回帰ともいえるもので、多様化するニーズの中で、軽量化されたボディとMTにより、それを自らの手と足で操れる喜びを、楽しみに変えてくれるものとなる。「ヴァンテージAMRヒーローエディション」は、速さだけに留まらないスポーツカーの楽しみを現代に再現した、貴重な一台と言えるのではないだろうか…