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メーカー
ポルシェ
ミッション
マニュアル
グレード
ボディタイプ
外装色
マリタイムブルー
年式
1992 年型
走行距離
8.930km
乗車定員
サイズ
長 427 cm 幅 166 cm 高 126 cm
エンジン形式
排気量
3600 cc
馬力
260
トルク
32
車検
令和6年1月
ハンドル
駆動区分
後輪駆動
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

古くは1967年の911Rから、ナナサンのRS1984年の930ボディを用いたSC/RSの流れを汲んで、964ボディで復活した964カレラRS。そのデビューは1990年パリサロンとなる。レース仕様車のロードバージョンと呼ぶにふさわしく、走らせる事に喜びを感じるポルシェの復活となった。快適装備が充実したカレラ2から、徹底した軽量化を行い、車重は1230kgとカレラ2に比べ120kgも軽くなっている。その内訳は、ドアパネル、ボンネットをアルミ製とし、911ターボと同型の17インチホイールは、マグネシウム製となる。またパワステ、エアコン、パワーウィンドウ、センターロック、オーディオ、リアシートまで剥ぎ取り2シーターとされ、ドアノブは薄い内張から飛び出たベルトになる。シートは、ノンリクライニングな軽量レカロ製バケットシートで、遮音材が省かれ、アンダーコーティングもされていない。エンジンは「M63/03型」と呼ばれる空冷水平対抗6気筒SOHCでボア×ストロークが100mm×74.6mm3600ccとなり、カレラ2と同じ排気量と圧縮比(11.3)を持つ。しかし964RSはコンピューターセッティングの変更により、カレラ2より10馬力と0.4kgm上乗せされた260馬力/6100rpm32.0kgm/5000rpmのトルクを発揮する。これは、三元メタル触媒を装備したままの数値となる。上乗せされた性能値よりも964RS最大の魅力は、そのエンジンのキャラクターといえる。ピストンバランスを入念に取ったうえシリンダーとの精密なマッチングもされている。それゆえかつてのナナサンRSほどではないにせよ、スロットルレスポンスがとてもシャープで、回転上昇の早さでは他のエンジンに並ばれたとしても、回転落ちの早さは、抜きん出ている。軽い吹け上がりと軽い回転落ちが一体になってこそシャープなエンジンというべきで、まさにその見本とよべるエンジンとなる。このシャープさは、2バルブである事、元来の低フリクション、フライホイールが軽い(使用されるRS用シングルマスフライホイールは、ノーマル・カレラ2のデュアルマスフライホイールに比べ10kg以上軽い)事などが相当効いていると思われる。このスペシャルなエンジンをより有効に走りに活かす為に、エンジン・マウントもノーマル・カレラ2と異なるタイプが使用されブッシュにハードなセッティングを施されているようだ。また、組み合わされるギアボックスは5段マニュアルのみとなっている。インストルメント・パネルに大きな変更は見当たらないが、ステアリング・パッドには「RS」のロゴがエンボスされた専用品となる。ドライバビリティは、ストップ&ゴーを繰り返す状況では、クラッチミートに気を使わされるが、エンジン回転を上げる程にシャープな感触と、パンチ力を増していくスポーティな特性に夢中になれる。しかしロードノイズはフロア材の一切ないレーシングカー程ではないが、轟音に近いものとなる。足回りは、前マクファーソン・ストラット+コイル/スタビライザー、後マクファーソン・ストラット+コイル/スタビライザーとなりカレラ2と共通の型式ながら、40mmも低められた車高から想像出来る様にダンピングは硬い。速度を問わず市販車としてかなりハードな足回りは、継ぎ目の多い首都高などを走らせると、連続的にやってくる直接的な衝撃に胃が痛くなる程だ。専用セッティングによるビルシュタイン製ショックアブソーバーが装備され、17インチホイールには、フロント205/50ZR-17(7.5J)リア255/40ZR-17(9J)のヨコハマA-008Pまたは、BSエクスペディアが装着される。ABS付きブレーキはフロントが、4ピストンのターボ用キャリパーと同322mmディスク(カレラは298mm)で、リアはカップカー用4ピストンキャリパーと同299mmディスクが付く。またツインマスターシリンダー油圧ポンプの高圧サーボシステム付きとなっている。デフは加速方向40%、減速方向最大100%LSDが組み込まれている。全長×全幅×全高は、4250mm×1652mm×1280mm、ホイールベース2270mm、トレッド前1380mm、後1375mm、車両重量1230kg。性能はカタログデータでは0100km/h5.3(カレラ25.7)最高速261km/hとなる。カーグラフィック誌による実測値で、0100km/h5.5秒、0400m加速13.6秒、01km加速24.5秒、最高速258.8kmを記録した。これは、同時に測定していた964ターボ(3.3L仕様)と最高速を除いて同等の性能となる。当時ディーラーとなるミツワ自動車では250台を販売して964RSの価格は1330万円、RSツーリング(スポーツシート・アンダーコーティング・エアコン・パワステ・パワーウィンドウ付き)1380万円であった。総生産台数は2051台とされ、USバージョンは830台となる。1230kgの軽量ボディを260馬力で引っ張る964RSの走りは、まさに胸のすく加速という表現がぴったりくる。エンジンは4500rpmを超えるあたりで一段とトルクが盛り上がり6800rpmのレッドゾーンめがけて瞬く間に吹け上がる。この領域においてはドライバーの右足の動きにダイレクトな反応を見せパワフルな加速を満喫出来る。足回りは硬いが内装から低級なビビり音は一切無くポルシェの高いクオリティが垣間見える。この足回りはワインディングロードにおいて素晴らしいコーナリング能力を発揮し、事実上ニュートラルなハンドリングを体感出来る。路面を舐める様にステアリングどおりのラインを途方も無いスピードで駆け抜ける964RSに、ドライバーは虜になる。無論ブレーキも強力無比な効きを保ち続け、安全マージンを確保し続ける。全てが走る為に研ぎ澄まされた、まさしく誰もが想い描くRSというクルマの仕様に完成し尽くされている。ただし急激なリバース(リアブレイク)には、多少の腕利きでは、対処不能なシビアさも併せ持つというところも、RSならではといえるだろう。コンフォート性能が向上した現代のスポーツカーとは相反する立ち位置にいるように感じる964RS。ドライバーの意のままに操縦する事を楽しむのがスポーツカーだとすれば、最もシンプルにその課題にアプローチをしてみせたのが964RSではないだろうか?現代のスポーツカーは、ドライバーにそう感じさせる為に様々な仕掛けが黒子として働く様になっている。それが技術の進歩というものなのかもしれない。ゆったりた走らせる事も楽しめワインディングをスポーティに走らせる事も出来る。どちらもスポーツカーの楽しみと考えればスポーツカーの間口は時代の進化と共に広がった様に見える。それをそれぞれのドライバーがそのクルマの操縦性を何処まで追求するか、その深みを探るという楽しみ方が出来るのもスポーツカーのひとつの魅力だろう。古い、新しいにきっと差はない。しかしシンプルなスポーツカーはきっと大きな満足を得るためのヒントをたくさんドライバーに投げかけてくれる、そんなクルマとの対話が成り立つ所がプラスアルファとしてのチャームポイントとしてあるのかもしれない。