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CORNESディーラー車
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メーカー
フェラーリ
ミッション
マニュアル
グレード
CORNESディーラー車
ボディタイプ
COUPE
外装色
ロッソコルサ
年式
1993.0 年型
走行距離
9200㎞
乗車定員
2.0 名
サイズ
長 448.0 cm 幅 197.0 cm 高 113.0 cm
エンジン形式
V型12気筒DOHC
排気量
4940.0 cc
馬力
428
トルク
50.0kgm
車検
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラック
燃料区分
ガソリン
幌色

512TRのワールドプレミアは199214日から開催されたロサンゼルスショーとされているが、その2日後のデトロイトショーのピニンファリーナブース(フェラーリは自前のブースを用意していなかった)にキャデラック・アランテと一緒に展示されたのが国際クラスのショーデビューとする見方もある。1991年終盤にルカ・ディ・モンテゼーモロ新社長を迎えたフェラーリ新体制下で、初めてのニューモデルとなる512TRは、それまで8年間生産されてきた1984年デビューとなるテスタロッサの約30%に及ぶ構成部品を、新たに作り替え高度にリファインを施したエボリューションモデルとなる。エクステリアは水平ラインが強調されていたテスタロッサに対し、同時期の348tbのデザインテイストを取り入れ、柔らかさが加えられている。このデザインはF50456GTを手掛けたピニンファリーナ社のピエトロ・カマルデラによるもの。「512TR」とは「5L12気筒エンジンのテスタロッサ」という意味。ヨーロッパデビューは翌月2月のブラッセルショーとなった。エンジンはベルリネッタ・ボクサーからテスタロッサへと受け継がれたボア×ストローク、82×78mmとなるエンジンで、排気量は変わらず4942ccとなる。この180°V12気筒DOHC48バルブ(F113D)エンジンは、主要部品が再設計されボアはニカシル加工が施される。圧縮比を10.0(従来は8.8)に高め吸気バルブ径を1.25mm拡大して、プロファイルを改めたカムシャフトを採用する。またKEジェトロニックを用いていたエンジンマネージメント・システムをボッシュモトロニックM2.7にバージョンアップした。これらの改良により428馬力/6750rpm50.1kgm/5500rpmのトルクを発揮する(テスタロッサは390馬力/6300rpm50.0kgm/4500rpm)だけでなく、経済性も向上し燃費が510%向上した。しかも高出力エンジンながら3000rpm5500rpm80%にあたる40kgmのトルクを発生して、7000rpmを過ぎても43kgmを維持出来るというフラットなトルク特性も併せ持つ。更にレスポンス、ドライバビリティともに一層磨きあげられ、スロットル・ペダルの開度に対してトルクのつきがとても良く感じられる様に改善された。パワーアップに伴いクラッチ径は10.5インチに大径化されシングルプレートとなる。各部強化されたギアボックスはファイナル不変の5速ながら、よりハイギアード化された。シフトロッドの支持部にボールベアリングが挿入されたことにより、それまでのフェラーリとは異なるスムーズな操作が可能になった。またリアデフにはロッキングファクター40%となるLSDが付く。テスタロッサではメインとサブからなるフレームを持っていたが、512TRでは大幅に変更され完全一体型フレームとなった。従来サブフレーム上にパワートレインとサスペンション一式が組まれ、メインフレームにボルト止めされていたが、512TRではサブフレームを溶接し更に斜めに補強パイプを加え、センターを貫通するオーバルパイプ(F40用並みの太さ)を採用した。これにより剛性アップだけでなく操安性向上の為にエンジン搭載位置が下げられ(-30mm)その結果、重心を下げるという目的も達成されている。製造工程でエンジンを下から入れていた従来の手法は使えなくなったが、ドライブシャフトの角度変化も少なくなり、捩り剛性12.5%、曲げ剛性25%アップされ、フレーム剛性は一挙に改善された。前後ダブルウィッシュボーン式の足回りはバネ下重量の軽減を改良の主眼とされ、部品点数を減らされた上に軽量なアルミ製のハブキャリアやアーム類を使用する。また軽量スティールのコイルバネに組み合わされるのはコニ製からビルシュタイン・ガス入りアルミ製ダンパーに変更された。テスタロッサ同様にリアアクスルはツイン・スプリング/ダンパー式となる。2インチサイズアップにより18インチ化されたホイールは、スピードライン製ワンピース鍛造となる。サイズはフロント235/40ZR-18(8J)、リア295/35ZR-18(10.5J)のピレリPゼロ、ミシュラン、グッドイヤー製が組み合わされるがBS製エクスペディアS-01も装着される様になった。改良された足回りと高性能タイヤ、低重心化によりロール・アングルは1G2.4°となりテスタロッサの3.5°から向上した(F401.6°となる)。ブレーキは前後ともディスクが大径化されフロント315mm×32mm、リア310mm×28mmのドリルドベンチレーテッドディスクとなり、キャリパーはアルミ製4ポッドキャリパーが前後に付く。耐フェード性は高く、テストドライバーが全速でフィオラノテストコースを10周してもフェードしない、というテストを軽くパスしているという。また2000km/hの制動距離はテスタロッサから25mも少ない225mとなった。インテリアはメーターパネル、ステアリング、センターコンソール、シートなど大幅にデザイン変更され、ヘッドクリアランスを稼ぐ為に、シート高を13mm下げている。テスタロッサではどちらかというとデザイン重視のバケットシートだったが、512TRではコノリーレザーによる厚くモダンなスポーツシートになりクッション性も良く快適になった。視覚的にフォルムがほぼテスタロッサと変わらない512TRでは、インテリアの変更が新型になったとより実感しやすい部分かもしれない。5mm短く1mm幅広で5mm高くなったボディサイズは4480mm×1976mm×1135mmの全長×全幅×全高をもち、ホイールベースは不変の2550mm、トレッドは前1532mm、後1644mmとなる。燃料タンク容量は100L。車両重量1473kgはテスタロッサから40kg軽量化された。メーカー公表性能値は0100km/h4.8秒、0400m加速12.8秒、01km加速22.9秒、最高速度313.8km/hとなる。カーグラフィック誌による実測値は0100km/h5.3秒、0400m加速13.0秒、01km加速23.3秒、最高速度293.4km/hであった。エンジン回転数の低いところからトルクがあり、テスタロッサより一層運転し易く、乗り心地も引き締まってフラット。剛性感高く、緻密に造られた機械に乗っているという感覚にあふれ、走りの質感がより高級に感じられる。超高速域での直進性に優れフェラーリとしてはギアシフトがスムーズで、テスタロッサよりコーナーを曲がりやすく安定感も高い。ブレーキも強力な減速Gを立ち上げる事が出来強い制動をかけられる。それでもやっぱりその神髄は、滑らかでスムーズなエンジン回転上昇に伴い、ハイギアードな12気筒ならではの際限の無い加速の伸びを楽しめる事に尽きる。演奏者が次々に増えていくオーケストラを右足で指揮する様に、ミュージックと呼ぶに相応しいエンジンサウンドの洪水を味わえるのはクルマ好きとしての至福の時間。まさしく桃源郷だ。512TRからF512Mへのモデルチェンジによりマウロ・フォルギエーリ技師によるF1312シリーズと同じ、ベルリネッタボクサーから続いてきた180°V12気筒ミッドシップの流れは終焉を迎える。その後456GTをはさんで新たにFRのフラッグシップとして550マラネロが登場する。65°V12気筒エンジンをフロントに搭載する550マラネロは、限界域での挙動によりアドバンテージを持ち、開放的なキャビンは緊張感を和らげてくれるかもしれない。それでもミッドシップのフェラーリ12気筒モデルは、少量生産でレーシングカー直系のエンツォ・フェラーリの意志を色濃く反映していた時代をダイレクトに感じる事が出来る。ABSやトラクションコントロールに制御される以前の、まさしく純粋なフェラーリ12気筒を存分に味わえるクルマとなっている。新車時価格2750万円、512TRの生産台数は3年間で2261台となる。