SOLD
400i
ASK
お問い合わせ
戻る
メーカー
フェラーリ
ミッション
オートマ
グレード
400i
ボディタイプ
COUPE
外装色
年式
1984 年型
走行距離
13400km
乗車定員
4 名
サイズ
長 481 cm 幅 180 cm 高 130 cm
エンジン形式
排気量
4823 cc
馬力
310
トルク
車検
令和6年1月
ハンドル
駆動区分
輸入区分
ディーラー
内装色
レッド
燃料区分
ガソリン
幌色

フェラーリ400iは、新車販売当時「512BB」と並んで、もうひとつのフェラーリの旗艦ともいわれたプレステージ・トゥアラーである。エレガントな2+2モデルを、古くからそのラインナップに加えていたフェラーリは、源流とも呼べる「250GT2+2(250GTE)」を1960年から生産していた。その後1964年に「330GT2+2」を経て、1967年には「365GT2+2」を発表する。そして1972年、パリサロンでヴェールを脱いだ「365GT4 2+2」の登場により大きなひとつの転換を迎える。それは同じピニンファリーナ・デザインでありながら、例えば「ディーノ246GT」や「275GTB」といったモデル達と関係性を感じる、円やかな佳き時代のボディ・スタイルから、直線的で端正ともいえるデザインに大きく様変わりした事による。これは担当デザイナーがアルド・ブロヴァローネから、レオナルド・フィオラバンティに引き継がれた事が、大きく影響しているものと思われるが、時代の変化をピニンファリーナがボディ・デザインに反映させたともいえるかもしれない。この「365GT4 2+2」の基本ボディ・デザインとシャーシ構造は、この1972年から「400i」を経てその後継車となる「412」の生産終了となる1989年まで、実に17年間の長きに渡り生産される事となる。「400i」のベースとなる「フェラーリ400」の発表は1976年パリサロン。それまでの「365GT4 2+2」のボディデザインをほぼ継承しているが、見分けるポイントはテールランプ。「365BB」から「512BB」に変わった時と同様に3連テールランプが2連に変更された。またフロントグリル下のリップスポイラーが大きくされた事により、横から見るとフロントノーズが厚く見えるようになった。車名に使われる「400」という数字は、他の12気筒フェラーリと同様に、12個あるシリンダーの1気筒あたりの排気量を表す数字となる。最大のトピックは、フェラーリ量産車として、初めてのオートマチック・トランスミッション(AT)搭載モデルという事。ATモデルは「400オートマチック」5速マニュアル・ミッションモデルは「400GT」と呼ばれる。そして19799月に、それまで装備されていたツインチョーク・ウェーバーキャブレター6連装からボッシュKジェトロニック燃料噴射装置に換装された事により、「インジェクション」の頭文字となる「i」が車名に加わり「フェラーリ400i」の誕生となった。エンジンはフェラーリ伝統の水冷60°V12気筒(ティーポF101C)となり、ボア×ストロークは81mm×78mm4823ccの排気量をもつ。8.8の圧縮比と、それぞれのバンクにボッシュKジェトロニック燃料噴射装置を1基ずつ備え、310馬力/6500rpm48kgm/3600rpmのトルクを発揮する。このエンジンは先代となる「365GT4 2+2」の車名と排気量の4390ccから想像される通り「365GTB/4デイトナ」のエンジンからストロークを7mm延長したものとなっていて、フェラーリ伝統のコロンボ・ユニットの末裔となる。「デイトナ」のエンジンはドライサンプとなる為オイルパンが無くその分搭載位置が低くなりダウンドラフト・ウェーバーキャブレターを低いボンネット下に収められているのに対し、「365/400GT系」はウエットサンプとなる為サイドドラフト・ウェーバーキャブレター装備となる違いはあるがこのV12気筒の系譜は、後継車となる「412」の生産終了まで引き継がれる。組み合わされるトランスミッションはGM製となる、ターボ・ハイドラマティック3ATとなり、当時、日本の輸入元であった「コーンズ」では、ATモデルをスタンダード設定とし、5MTモデルをオプションとして設定していた。足回りは、四輪ダブルウィッシュボーン+コイル/スタビライザーとなり、後輪には自動車高調整装置(ハイドロニューマティック)が付く。ブレーキは四輪ベンチレーテッド・ディスクを備え、カンパニョーロ製180TR415(16インチ)サイズのホイールに専用となるミシュランTRX240/55VR415サイズのタイヤを装備する。インテリアはドライバー正面にメータークラスターがあり、左に大径の300km/hまで刻まれたスピードメーター、右に8000rpmまでのタコメーターを備え、その間に小径の上に油圧計、下に水温計を配置している。センターコンソール上部には3連の時計、燃料、油温計が備わり、メーター類は全てVEGLIA製となる。コノリーレザーて覆われた革張りのシートは、やや硬めとなるがサポートは上々、着座位置は高めで視界はサルーン並みに開けている。リアシートは単なるプラス2以上の広さを持ち、長時間で無ければ大人2名が座れる広さを持つ。全長×全幅×全高は4810mm×1800mm×1345mmとなり、ホイールベースは2700mm。トレッドは前1470mm、後1500mmで車両重量は1830kg。燃料タンク容量は120となっている。メーカー公表性能値は最高速度240km/h(5MTモデルは245km/h)0400m加速は16.4秒、01km加速は29.2(5MTモデルはそれぞれ15.8秒、27.9)となっている。生産台数はATモデルが873台、5MTモデルが421台となり、新車時価格は2450万円であった。今回、入荷した「フェラーリ400i」は1984年式となりそのモデル末期の仕様となっている。それ以前のモデルと大きく異なるのは、室内のダッシュボード及びセンターコンソール部のデザイン。増設された空調の吹き出し口の形状と位置がとても効果的に使えるように変更されている。またATシフターを中心とする、その周辺のスイッチ類が見直されている。シフター右側にはタンブラー型のスイッチから「328」に使われている様なダイヤル式のタイプにトレードされている。シフター左側のスライドレバーもメッキタイプのクラシカルな形状からアップデイトされている。これらの変更に伴いそれまでのイメージよりも、とてもモダンな雰囲気となる。またステアリングホイールは「テスタロッサ」に使用されるブラックスポークのモモ製に変更されているようだ。外装ではフロントグリル内に付くロードランプの形状が変更され、リアパネル、及びリアバンパーのボディ同色化とバックフォグの有無、ドアミラーの形状が異なっている。新車販売当時は、そのボディの大きさが話題とされる事があったが、大型SUVを多く見かける今となっては、全長4.8m×全幅1.8mのボディはそれ程大きくは感じない。全幅1.8mは良好なドライバーズシートからの視界を思えば、むしろドライビングしやすいと言えるだろう。ただ、大きめのターニングサークルだけは気をつかわされるかもしれない。単純に見える面と鋭いエッジで構成されたボディは、とても量産車では望む事が出来ない程、手の込んだ造りがなされていて、フロントフェンダー下部に付く、赤い王冠を戴いたピニンファリーナの「f」のエンブレムが、デザインのみならず丁寧な組み立てと、少量生産に定評のあるピニンファリーナ製造によるボディである事を物語る。全く古さを感じさせない美しいデザインと風格は、時代を経ても風化する事が無い。インジェクション装備となり、コールドスタートのみならずウェーバーキャブレター6連装によるエンジン始動の儀式から解放され、扱い易くなった伝統のV12エンジンはアメリカ製オートマチックとの相性も良くトルコンスリップを感じさせないまま、右足の動きに忠実に反応して、重量級ボディを軽々と動かす事が出来る。ZF製のパワーステアリングは軽すぎず、自然な感触で機敏にドライバーの意志をフロントタイヤに伝えてくれる。同時代のミッドシップ・フェラーリに比べればマイルドだとはいえ、しっかりとしたソリッド感のある乗り心地と、身のこなしはいかにもフェラーリが造ったスポーツ・ツアラーである事を知らしめる。「BB」や「デイトナ」に比べれば、静かといえる「400i」の室内だが、常にV12エンジンの存在感が感じられる。3000rpmを超えると斜めに切れ上がった4本のアンサ製テールパイプからパワフルな咆哮が伝わり、エンジンサウンドとの絶妙なハーモニーを聴かせながら加速も一段と鋭くなり、その素性を垣間見せる。それはスロットルペダルを床まで踏み込みキックダウンを効かせる事でクライマックスに達する。ワインディングロードでは、とても4.8m級のクーペとは思えない程、アンダーステアは軽く小さな車の様に軽快に振り回す事が出来る。四輪ベンチレーテッドディスクを備えるブレーキは、常にドライバーの心強い味方になってくれる。弱点を挙げるとすれば、荒れた路面での乗り心地かもしれない。スプリングやダンパーはソフトにセットされているが、ミシュランTRXの発する硬質のショックが直接的にボディに伝わってしまう事が心配される。使用出来る状況は限られるかもしれないが、4つのシートとトルコンATを備える事から、デイリー・フェラーリといわれる事もあった「400i」。現代のフェラーリはどんなモデルであってもきっとデイリーユースを軽々とこなせるだろう。でも、その中に「400i」のように無闇に主張せずとも、何十年も変わらない風格と佇まいを持ちながら古く見えないで存在感を醸し続けていられるモデルがあるだろうかV12気筒を搭載したフェラーリでありながら、とてもエレガントに路上に存在し、優雅にハイウェイを流せる。まさにプレステージ・ツアラーと呼ぶに相応しい車となっていると思う。