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メーカー
ルノー
ミッション
マニュアル
グレード
ボディタイプ
外装色
ブルーメタリック
年式
1967.0 年型
走行距離
不明
乗車定員
2.0 名
サイズ
長 385.0 cm 幅 141.0 cm 高 115.0 cm
エンジン形式
排気量
1250.0 cc
馬力
103
トルク
11.9
車検
令和6年12月
ハンドル
駆動区分
後輪駆動
輸入区分
中古並行輸入
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

アルピーヌ創始者である、ジャン・レデレは父親がルノー・ディーラーを経営していた事もあり、自動車が好きで何時間も父親のガレージの中で自動車の事を考えて青年時代を過ごしていた。その熱意が盛り上がり、始めにルノー4CVをチューニングしてモータースポーツに参戦した。手始めに地元のラリーに出場した事で彼は完全にレースの虜となった。好成績を挙げるのに伴って、ルノーのレース部門から援助を受けるようになる。これにより4CVの床板と鋼管を組み合わせたフレームを用い、軽いFRPのクーペボディをパリ郊外のコーチビルダー、シャップとジェサランからなるジャップ兄弟と協力して架装し、1954年にアルピーヌA106を完成させる。その後、ベースの4CVがドーフィンに代わると、独自の鋼管バックボーンフレームを採用し、A108が製作された。この構造を進化させることで1962年パリサロンでA110がデビューする。A110は発売後も進化をする度にモータースポーツで活躍し、1971年ラリー・モンテカルロでは13位を独占、ERCからWRCに格上げされた1973年には、その初代マニュファクチャラーズチャンピオンを獲得する。ここまで作られてきたアルピーヌのA106A108/A110はともにボディデザインは、ジョバンニ・ミケロッティによるものとなっている。はじめにA106を作るにあたりジャン・レデレがいくつかのカロッツェリアを訪ね回り、ミケロッティが彼のアイデアを形にしてくれたのがきっかけとなり、その後の関係が出来上がった。1963年から1978年の生産中止に至るまでの間A110はハンドクラフトの利便性を活かし、バリエーションを増やしながら多くのモデルが造られる事になる。大きく分けて11形式の基本モデルと、3形式の派生モデル、及び12排気量のエンジンによる16種類のチューニングと、2種類のサスペンション形式が存在するといわれている。生産台数は7176(アルピーヌ本社の発表では7000台とされるなど、いくつかの説が存在する)とされている。その中で今回入荷したA110 1300G1967年式という1300Gの中では、最初期型となっている。搭載されるR8ゴルディーニ譲りのエンジンはV字型バルブ配置の半球形燃焼室を採用し、他のA110モデルと吸排気が唯一、逆のレイアウトとなる。エンジンのヘッドカバーに描かれたゴルディーニの「G」の文字が大きく誇らしい。このエンジンのOHVヘッドはアメデー・ゴルディーニのチューニングによるもの。イタリアのバッツァーノというボローニャとモデナの間に位置する街で生まれ、1920年代にフランスに移り住んだゴルディーニは、数々のレースに参戦しレーシングドライバー、コンストラクター、そしてチューナーとして第一線で活躍しソルシエ(魔法使い)というニックネームで呼ばれたという。このゴルディーニ・ユニットは4気筒なので野太い排気音となるが、その中にキメ細かい精細なニュアンスが含まれる、印象的な音を奏でる。水冷直列4気筒OHVエンジンは、ボア×ストローク74.5mm×72.0mm1255ccの排気量を持ち、圧縮比10.5となる。サイドドラフトウェーバー40DCOE2基装備し、最高出力は105馬力/6750rpm、最大トルクは11.9kgm/5000rpmとなっている。組み合わされるトランスミッションは5速マニュアルトランスミッションの535型が装備される。足回りは、フロントがダブルウィッシュボーン+コイル、リアがスウィングアクスル+コイルとなりブレーキは4輪ディスクブレーキを装備する。ホイールは5J×13インチの3スタッドボルトのワンピース純正アルミホイールに、タイヤサイズは165-13HRが組み合わされる。とにかくコンパクトにつきるボディサイズは全長×全幅×全高が3850mm×1520mm×1130mm、ホイールベース2100mm、トレッド前1311mm、後1290mmとなり、車両重量は僅か625kg。燃料タンク容量は38となっている。FRP製のドアを開けて低いボディの中に文字通り潜り込む様にして、ドライバーズシートにおさまるとキャビンはとてもコンパクトでピッタリと全身がクルマに包まれる。そのフィット感は、息苦しさと紙一重ともいえるかもしれない。適度にタイトでそこはかとなくスパルタンな雰囲気も散りばめられたA110のコックピットは着座位置も低くスポーツドライビングに適したものとなる。左前輪のホイールアーチの膨らみを避けて、ペダル類は右にオフセットしている。MOMO製プロトティーポ・ステアリングの向こうのメーターナセルには中央に油温計、油圧計、アンメーターの小径3個のメーターが配置される。その両側に大径の、左に6200rpmからイエローゾーン、6800rpmからレッドゾーンとなるレブカウンター(水温計が含まれる)、右に240km/h迄刻まれたスピードメーター(燃料計が含まれる)が置かれている。メーター類は全てVeglia製となっていて視認性はとても高い。ステアリングから右手を下ろした位置に、ちょうどシフトノブが配置されている。ゴルディーニ・ユニットは溌剌としつつも恐ろしくスムーズに回る。直4でありながらほとんど振動が伝わって来ないまま、クルマは前方へエキゾースト・ノートは後方へ吹っ飛んで行く様な恍惚的な加速が味わえる。これが1.3OHVエンジンなのか、と思う程にレッドゾーン付近に針を置いてもエンジンは苦しそうな気配を見せる事無く嬉々として回り、良く走る。これこそライトウェイトスポーツの心地よさの見本ともいえる特性に気持ちが昂ぶる。エンジンに気難しさは無く、どの回転数からでも加速出来る。このサイズ感とエンジンパワーの組み合わせは現代のクルマでは比べるべきものが無い。シャーシや足回りの剛性の高さも印象的なものとなる。サスペンションの動きは、とても正確でコンプライアンスが事実上ゼロに感じられ、これはシャーシ剛性の下支え無しには考えられない事となる。A110の動きには不正確な部分が限りなく少なく、この正確な動きを伝えるシャーシがあるからこそ、ドライバーが自信をもって限界の走りを楽しめるという事につながる。同じリアエンジン・リアドライブという事でポルシェ911を想像できるが、911のリアタイヤが地面に根をおろしている様な、独特な密着感はA110には希薄となり、よりニュートラルな感じが強い。そこは比べると相対的にエンジンが小さく軽い事や重心の高低差が効いてくるのかもしれない。リアエンジン故のリミットを超えた時の挙動もA110にも備わっているだろうが、そこも軽量な事により、その傾向は911程、過大にはならないようだ。クルマの隅々にまでドライバーの神経が行き届いている様な、凝縮感を伴う独特な身軽さはA110ではないと得られない、とても貴重なものとなっている。A110は時代を超えてこのカテゴリーのベンチマークと呼べるスポーツカーとなっている。スポーツカーにはそれぞれのクルマに様々な個性が存在する。それは生まれた背景や生み出した人物の考え方が色濃く反映されるからかもしれない。A110と同じリアエンジン・リアドライブというカテゴリーにはドイツのポルシェ911が存在する、また量産エンジン搭載のライトウェイトスポーツというカテゴリーにはイギリスのロータスが存在する。しかしフランス生まれのA110はそれらと同じ成り立ちを持ちつつも、全く異なる性格を持ち存在感を光らせる。量産車のパワーユニットをベースにチューニングされたエンジンを搭載する事でメンテナンスに過敏にならず、更に強力なエンジンに対応出来るシャーシ特性を持つことで、ゆとりを持った足回りのチューニングとなっている為、走らせる楽しみをタップリ享受出来る。創業者ジャン・レデレがルノーをベースに生み出したスポーツカーにアルピーヌという名前を与えた事が示すように、A110の真髄はアルプスを自在に駆け抜ける性能を存分に楽しめるところとなっている。