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メーカー
BMW
ミッション
オートマ
グレード
ボディタイプ
外装色
ブラックサファイア
年式
2003 年型
走行距離
52950km
乗車定員
4 名
サイズ
長 449 cm 幅 178 cm 高 137 cm
エンジン形式
排気量
3245 cc
馬力
360
トルク
37.7
車検
令和6年9月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
ブラックアルカンタラバケットシート
燃料区分
ガソリン
幌色

BMW E46型「M3 CSL」の車名にある「CSL」とは「Coupe Sport Lightweight」の意味で、軽量化された「M3」のスペシャルモデルとなる。2001年フランクフルトショーに参考出品された「M3 CSL」のプロトタイプは、エンジニアリングスタディとして製作されたワンオフモデルで、当時は量産する予定は無かったといわれてる。ところがBMW首脳陣は「M3 CSL」の限定生産を決意し1383台が生産されることとなった。「M3 CSL」の特徴は、大幅に軽量化されたボディにファインチューニングを施したパワーユニットを搭載している事。1973年、ETC(ヨーロッパ・ツーリングカー選手権)のグループ2クラスに出場する為に1000台余りを製造したホモロゲーションモデルとしてE9型ボディを用いた「3.0CSL」と同じ手法となる。この「3.0CSL」は2015年のイタリアで開催されたクラッシックカーの祭典である、コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステに於いて「BMW3.0CSL Hommage(オマージュ)」が発表され、その影響力を現代にまで残しているモデルとなる。2022年には「M4 CSL」を全世界1000台限定発売に続いて、50年にわたるBMW M社のレースへの情熱を表現したとされる新型「3.0CSL」が50台限定で発売された。軽量構造、直列6気筒エンジン、マニュアルトランスミッションを備え「バットモービル」とよばれたオリジナルの特徴的なデザインを現代的に再現している。E46型「M3 CSL」の軽量化は多岐にわたり、特にオーバーハング部の軽量化が優先され、ただ軽量化されるだけでなく旋回性能を高める方向でも有利となる様に考慮されている。サイド/カーテンエアバック、カップホルダー、スペアタイヤは取り外され、外せない装備は軽量な素材に置き換えられている。フロントシートは強化プラスチック製(GFRP)バケットシートに、リアシートもホールド性を上げた軽量タイプに、ドア/ダッシュボード/センターコンソールの各トリムはカーボンパネル化され、フロアカーペットも軽量タイプとなる。ボディパネルは、ルーフパネルがCFRP製とされ標準パネルより6kg軽く、車両の低重心化に貢献。CFRPはフロント・リアバンパー、リアディフューザーにも用いられている。リアウィンドウは薄板ガラス化、ボンネットはアルミ製、リアトランクはSMC製とされ、その他のボディパネルはスチール製となる。それでも日本仕様の「CSL」は1430kgとなり、標準型「M3」より130kg軽量化されている。オートエアコン、オーディオが装備される日本仕様に対し、快適装備がオプションとなるヨーロッパ仕様の車重は1385kgまで絞られている。搭載されるエンジンは電子制御式6連スロットルを備えるS54B32型とよばれる、直列6気筒DOHC24バルブとなりボア・ストローク87.0mm×91.0mm3246ccの排気量をもつ。11.5の圧縮比と可変バルブタイミング機構のダブルVANOSにより360馬力/7900rpm37.7kgm/4900rpmのトルクを発揮する。「CSL」に搭載するにあたりファインチューニングを施された箇所は、ボンネットを開けて眼に飛び込むCFRP製の大型エアコレクター付きエアインテークシステムで、フロントスポイラーに開けられた90mm径のインテークから直接導入されるエアは、吸入温度の低いままエンジンに届けられる。またカムシャフトを制御するダブルVANOSシステムは、バルブのオーバーラップが延長され、更にエグゾースト・パイプの肉厚を薄くすることで軽量化も考慮されている。結果として標準型「M3」の343馬力/37.2kgmに対し17馬力/0.5kgmのアドバンテージを得ている。組み合わされるトランスミッションは「SMG II」とよばれる2ペダル・マニュアルトランスミッションとなる。ゲトラグ製マニュアルトランスミッション用の変速機と、クラッチの操作をコンピューター制御による油圧ポンプで行うシステムとなる。フェラーリをはじめアストンマーティン、マセラティ、アルファロメオ などスポーツカーメーカーが採用するシステム。システムに任せて普通のATの様に走らせる事と、ドライバー自らMTの様にステアリング裏に付くパドルを操作して、変速を楽しみながらスポーツ走行をする事が可能となる。「CSL」専用のロジックが組み込まれ0.08秒という短時間でシフトチェンジが完了するだけにとどまらず、オートマチックモードが5種類、マニュアルモードが6種類のプログラムを選択する事で、街乗りからサーキットまで対応可能なドライビングを楽しむ為の変速システムとなっている。足回りは、フロント・シングルストラット式+コイル+ダンパーとなり、リア・マルチリンク式+コイル+ダンパーでフロント、リアともにスタビライザーを備える。フロントスプリングが短くなるとともに、軽量化された車重にあわせ前後スプリングレート及びダンパーの減衰が専用に調整されている。リアのトラックアームはアルミ製となり、ロッドエンドはラバー製からユニボール・ジョイントに変更されている。ブレーキはフロントは標準型「M3」に対し径を20mm拡大し345mm×28mm、リアは328mm×20mmで同サイズとなる。前後ともにドリルドベンチレーテッドディスクとなり、装備されるABSのセッティングは「CSL」専用となる。100km/hから完全停止までの制動時間は2.5秒以内とされ、制動距離は34m未満と発表されている。8.5J×19/9.5J×19サイズのアロイホイールは、標準型「M3」にオプション設定されるものに比べ4本で11kg軽量化されたものとなる。組み合わされるタイヤサイズはフロント225/40ZR19、リア255/35ZR19。ヨーコントロールシステムのDSC(ダイナミック・スタビリティ・コントロール)を備え、通常のON/OFF以外に「CSL」には「Mトラックモード」とよばれる、サーキット走行を前提としたプログラムが用意されている。ステアリング・スポーク上のボタンにより「Mトラックモード」を選択するとDSCの介入が通常より遅くなり、その分ドライバーのコントロール範囲が広くなり車体の姿勢制御の自由度が増す。インテリアは、フロントにリクライニング機能が付かない、シンプルで軽量なGFRP製バケットシートが備わる。3スポーク・ステアリングホイールとともにアルカンターラ表皮となっている。そのステアリングを通して正面には、大径の300km/hまでのスピードメーターと、油温計を下部にもつ9000rpmまでのタコメーターが備わる。その両側に小径の燃料計と水温計を配置するメータークラスターはE46型と共通。リアシートへのアクセスはフロントシートを前方に倒して可能となる。トランクスペースもE46型と同様の広さを確保し、トランクスルー機構を備える。全長×全幅×全高は4490mm×1780mm×1370mmとなり、ホイールベースは2730mm、トレッド前1520mm、後1525mm。燃料タンク容量63、車両重量1430kg、最小回転半径5.3m、前後重量配分52:48、新車時価格は1150万円(標準型M3MT800万円、SMG843万円)となっている。発売当時BMWジャパンの販売予定台数は140台となり、瞬く間に完売したといわれている。メーカー公表性能値は0100km/h加速4.9秒、01km加速23.5秒、最高速度250km/h(スピードリミッター作動)となる。ニュルブルクリンク・ノルドシュライフェのラップタイムは750秒。カーグラフィック誌による実測データは0100km/h加速5.1(5.4)0400m加速13.3(13.6)01km加速24.1(24.5)で最高速度は48000rpm時で222km/h(250km/h+)を記録。それ以上の速度での計測は行われていない。( )内の数値は標準型「M35MTによる測定値。「M3 CSL」は、BMW M社によるきめ細かい数々のチューニングにより標準型「M3」とは全く異なるクルマにしあげられている。その差は数字で表す「17馬力/0.5kgm」より遥かに大きな変化をドライバーに実感させる事となる。6100rpmを境に2段ロケットの様に回転上昇が高まる吹け上がりの鋭さは「911 GT3」や「ホンダVTEC」のエンジンにも匹敵するもの。また回転を上げていなくても小気味良いエンジン音とエグゾースト・ノートは、負荷に応じて低く唸る吸気音とともに、ドライバーの気持ちを高揚させてくれる。騒音規制が厳しいヨーロッパで正規販売されるモデルだけに、音量は標準型「M3」を大きく上回る事は無い。実用性でスポイルされるポイントはリアシートのアクセス性のみといえるかもしれない。バケットシートが前方にあまり倒れない為、しっかりとしたスペースを確保されているリアシートへのアクセス性は良いとはいえない。軽量化を施しながらもボディ剛性は充分に高く、強化されたサスペンションであっても、ハーシュネスが強すぎるとは感じないレベルにおさまっている。「M3 CSL」が登場した頃、ポルシェは「996 GT3」を、フェラーリは「360モデナ・チャレンジストラダーレ」と、それぞれ装備充実したベース・モデルに対し、軽量・限定・ファインチューニングモデルを設定していた。ベース・モデルであっても充分な性能を誇るにもかかわらず、軽量化しファインチューニングを施しながら、それぞれのメーカーのヘリテイジを感じさせるものとなっていた。それ以降メーカーは、この販売形態を維持し、限定販売による希少価値の高さから安定したリセールバリューが確保される事でより良い状態で希少モデルが受け継がれる時代となった。内燃機関世代の最高峰として、次世代への文化遺産として残るこれらのクルマ達は、仮にEVが主流の時代になったとしても、その輝きを失うことは無いといえるだろう。