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クーパー1300
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メーカー
イノチェンティ
ミッション
マニュアル
グレード
クーパー1300
ボディタイプ
外装色
オリーブグリーン
年式
年型
走行距離
97200km
乗車定員
4 名
サイズ
長 308 cm 幅 143 cm 高 133 cm
エンジン形式
排気量
1275 cc
馬力
71
トルク
11.0
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

昭和53年11月(インポート年)1973年~1975年迄製造、年式に関しては、申訳御座いませんが、断定できません。

イタリアのイノチェンティ社は、創業者フェルディナンド・イノチェンティにより1920年に鉄製品の加工をメインとしながら創業を始める。第一次世界大戦後にローマに誕生したこの会社は、工事現場用の足場に使うスチールパイプを製造し、それを組み上げる為のクランプの発明により大きな成功をおさめた。1933年に申請したスチールパイプを縦横自在に組めるクランプの特許にはイノチェンティの名が付けられている。第二次世界大戦後には、経済復興とモータリゼーションの高まりを感じたフェルナンドは、スクーターの製造を思い立つ。戦争のダメージを負ったローマの工場からミラノのランブラーテという土地に移り、工場を新設したイノチェンティ社は、その土地の名前から「ランブレッタ」というブランドで、得意とするスチールパイプの技術をスクーターのフレームに活かして、194710月「ランブレッタ125M」を発売した。一年早く創業を開始した「ヴェスパ」に比べ、デザインは劣るが性能と燃費に優れ人気モデルとなる。1951年には125ccエンジンを搭載したモデルで、最高速度の世界レコードを樹立すると、スポーツスクーターとして広く認知され「ヴェスパ」と並び1960年代迄高い人気を博し各地で販売を伸ばした。大成功をおさめたイノチェンティ社ではあったが、戦後復興が進む50年代後半になると、徐々に豊かさを取り戻したイタリア国内では「フィアット500」や「600」などの小型車が台頭し、スクーターからの乗り換えが多く見られた。そこでイノチェンティ社は、1958年に自動車市場への参入を決定する。しかし、新たに高額の開発費を投じて自社開発するのではなく、ノックダウン生産による方法でアプローチする道が選択された。イタリアで小型大衆車の圧倒的なシェアをもつフィアットに、正面から対峙するつもりは全く無かったイノチェンティ社は、英国のBMC(ブリティッシュ・モーター・コーポレーション)を提携先として選んだ。1958年にカロッツェリア・ピニンファリーナのデザインによる「オースチンA40ファリーナ」を生産し自動車市場へ参入すると、翌年のトリノ・ショーではオリジナル・ボディをもつ「950スパイダー」を発表する。これは「ヒーレー・スプライトMk-」をベースにシンプルでイタリア車らしいデザインのボディを、カロッツェリア・ギアのトム・チャーダが担当、ボディはトリノのコーチビルダーOSI(オフィチーネ・スタンパッチ・インダストリアリ)製となり、上質な小型車として存在感を示した。イノチェンティ社は1961年にBMC傘下に入ると、1964年には「ADO16」をベースとする「IM3」を発表する。オリジナルの「ADO16」のボディはカロッツェリア・ピニンファリーナによるデザインとなるが「IM3」は、このピニンファリーナによりフロントマスクを始めとするリデザインが行われ、インテリアもイタリア車らしくアレンジが施されたモデルとなっている。チューニングされたエンジンを搭載し、前輪ディスク式のブレーキにはサーボが加えられた。その翌年の1965年には、市場拡大を狙って「ミニ」の生産を開始する。イノチェンティ社製の「ミニ」は、生産初期モデルだけ、英国・ロングブリッジ工場から送られた部品をBMCから購入し、ミラノの工場で組み立てる方法で生産された。しかしコストの関係から、すぐに電装品、ホイール、ウィンドウなどのコンポーネンツの多くがイタリア国内産とされた。また、エンジンとトランスミッションは、イノチェンティ社独自のスペックにより英国で生産されたものがコベントリーから送られたものが用いられた。イノチェンティ社により生産される「ミニ」はオリジナル同様、上質な小型車としての成り立ちをもち、革新的な小さく広いボディは魅力に溢れ成功を約束されている様に見えた。ところが充分な成功を収める前に、強力なライバルが現れる。イタリアの巨人・フィアットが1969年に送り込んできた「アウトビアンキA112」だった。このモデルも上質な小型車として誕生した背景をもち、1971年にはスポーツモデルのアバルト版も加えラインナップを強化していた。イノチェンティ社の「ミニ」も、オリジナル・ミニと同様にエステートボディの「トラヴェラー」や、スポーツモデル「ミニ・クーパー」をラインナップし対抗する。このスポーツモデルの「ミニ・クーパー」とは「ミニ」発表の年である1959年にF1コンストラクターズ・タイトルを獲得したジョン・クーパーが、小さなタウンカーという「ミニ」のキャラクターを活かしたチューニングモデルを作れば、面白いモノに仕上がると考え製作されたモデル。エンジンはツインキャブに換装され、シリンダーヘッドとエキゾーストシステムに手が入り、4気筒エンジンのパフォーマンスが高められるとともに、前輪にはディスクブレーキが装備された。196110月に発表された「ミニクーパー」は997ccのエンジンから55馬力を発揮し、ノーマル「ミニ」の38馬力では満足出来ないスポーツ志向のユーザーから圧倒的な支持を受けた。モータースポーツの世界でも華やかな活躍を見せ、ラウノ・アルトーネン、パディ・ホプカーク、トニー・フォール達の手により1960年代後半まで、メジャーなラリーで次々と勝利を重ねた。1963年には排気量を1071ccに拡大した「ミニクーパーS」が登場し、70馬力まで出力をアップされ更なる性能向上が図られる。軽量ボディの四隅に小さめな10インチホイールとストロークの少ないラバーコーン・スプリングにより低重心の「ミニクーパーS」は、レーシングカーの様な機敏な動きを可能としていた。モンテカルロラリーに於いては、1964年、1965年、1967年と3度の総合優勝を重ね、1966年も1-2-3フィニッシュを果たすがヘッドライトの規定違反を理由に失格、それでもラリーでの圧倒的な強さを印象付けた。サーキットでのレースに於いてもジョン・ローズ、ジョン・ウィットモア、ラルフ・ブロードらがラリー・シーン同様に旋風を巻き起こし1965年〜1968年には英国ツーリングカー選手権のクラス優勝に輝いた。モータースポーツの世界で人気を得ながら多くのドライバーに愛されてきたモデルが「ミニ・クーパー」だった。イノチェンティ社が4輪の生産を始めるにあたり提携したBMCは、1966年にジャガー社と合併し、BMH(ブリティシュ・モーター・ホールディングス)となるが1968年には、そこにトラックやバスなど商用車を製造するレイランド・モータースを加えBLMC(ブリティシュ・レイランド・モーター・カンパニー)を設立した。これにより合理化が進められると「ミニ」のオースチン/モーリスのブランドが消滅し「BLミニ」に統一され「BLミニ・クーパーS Mk-」がトップモデルとして「ミニ・クーパー」のシリーズ中、最強だった1275cc/75馬力エンジンを搭載して生産されることとなる。このモデルも1971年には、進む合理化と排ガス規制を理由に生産が終了され、このエンジンを搭載するモデルはミニとは異なるフェイスをもつ「クラブマン1275GT」となり、ミニの面影を残すモデルは「イノチェンティ・ミニクーパー1300」だけとなった。このモデルは、1973年〜1975年の僅かな間だけイノチェンティ社で生産されたモデルで、サイドウィンドウがスライド式から巻き上げ式となり、ドアヒンジが表出していないオリジナル・ミニのMk-に準じたボディが採用されている。巻き上げ式サイドウィンドウに三角窓を持つ事と、ブラックアウトされたフロントグリルに、オリジナル書体による車名エンブレムが採用され、標準で樹脂製のオーバーフェンダーを装備するのが特徴となる。イタリアで生産されるので左ハンドル仕様のみの設定となり、オリジナル・ミニに比べるとGT的要素をもつインテリアにより、グレードアップされたトップモデルといえる内容をもつモデルとなっている。「イノチェンティ・ミニクーパー1300」に搭載されるエンジンは、BMCAタイプをベースとするオール・スチール製で12F型とよばれるもの。水冷直列4気筒OHVで、ボア×ストローク70.64mm×81.33mmから1275ccの排気量を得る。SUキャブレターを2基装備し9.75の圧縮比から、最高出力71馬力/5750rpm、最大トルク9.7kgm/3000rpmを発揮する。オリジナル・ミニの「BLミニ・クーパーS Mk-」では、最高出力76馬力/5900rpm、最大トルク10.9kgm/3000rpmを発揮して“クルマ全体がパワーユニット”と表現されたのに対し、若干迫力には欠けるが「クーパー」の名に恥じないパフォーマンスを発揮する。2000rpmからストレス無しに加速が効き、3000rpmになると強力な中速トルクを発生するロングストローク型ユニットとなる。組み合わされるトランスミッションはシフトレバーが、それ以前の「ミニ」に比べ遥かに歯切れの良いタッチをもつ4段フルシンクロのマニュアル・トランスミッションとなっている。足回りはフロントが上下不等長のトランバースリンク式、リアがトレーリングアームによる4輪独立式となり、オリジナル・ミニ同様、ラバーコーン・スプリングが採用されている。金属スプリング採用の車に比べ、直接的な衝撃や突き上げ感は少ないが、走行中に適度な上下動を伴う独特の乗り心地を示す。ブレーキはフロントにソリッドタイプのディスク式、リアはドラム式となりサーボが備わる。ホイールは10インチ径×4.5J幅のスチール製で、2ドア時代のクラッシック・レンジローバーに装備されていた様な、ロスタイル・タイプのデザインが採用されている。組み合わされるタイヤは4輪ともに145SR10サイズとなっている。インテリアは、角度の浅いフロントウィンドウにより、奥行きのないオリジナル・ミニと同様の見慣れたトレータイプのダッシュボードが採用されている。イタリア製のクルマらしく、そこにはイェーガー製の見やすいレタリングを使った、6連メーターがレイアウトされている。左から、水温、電流、油圧、回転、速度、燃料と並ぶメーター類は、それぞれが僅かにドライバーに向けて角度を付けて並び、回転計と速度計は大径タイプとなっている。ダッシュボート両端にはフレッシュ・エアの吹き出し口を備え、中央部には電装品のロッカースイッチが備わる。ワイパーは2スピード式、ウィンドウ・ウォッシャーは電動式、リア・ウィンドウには熱線デフォッガーがプリントされる。上向きにセットされたステアリングホイールは3スポークのヘレボーレ製とされ、センター寄りにオフセットされた小さなペダル類と併せてドライビングポジションは、このクルマが紛れもなく「ミニ」であることを示している。フル・リクライニング式となるローバックタイプのフロントシートは、ホールド性も良く中央にファブリックを使ったスポーティなデザインで、高級グランツーリスモを思わせる造りとなり、座り心地を含めオリジナル・ミニに勝るものとなっているり「ミニ」の小型車としてのユーティリティには変更は無く、リアシートには2人の大人が座れるスペースが確保されている。リアのトランクは下部にヒンジを持つタイプで、左側は燃料タンクに占領されるが、ラバーマットの下にはスペア・タイヤとジャッキ/工具類が備わる。また、今回入荷した車両は、数々のカスタムパーツによりカフェレーサー風に仕上げられている。純正スチールホイールはSSR(スピードスターレーシング)製のアルミホイールで6J×10インチのメッシュタイプとされ、タイヤは165/70-10サイズのダンロップ SPスポーツR7と組み合わされている。それに併せてワイドタイプのオーバーフェンダーに変更されるとともに、僅かに車高が下げられ絶妙な佇まいを見せる。インテリアはステアリングホイール、ギアレバー、フロント2脚ともにローバックタイプのバケットシートに変更され「ミニ」の特徴でもある背中を起こしてステアリングを抱えるポジションから、比較的コンベンショナルなドライビングポジションが取れる様にリセッティングされている。またダッシュボード左右のエア・アウトレット、サイドウィンドウ・レギュレーターもクローム仕様にカスタマイズされる。エンジンルームではルーカス製スポーツコイルと強化プラグコード、キャブレターにはスポーツタイプのエアクリーナーが装備されている。全長×全幅×全高は3050mm×1410mm×1350mm、ホイールベースは2036mm、トレッド前1210mm、後1180mm、車両重量690kgとなっている。燃料タンク容量36で、新車時販売価格は210万円となっている(1975年、輸入元となる日本FELIX社による販売価格)メーカー公表性能値は、最高速度が「ミニ・クーパーS」と同じ157km/hとなっている。現代のクルマ達の中にある「ミニ」を見ると、そのボディの小ささがより際立って印象に残る。開発者であるアレック・イシゴニスによると、ボディ・デザインは最小限に必要なものを出来るだけ小さく纏めることで結果的に出来上がったものとされているが、何処か人懐っこく憎めないキャラクターが感じられる。クローム製のドア・ハンドルを引いて乗り込むと、着座位置とドライバーの目線が想像以上に低い事に気付かされる。そして、乗り込む前の印象と異なり立ち上がったピラー類により、それほど窮屈なキャビンでは無く視界が開けて、車両感覚が非常に掴みやすいと感じられる。ステアリング・コラムにあるキーを捻ると、クランキングの後にエンジンが存在感を示すようにアイドリングを始める。排気量の割には重めのクラッチとスロットルペダルを操作しての走り出しは、微妙なペダルワークを要する。走り出してしまえば小型・軽量なボディと扱いやすい低速トルクにより、頻繁なギアチェンジの必要も無く軽いバイブレーションを伴う心地よい吹け上がりが楽しめる。3000rpmを超えるとトルク感が増し、4000rpm以上に回転を保てば鋭い瞬発力を見せ、痛快にこのクルマらしさを味わう事が可能となる。この回転域からレッドゾーンの始まる6500rpmまでは盛大なサウンドを響かせながら豪快に回るエンジンだが、4段ギアの下3段では加速中に前方から聴こえるクーンというギアノイズは心地良く感じられるものとなる。「クーパー」らしさは、ハンドリングの軽快さにも見出す事が出来、走らせている限りノンパワーのステアリングでも軽く、非常にクイックな上に遊びが無く、小さなボディの鼻先を意のままに操る事が出来る。高速道路の巡航より、ワインディング・ロードでより多くの楽しみを享受出来るハンドリングとなる。フロントドライブによる挙動変化は明確で、タイトコーナーを回っている時に急にスロットルオフすれば、テールがアウト側に出たがるため、デリケートなスロットル操作が要求される。だが、これこそ「ミニ」の個性でもあり、それを上手くコントロールするところがこのクルマを走らせる醍醐味ともいえる。「ミニ」のオリジナリティ溢れるダイレクトなゴーカート感覚は、改めてクルマを走らせる楽しみを思い出させてくれるものとなっている。様々な便利な機能を満載し、重く豪華になった現代のクルマ達が持ち得ない魅力を「ミニ」は小さな軽量ボディに満載している。個性溢れる数々のクラッシック・ミニの中でもイタリア製の「イノチェンティ・ミニクーパー1300」は「クーパー」らしいダイナミックな性能に加え、オリジナルの状態でカスタマイズされたテイストをもつ。今回入荷した一台は、オリジナル・ミニの佇まいとイタリアン・デザインのインテリアをもち、センス良く数々のカスタムパーツにより磨きがかけられた個性溢れるレーシーな仕上がりを見せる貴重な一台となっている。