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カブリオレ
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メーカー
ミッション
マニュアル
グレード
カブリオレ
ボディタイプ
外装色
シグナルレッド
年式
1964 年型
走行距離
79300km
乗車定員
4 名
サイズ
長 401 cm 幅 167 cm 高 131 cm
エンジン形式
排気量
1580 cc
馬力
95
トルク
12.6
車検
ハンドル
駆動区分
後輪駆動
輸入区分
中古並行輸入
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色
ブラック

ポルシェが自動車会社として世界に認知されるきっかけとなった記念碑的存在である「356」は、オーストリアのグミュントで誕生した。フェルディナント・ポルシェにより1931425日に設立された「ポルシェ設計事務所」は、第二次世界大戦後の混乱期にドイツのシュツットガルトからグミュントに疎開し、戦後の復興に必要なトラクターやケーブルウィンチなど、様々な設計や開発を請け負ってきた。そんな中で、1947年にピエロ・ドゥジオ率いるイタリアのチシタリアからグランプリカー「タイプ360」の設計の依頼が舞い込んだ。このプロジェクトにより得られた資金でポルシェは、戦犯として幽閉されていたフェルディナント・ポルシェを保釈するとともに、チシタリアがフィアット製の量産車をベースに高価なスポーツモデルを産み出す術を垣間見る機会を得る事となる。早速フェルディナント・アントン・エルンスト・ポルシェ(フェリー・ポルシェ)は、ビートルのコンポーネントを用いたスポーツモデル開発の計画に着手する。19477月にエンジン、サスペンションなど基本的なコンポーネントをビートルから流用しながら、独自の鋼管スペースフレームをもったミドエンジン・オープンモデルは、まるで「タイプ360」を縮小した様な成り立ちをもち、ブルーグレイのボディとベンチシートを備え「スポーツ356/1」と名付けられた。1948年に誕生したこのモデルがポルシェの名を初めて冠したロードモデル、通称「ナンバーワン・ロードスター」となり、その卓越した動力性能は大きな反響を巻き起こした。続けて「スポーツ356/1」から、量産車としての生産性やラゲッジ・スペースなどユーティリティを考慮し、ビートルのシャーシを改良したリア・エンジンモデル「356/2」を完成させ、1949年ジュネーブショーに展示する。この時、クーペモデルと一緒に展示されたカブリオレは、スイスのカロッセリー・ボイトラーに委託して仕立てたられた。アルミ製クーペモデルが44台、カブリオレは外注に委託されボイトラー製が6台、ケイブル製2台が生産された。流れる様な空力特性に優れた流線型のボディは、エルヴィン・コメンダによりデザインされ、スムースで高い走行性能はジャーナリスト達から高く評価された。搭載されるフォルクスワーゲン製の空冷フラット4エンジンは国際的なレースで1100cc以下のスポーツカー・クラスにエントリーする意図から、排気量は1086ccに縮小され、2基のソレックス26VFJキャブレターを装備。最高出力40馬力/4200rpmと最大トルク7.15kgm/2800rpmまでチューニングされ、最高速度140km/hを実現していた。これによる利益はささやかなものだったが、ポルシェは19499月にフォルクスワーゲンと20年間の設計コンサルティング業務が締結された事により、販売されるビートル1台毎にロイヤリティを受け取れる事となった。これを受け再びシュツットガルトに拠点を移したポルシェは、アルミ製だった「356/2」のボディをスチール製に変更し、クーペボディをロイターに、カブリオレをグレーザーに製造委託して、誕生したのが「356Pre-A」とよばれるシリーズとなる。1950年の春に完成したこのモデルは、北米市場を中心に好評を博し、スポーツカーメーカーとしてのポルシェの基礎をしっかりと固めながら、少しずつ改良を重ね生産された。初めは1.1エンジンのみの設定だったが、1951年には1.31952年には1.5エンジンが追加された。「356Pre-A」は1万台以上が生産され、1955年から「356A」に進化し1.31.6エンジンが搭載されると、1959年迄に2658台が生産された。19599月になると、安全対策の為にヘッドライトやバンパーの位置を上方に移設し、三角窓を採用するなどボディデザインを大きくリファインした「356B」に進化し、フランクフルトショーでデビューする。「356A」と「356B」の違いは「356Pre-A」と「356A」の違いより明確となるが、メカニカル・パートは基本的に「356A」を踏襲していた。新たに90馬力を発揮するエンジンを搭載した高性能グレードの「スーパー90」が追加され、シャーシの改良によりオーバーステア傾向の低減対策が施され、信頼性と生産品質の高さは世界屈指のレベルとなった。1961年には、前後ウィンドシールドの拡大、2分割のエンジングリルの採用、右フロントフェンダー上に給油口を移し、24カム・エンジンを搭載した「カレラ2」を加え、1963年迄に31300台が生産された。「356」の販売台数を順調に伸ばしてきたポルシェだったが、1957年から全く新しいフラット6エンジンを搭載するニューモデル「901(=911)」の開発を開始していた。フォルクスワーゲンをベースに開発が始められた「356」とは異なり、全てがポルシェにより新造される「901(=911)」は、想像以上に開発が難航し、販売価格も上昇することが見込まれたことから「356」の延命が決定された。「ポルシェ356」の最終進化型として登場した「356C」は、19639月のフランクフルトショーで、新世代の「901(=911)」と共に発表された。これまでの進化に比べれば、ボディデザインや機能面での変化は少なく、ポルシェは「356」のボディが、優れた空力特性と独特なボディデザインに価値がある事を理解していた。これまでと同様にクーペモデルとカブリオレが設定され、特筆すべきは4輪ともにディスクブレーキが装備された事。搭載されるエンジンは1.6とされ、チューニングの違いにより75馬力を発揮する「356C」と、95馬力の「356SC」の2グレードが設定された。新型の「911」が、21900ドイツマルクという価格なのに対し「356C」は14950ドイツマルクで販売されると、1965年迄に「911」を上回る16600台が生産された。17年間にわたり生産された「ポルシェ356」は、空冷フラット4エンジンを搭載し、高い実用性と性能を備えたRRレイアウトのスポーツカーとして、倍以上の排気量やパワーを持つライバル達を上回るパフォーマンスを発揮した。それはポルシェのアイデンティティとして次世代モデルの「911」にもしっかりと受け継がれ、高い信頼性と耐久性は、現代のポルシェ各車にも引き継がれている。今回入荷した1964年式「ポルシェ356SCカブリオレ」が搭載するエンジンは、616/16型とよばれる空冷OHV水平対向4気筒となる。ボア×ストローク82.5mm×74mmから1582ccの排気量を得る。ソレックス40P-4キャブレターを2基備え、圧縮比は「スーパー90」の9.0を上回る9.5とされ、最高出力95馬力/5800rpmと最大トルク12.6kgm/4200rpmを発揮する。4カムのカレラ・ユニットを除けば「356」シリーズ中最強のエンジンとなる。1955年に登場した、この1.6エンジンは改良型のシリンダーヘッドが与えられ、インテークバルブは40mm径から38mm径に縮小、エキゾーストバルブは31mm径から34mm径に拡大、吸排気ともにポート形状が見直されることで効率アップが図られている。エキゾーストバルブにはソジウム封入型バルブが採用され、4個の大きなカウンターウェイトが一体となった新型の鍛造クランクシャフトが装備される。この新型エンジンが本領を発揮するのは、100km/h150km/hあたりの速度域となり、特に追い越し加速に於いては「356B」よりも、はるかにスムーズに素早く感じられる。また高いパフォーマンスを発揮する割には優れた経済性を併せ持ち、同時代のフォルクスワーゲン1.2並みの燃費を誇る。組み合わされるトランスミッションは、4速マニュアルトランスミッションとされ「スーパー90」で採用された200mm径のクラッチディスクと強化型シンクロメッシュが採用される。足回りは、フロント・ダブルトレーリングアーム式+トーションバー、リア・シングルトレーリングアーム式+トーションバーとなり「SC」モデルには、コニ製の調整式ショックアブソーバーが装備される。リアに備わるトーションバーは「356B」に比べ1mm細い22mm径とされ、長さを627mmから522mmに短縮、同時にフロントのスタビライザーは1mm太くされている。このセッティングにより高速コーナーリング時のオーバーステアを、軽減するとともに乗り心地の向上にも配慮されたものとなっている。最も大きな変更点となるブレーキは、それまでのドラム式から4輪ディスクブレーキが採用された。フロントは275mm×10.5mm厚のソリッドディスク、リアは285mm×10mm厚のソリッドディスクが装備され、それぞれAte製の対向型シングルピストンキャリパーと組み合わされる。ブレーキパッドの摩耗自動調節機構と、リアブレーキに組み込まれた機械式パーキングブレーキはポルシェが開発したものとなる。ディスクブレーキが採用されたことにより従来のドラム一体型だった大径のハブは小径化され、ホイールを固定するスタッドの位置が中央寄りに移されるとともにホイール形状も変更された。タイヤは165×15サイズとなり4.5J×15サイズのホイールと組み合わされる。インテリアは「Pre-A」時代の中央部が盛り上がった立体的なダッシュボードから「356A」以降は、ボディカラーに塗られたフラットな表面をもつ上部にパッド入りの張り地がついたひさしが張り出したタイプとなる。「356SCカブリオレ」も、このタイプが備わるが中央下側に小さなパネルが追加され、そこにアシュトレイとシガーライター、ライトスイッチがレイアウトされている。3本スポークをもつ細身で大径のステアリングは、モダンなデザインをもつVDM社製となる。ステアリングを通してドライバー正面にはタコメーターが置かれ、その右側にスピードメーター、左側には油温や燃料などのコンビメーターが配され、メーター類は見やすいレタリングのVDO製となっている。フロントシートはそれまでのモデルより柔らかい仕立てとなり、沈み込む事でヘッドルームを稼ぐとともに、見た目より座り心地が良く、背もたれにはリクライニング機構を備える。また、シフトレバーの奥には従来の回転式ノブから変更された、ヒーター調節用のレバーがレイアウトされる。ドアパネルに付けられるアームレストは標準装備となり、ABCペダル類は床からはえるタイプが採用されている。ポルシェのカブリオレに用いられるソフトトップは、キャビン側にフレームが露出することのない上質な仕立てとされ、しっかりとトリミングされた上に遮音性にも優れた重厚な造りとなる。幌のリアウィンドウ部には2つのファスナーが付けられ、部分的に開放出来るようになっている。リアシートのバックレストは、手前に倒す事で荷物置きとして機能し、バックレスト上部裏面には、荷物の落下を防ぐストッパーとしての小さな突起が付けられている。全長×全幅×全高は4010mm×1670mm×1315mm、ホイールベースは2100mm、トレッド前1306mm、後1272mm、車両重量955kgとなっている。1964年式「356Cカブリオレ」の生産台数は1745台となる。「」のメーカー公表性能値は、加速秒、最高速度となっている。〜年代のヒストリックカーのボディの造りの良さを見る場合、ボディパネルの分割線を見る方法がある。セクションごとに細かく分けて留められていたり、ロウを流しこんだ合わせ目がスジ彫りの様に凹んでいるのは大衆車に多く見られる技法となる。そんな視点で「カブリオレ」のボディを見ると、バンパーの下のエプロンからフロントフェンダー、更にサイドシルからリアエンドへと滑らかなつながりをみせ、一切の合わせ目が存在しない。親しみを感じさせるフロントデザインとは裏腹に、そのボディの造り込みには高いクオリティが存在するのが想像出来る。ソフトトップを備える、オープンモデルでも硬質なタッチで開閉するドアを開いてドライバーズシートに腰を下ろすと、思ったより大きめなステアリングが存在し、ウィンドシールドを通して見えるフェンダーの峰は、間違いなくポルシェに乗っている実感を与えてくれる。それに輪をかける様にポルシェならではの、左手でスターターキーを捻ると、エンジンが始動しスムーズなアイドリングが始まる。速を選んでゆっくりクラッチをエンゲージして走り出す。しばらく走っているとエンジン回転の滑らかさとペダル類の軽快さ、ステアリングの重さも同様に、ドライバーの入力がバランス良く設計されていて、クルマに対してデリケートな操作がとてもしやすい事がわかる。この繊細な感覚は「」ならではの味わいといえるだろう。また期待以上の剛性感も「」らしいところで、不整路面を通過してもノイズを発する事無く、しっかりとしたフロアの剛性を感じさせてくれる。同時にサスペンションのしなやかさや、ダンピングの印象から、ホイールベースが僅かしかないクルマとは思えないフラット感が味わえる。サスペンションのセッティングが煮詰められた最終モデルという事で、手に負えない程のオーバーステアとはなりにくいように策が施されている事を期待してしまう。コーナーではスロットルを踏んでいる限りは安定した弱いアンダー傾向を示すが、ハードなコーナリング中に急にスロットルを閉じるのは、レイアウトのポルシェにとっては禁じ手となる事に変わりはないので、節度を持って楽しむ事が必要となる。輪ディスクとなったブレーキはノンサーボの為、それなりの脚力を必要とするが、常に不安の無いポルシェらしい効き味を提供してくれる。コックピット後方から聴こえる乾いたフラットサウンドは、を超えるトップエンド迄バランス良くキレイに回りきる。これを一度味わってしまうと以下ではややトルクの不足を感じてしまうかもしれない。コーナリングにおいてもブレーキング時でも、常にボディはミシリともいわず、ドライバーに安心感が芽生えると、更にスロットルを踏みたくなる。この繰り返しは「」の設計年次を考えれば、異常ともいえる速度域に軽々と到達する。フラットエンジンの息吹きや、独特のハンドリングと乗り心地、たおやかな曲線に包まれたボディデザインなど「」には、〜年代のスポーツカーに共通するクラッシックな魅力が数多く備わっている。その上カブリオレボディは気持ちの良いオープンエアとクーペ並みの耐候性を併せ持つ。年間造り続けられた「ポルシェ」の中でも、ファイルモデルとなる「」では、完成形に相応しいバランス感覚にも溢れていて、どこかひとつでも性能アップを狙う事がバランスを崩しかねないという切迫感が、全く新しい「」誕生へとつながったのだと想像出来る。「356SC」のメーカー公表性能値は、0100km/h加速11.5秒、最高速度185km/hとなっている。'50'60年代のヒストリックカーのボディの造りの良さを見る場合、ボディパネルの分割線を見る方法がある。セクションごとに細かく分けて留められていたり、ロウを流しこんだ合わせ目がスジ彫りの様に凹んでいるのは大衆車に多く見られる技法となる。そんな視点で「356SCカブリオレ」のボディを見ると、バンパーの下のエプロンからフロントフェンダー、更にサイドシルからリアエンドへと滑らかなつながりをみせ、一切の合わせ目が存在しない。親しみを感じさせるフロントデザインとは裏腹に、そのボディの造り込みには高いクオリティが存在するのが想像出来る。ソフトトップを備える、オープンモデルでも硬質なタッチで開閉するドアを開いてドライバーズシートに腰を下ろすと、思ったより大きめなステアリングが存在し、ウィンドシールドを通して見えるフェンダーの峰は、間違いなくポルシェに乗っている実感を与えてくれる。それに輪をかける様にポルシェならではの、左手でスターターキーを捻ると、エンジンが始動しスムーズなアイドリングが始まる。1速を選んでゆっくりクラッチをエンゲージして走り出す。しばらく走っているとエンジン回転の滑らかさとペダル類の軽快さ、ステアリングの重さも同様に、ドライバーの入力がバランス良く設計されていて、クルマに対してデリケートな操作がとてもしやすい事がわかる。この繊細な感覚は「356」ならではの味わいといえるだろう。また期待以上の剛性感も「356」らしいところで、不整路面を通過してもノイズを発する事無く、しっかりとしたフロアの剛性を感じさせてくれる。同時にサスペンションのしなやかさや、ダンピングの印象から、ホイールベースが僅か2100mmしかないクルマとは思えないフラット感が味わえる。サスペンションのセッティングが煮詰められた最終モデルという事で、手に負えない程のオーバーステアとはなりにくいように策が施されている事を期待してしまう。コーナーではスロットルを踏んでいる限りは安定した弱いアンダー傾向を示すが、ハードなコーナリング中に急にスロットルを閉じるのは、RRレイアウトのポルシェにとっては禁じ手となる事に変わりはないので、節度を持って楽しむ事が必要となる。4輪ディスクとなったブレーキはノンサーボの為、それなりの脚力を必要とするが、常に不安の無いポルシェらしい効き味を提供してくれる。コックピット後方から聴こえる乾いたフラット4サウンドは、5000rpmを超えるトップエンド迄バランス良くキレイに回りきる。これを一度味わってしまうと2500rpm以下ではややトルクの不足を感じてしまうかもしれない。コーナリングにおいてもブレーキング時でも、常にボディはミシリともいわず、ドライバーに安心感が芽生えると、更にスロットルを踏みたくなる。この繰り返しは「356」の設計年次を考えれば、異常ともいえる速度域に軽々と到達する。フラット4エンジンの息吹きや、独特のハンドリングと乗り心地、たおやかな曲線に包まれたボディデザインなど「356」には、'50'60年代のスポーツカーに共通するクラッシックな魅力が数多く備わっている。その上カブリオレボディは気持ちの良いオープンエアとクーペ並みの耐候性を併せ持つ。17年間造り続けられた「ポルシェ356」の中でも、ファイルモデルとなる「356SC」では、完成形に相応しいバランス感覚にも溢れていて、どこかひとつでも性能アップを狙う事がバランスを崩しかねないという切迫感が、全く新しい「911」誕生へとつながったのだと想像出来る。